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毎日の暮らしの中にある大好きなもの、こと、出合(会)いなどについての気まま日記

名もなき毒

2007-01-24 10:22:10 | 読書
図書館に予約を入れて3ヶ月。
やっと順番がまわってきて、図書館の人に「ずいぶん待たせましたね」と言われた。
先ほど完読。
連続無差別毒殺事件を発端として、世の中にあふれている「毒」がからんでくる話だ。

最近ミステリーが売れないらしい。
毎日、新聞、テレビニュースで報道される事件のほうが、はるかに小説の世界を超えているからだとか。
小説としては、結末が早くからみえていたのでそんなに面白くはなかったけれど、
随所にある言葉に、考えさせられる。
例えば北見氏による「普通」の定義。
他人様に迷惑をかけることなく、時に親切にしたり、世の中の役に立つことをしたりして、
全うに生きているのは普通ではなく立派なのです。
今の世の中では、「生きにくく、他を生かしにくい。」と同義語なんです。
「つまらなくて退屈で、空虚だ。」
だから怒るんですよ。
犯罪を起すのは、たいていの場合、怒っている人間です。

私たちが、よく普通わねーって使っているけれど、確かにすごくずれが生じていると感じることが多くある。
狭いところですれ違うときはかに歩き、傘をさしているときは相手が濡れないように斜めにする・・・
江戸しぐさのCMに、こんなのって当たり前だと思っているけれど、最近はそうでもないみたいだ。
学生と自転車ですれ違うときなど、相手が道を譲るもんだといわんばかりにスピードを緩めることなく突進してくる。
まったく・・・
何もかも、どうなっているんでしょうね!

「名もなき毒」は、今の世に対する警告と受け取りました。

「名もなき毒」 宮部 みゆき