お知らせ
■来月からこのサイトをMITIS(水野通訳翻訳研究所)ブログに変更します。研究所の活動内容は、研究会開催、公開講演会等の開催、出版活動(年報やOccasional Papers等)を予定しています。研究所のウェブサイトは別になります。詳しくは徐々にお知らせしていきます。
■『同時通訳の理論:認知的制約と訳出方略』(朝日出版社)。詳しくはこちらをごらん下さい。
■『日本の翻訳論』(法政大学出版局)。詳しくはこちらをごらん下さい。
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■たいしたニュースでもないのですが、何だかなあと思ったので一応記録しておくことにする。新しい方から。
1) 12月12日読賣新聞
歓迎メール「誤解」、横浜市長が米式典キャンセルを謝罪へ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071212it06.htm
「横浜市が、米サンディエゴ市から送られてきた姉妹都市提携50周年記念式典への出席を歓迎する電子メールの内容を「式典の開催は不可能」と読み違えて、中田宏市長の訪問をキャンセルしていたことが12日、わかった。」
記事では「えん曲的な表現から含意を読み取れないと、担当者としては素人。『来ないでくれ』とのメールだと判断した」というのだ。この言い草もよくわからない。メールの原文がないのでどんな文面だったのかは分からないが、そんなことがありうるのだろうか。(*これは翻訳がらみというよりは英文解釈の問題かもしれないが。)
2) 11月2日、東京地裁で、南京事件の初期、城内南部で起こったいわゆる「新路口事件」の被害者である夏淑琴さんが、東中野修道氏と展転社を名誉毀損で訴えた裁判の判決があった。
以下は共同通信配信の東京新聞記事から。
「旧日本軍による南京大虐殺の被害者を装い虚偽の証言をしているかのように本で書かれ、名誉を傷つけられたとして、中国人の夏淑琴さん(78)が、著者の東中野修道亜細亜大教授と発行した「展転社」(東京)に計1500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は2日、計400万円の賠償を命じた。
三代川三千代裁判長は「本の記述は、原告が生存被害者ではないのに被害者と偽っていると強く印象づける内容。資料の解釈は妥当ではなく、学問研究の成果にも値しない。真実や真実と信ずべき相当な理由は認められない」と判断した。
東中野教授は「非常に心外。控訴する方針」と話している。
問題の書籍は1998年発行の「『南京虐殺』の徹底検証」。国内で約1万3000部出版され、英語版や中国語版も出た。
判決によると、夏さんは、米人牧師が記録した南京大虐殺の資料に出てくる家族を殺された8歳の少女は自分として、被害体験を語ることで知られていたが、東中野教授は「少女は夏さんとは別人」などと記述した。」
「学問研究の成果にも値しない」とまで言われてしまった原因が翻訳である。これについては「南京大虐殺 論点と検証」のサイトが詳しい。以下引用する。
「東中野は、『南京安全地帯の記録』第219件に関する「マギーのもう一つの記録」として、マギーフィルムの説明文を南京ドイツ大使館公文書綴「日支紛争」から翻訳し、『徹底検証』P241-242に紹介している。
東中野は「家族の総数が違う」として、事例二一九が13人であったのに対し、「日支紛争」では14人であると指摘する。
また、「唯一の生存者と主張する二人の子供」、つまり、「⑬その八歳の少女」と「⑭四歳の妹」は、「いったい誰の子供なのであろうか」と指摘し、考察の結果として、生き残った姉妹は「シアの子供でもマアの子供でもなかった。その姓は、シアでもなかった。もちろん、マアでもなかった。」と主張する。
この2つの指摘は、東中野の翻訳ミスを原因としている。
問題となる英文を「Eyewitnesses To Massacre」より、そして同じ文章の別の翻訳を『ドイツ外交官の見た南京事件』より提示し、東中野の訳文と比較してみたい。
「Eyewitnesses To Massacre」
The soldiers then bayonetted another sister of between 7-8, who was also in the room.
『「南京虐殺」の徹底検証』
それから、兵士たちはもう一人の⑩七、八歳になる妹も銃剣で突き殺した。同じくその部屋にいたからである。
『ドイツ外交官の見た南京事件』
さらに兵士たちは、部屋にいたもう一人の七、八歳になる妹を銃剣で刺した。」
bayonetがどうすれば「銃剣で突き殺す」という意味になるのか。
3) 5月5日の産経新聞に「占領時、米軍も「慰安婦」調達を命令 ホンダ議員「旧日本軍は強制」言明 」という古森義久記者の記事が掲載された。
「【ワシントン=古森義久】終戦直後の日本国内で占領米軍の命令により売春施設が多数、開かれ、日本人「慰安婦」数万人が米軍に性の奉仕をして、その中には強制された女性もいたことが米側にいまになって伝えられ、米議会下院に慰安婦問題で日本を糾弾する決議案を出したマイク・ホンダ議員は4日、議会調査局に調査を依頼した。しかし同議員は戦争中の日本の慰安婦は旧日本軍が政策として一様に拘束し、強制した女性ばかりだった点が米軍用慰安婦とは異なると述べた。」
古森がソースにしたAP通信の4日の報道は以下のようになっている。
An Associated Press review of historical documents and records -- some never before translated into English -- shows American authorities permitted the official brothel system to operate despite internal reports that women were being coerced into prostitution. The Americans also had full knowledge by then of Japan's atrocious treatment of women in countries across Asia that it conquered during the war.
permitがどうすれば「命令する」という意味になるのか。
その後の展開はここが詳しい。結局産経新聞は訂正せざるをえなかったようである。古森は産経のスター記者で、昔、中公新書か何かで「海外特派員は英語ができない」とか書いていた。
■11月27日に紹介したConference Interpreting: Principles and Practiceの著者、Valerie Barnesの自伝、A Foreign Affair: A Passionate Life in Four Languages (Bantam, 2004)この類の本は沢山あって特に新味はないものだ(内容と構成が似通っている)が、パラパラ見た感じではけっこう面白そうだ。活字が大きくて年寄りにやさしいのもいい。(リンク先のAmazonを見たら0.01ドルで買える。)
WHOの予算委員会で、'Replace 6,778.09 in column 10 on page 30 of Document FCBC219 with 7,688.09 and remove the decimal point in the last column on page 40 of the same document'などという内容を早口でやられるとか、それなのにブースメイトはコーヒーに行ってしまうとか。炭疽菌(Anthrax)の会議のために10日間勉強して行ったら、当日「石炭」の会議に回されたとか。(似たようなことは僕にもあって、たしかクルド問題だと言われて準備していったら中東問題だったことがあったな。)