近くに若い人向けのファッションブランドで「NUSUMIGUI」というのを
立ち上げた若者が越してきた。江戸時代から梅園があった香取神社の
近くの古民家を改装してやっている。料理でいうと、少しきどった懐石料理や
フレンチでなく、家庭でおふくろさんや嫁はんや、自分の料理をちょっと「ぬすみみぐい」
するような感覚らしい。
ぬすっと、「盗人」と携帯に登録したら、よくその「盗人」さんが電話してくる。そのたびに
ドキッとするのは、健忘症か痴呆が始まった証拠ではないかと思う。でもいつも
「15分後に4人でいきます」の電話の後にくる人たちが、その業界のデザイナーだったり、
靴をつくる職人さんだったり、染めをやる人だったり、多士済々のものつくりの若者がやってくる。
そんな中の一人が、今月近くの古民家いや古いアパートを改装して雑貨のお店を作った。そうするとまたそこのお店にくるセンスのいい
若者たちが寄ってくれるようになり、作務衣しかきたことがない時代おくれの男に、いい刺激を
与えてくれる。ほんとうに感謝感謝。そのお店の名前はフランス語で「なんやら」ようのだけど、
まだ10日くらいたっていないので、覚えていないけど、いいお店である。
「ひとりの人」が、その街に住むようになっただけで、その街が変わっていくことがある。
なんじゃらかんじゃら、一億人の人が批評家みたいになってものを申しても、世の中は莫として動かない
けど、できる一歩から踏み出す人がいると、世の中は動き始める。
過去と人は変えられないけど、自分が変われば未来が開けてくる。
閉塞感だらけの昨今にあって、大事なことは、そんなことではなかろうか、と思う。
寄る年波で体は若い時ほど動かなくなってきたけど、今年は京都で蕎麦会をやったし、
来月は岐阜で600年もつ続いているけど、若い後継者がいなくて青色吐息な茶畑を
ボランティアで応援している若者たちと、茶摘みの蕎麦会をやることなった。
「何をして生きていけばいいのか」に迷っている人も多い。「人の役にたてることをしよう」
と思ったら、やることはたくさんある。やるまえに、さして利口でない頭で、なんじゃら考える暇
があったら、行動することだと思う。
「よし」と決めたら、他人の比べることもないし、人にどう思われようが、そんなことは些細なことになる。
天真庵にやってくる若者たちに、最近、そんなことを教わっている。