天然居士の独り言

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TPP大筋合意・・・

2015年10月06日 18時29分02秒 | 日記
 昨夜、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の閣僚会合で、
 加盟12カ国は大筋合意に達しました。
 僕は今回も合意に至らなければ良いと思っていたのですが、
 残念な結果になりました。
 今年6月に、
 アメリカで政府に強力な交渉権限を与える法律(TPA法)が成立し、
 やがてはこの日が来るだろうとは思っていましたが。

 TPPについては、輸入品の価格が下がり、
 関税が下がる事で輸出がしやすくなるなど、
 多くのメリットが報じられていますが、
 僕は国そのものを揺るがしかねない問題を含んでいると思います。

 1つは、TPPによって大きな影響を受ける農業です。
 これまで日本の農業は、食糧を生産する産業としてだけではなく、
 国土や環境の保全など金銭に替えられない役割を担って来ました。
 今でも多くの地方では、産業の中心です。
 それが外国との競争によって、担い手が離れる事になると、
 日本の国土が損なわれるのではないかと思います。

 もう1つは、いわゆるISD条項の問題です。
 ISD条項というのは、「国家と投資家の間の紛争解決」という意味で、
 要するに企業などの投資家を保護するためのルールです。
 例えば、外国資本が、遺伝子組換の表示義務によって損害を蒙ったとして
 ISD条項を発動し、裁定機関に訴える事が出来ます。
 裁定機関が外国資本の主張を認めると、
 国はこの資本に対して賠償の義務を負わされる事になります。
 この裁定機関は、世界銀行の傘下にある投資紛争国際解決センターです。
 世界銀行総裁はアメリカ出身者が就任する事が暗黙の了解事項です。
 世界銀行の出資割合が1番高いのもアメリカですから、
 発言力もありますので、当然裁定もアメリカ有利になる事が予想されます。

 TPPについて、これまで報道されて来たのは、
 バナナの叩き売りのような数値の交渉がほとんどでした。
 交渉の詳細を公表しない密室で行われて来たとの印象が拭えません。
 アメリカにおいてすら、
 議会の関与を封じるため上記の法律を成立させました。
 国民に知らせずに他国と交渉を行う事自体が異常のような気がします。
 既に国内においては、TPP交渉差止・違憲訴訟が提訴されていますが、
 この訴えが認められる可能性は低いと思います。

 TPPはまだ大筋合意しただけで、各国が批准しないと発効しません。
 アメリカ国内においても、かなり批判が出ているようです。
 日本では、歓迎の声ばかりが報じられていますが、
 もう少し実質的な影響を冷静に分析する必要があると思います。

 僕の偏見かも知れませんが、
 アメリカの政策は、他国を食い物にして自国の大企業の権益を守るもので、
 日本の経済界が推し進めようとしている施策は、
 企業の利益追求ばかりで、国や国民の生活を考えないものだと思っています。


コメント
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