■「ほっかいどうの通訳者たち」編集委員会(編著)『ほっかいどうの通訳者たち』(北海道通訳アカデミー)は、四半世紀にわたって北海道の国際化に寄与してきた通訳者たちへのインタビュー集である。草分け的存在である齊藤綾子さんをはじめとして、加島郁子さん、川内裕子さん、大島剛さん、熊谷ユリヤさん、鈴木千鶴子さん、高橋寿一さん、泉園子さんの8人に、ジャーナリストの酒井宏祐さんがインタビューしている。一人あたり約30ページが充てられており、外国語との出会い、通訳の経験、ことばとコミュニケーションに対する思いまで、かなり突っ込んだ内容の詳しいインタビューになっている。中でも、料金下げの圧力に抗しながら、通訳の質をたもつためにがんばっている大島剛さんの話に感銘を受けた。この問題については熊谷さん、高橋さん、泉さんなども触れており、深刻な問題であることがわかる。
巻末には十数ページにわたって、通訳関連の用語や本書に登場する固有名詞などを解説した用語集がついている。現在、通訳者の体験をまとめて読める本は少ない。通訳者とその仕事に関心のある方にはおすすめの一冊である。書影では見えないが、帯には鶴田さんと篠田さんが推薦の言葉を寄せている。
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