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毎日の暮らしの中にある大好きなもの、こと、出合(会)いなどについての気まま日記

友罪

2014-04-15 10:22:19 | 読書

先日、秋葉原事件の弟が自殺したと聞いて、東野圭吾の「手紙」を思い出した。
罪は当事者はさることながら、周りのものをも苦悩させるものだと改めて思う。
そこまで考えが及ばないから重大事件を犯してしまうのか?

薬丸作品には罪、過去とどう向き合っていくのかという重いテーマーが多いのだが、これは特に深く考えさせられた。

ジャーナリストの夢が捨てきれない主人公が一時的なつもりで入った会社の同僚が、世間を震撼させた事件の犯人かもしれなかったら。
「死んだら悲しいと思う」
軽い気持ちで言ったその一言で親友と呼ばれるようになったら。
自分だったらどうするのだろう。
目の前にある今と過去。
作中に出てくる事件はあのことだと連想させられるから、過去だとは簡単に割り切れるものではない。

ジャーナリズムとはなんだろう。
最近劣化著しいと思っているが、受けてである傍観者としての自分はどうなのか。
関わった人たちそれぞれの罪という問題提起もある、肉厚の作品だった。

薬丸 岳 「友罪」