昨日、第169回芥川賞と直木賞の受賞作が決定しました。
芥川賞は市川沙央『ハンチバック』、
直木賞は垣根涼介『極楽征夷大将軍』、
永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』です。
芥川賞の市川沙央さんは、重度の障害があり、
人工呼吸器使用と電動車椅子を使用されているとの事で、
現在のデジタル機器を使って小説を著しているのでしょう。
素晴らしい事だと思いました。
直木賞を受賞した永井さんは知りませんでしたが、
垣根さんは、僕の好きな作家の一人で、結構著作を読んでいます。
最初に読んだのが、
2014年3月23日に読んだ、「ワイルド・ソウル」でした。
戦後の日本が行って来た南米への移民政策が、
いかに酷いものであったかを描いたハードボイルド小説で、
悲惨な末路を辿った一世の代わりに、
その子供達が外務省に復讐を果たすと言うストーリーだったと思います。
その後、ヒートアイランドシリーズの
「ギャングスター・レッスン」や「サウダージ」、
「ボーダー」などを読み、
企業のリストラを請け負う会社の社員を描いた連作短編の
「君たちに明日はない」、「借金取りの王子」を読み、
男たちを翻弄する物静かな公務員の女性を描いた「月は怒らない」、
神社の狛犬が大型犬に変身する「狛犬ジョンの軌跡」など、
いずれも面白いと思いました。
その他、垣根さんは歴史小説も著しています。
応仁の乱当時の京都を舞台とした「室町無頼」は、
最近関心が高まっている室町時代の民衆を描いていました。
そして、とにかく斬新な歴史小説だと思ったのが、「光秀の定理」でした。
これは、確率論の「モンティ・ホール問題」を使っていました。
「モンティ・ホール問題」が何かと言うのは、
僕もキチンと理解していないのでご容赦下さい。
更に、「信長の定理」では、
マーケティングの法則であるパレートの法則に
信長が気付くとの設定で描かれています。
これは、「売上げの8割は2割の社員に依存する」との法則ですが、
ともかく、これも従来の歴史小説には見られない描き方だと思いました。
そのような次第で、垣根さんは歴史小説でも面白い作品を著しています。
今回、直木賞を受賞したのは、「極楽征夷大将軍」で
足利尊氏を描いているとの事です。
長年お付き合い下さっている方はご存知かと思いますが、
僕は、本はほとんど図書館の本を借りて読んでいます。
「極楽征夷大将軍」、直木賞作品になりましたので、
間違いなく図書館には入るでしょうが、
希望者が集中して読むのは結構先になりそうです。
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