(以下、PJNEWSから転載)
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日本の組織に必要なキーワードは「スピード」だ
2010年05月27日 08:16 JST
いま、日本は華人とうまく付き合うことでしか成長できない。まずは「スピード」を持つことだ。(写真:三田典玄写真ライブラリより:中国の龍舞)
【PJニュース 2010年5月27日】5月27日、日本貿易振興機構(JETRO)の「日台経済アライアンス・セミナー」に行ってきた。(今回のセミナーに至る調査の報告書はこちらにあります)
いま、世界の経済はギリシャに端を発する世界的株安とそれによる経済危機に揺れているが、それ以前から日本の経済は残念ながら一人負けの様相を呈していた。リーマンショック後、中国は言うに及ばず、台湾、韓国など周辺各国の経済がなんとか持ち直したのに比べ、日本経済は少々の回復は見えてきたとは言うものの、それが長期にわたって大丈夫なのか、と言われると心もとない、というのが現状だ。
台湾や韓国は、現在驚異的とも言っていい成長を遂げている大陸中国を経済のメインのターゲットとして自国経済の維持回復、そして成長を指向している。特に台湾は2008年の政権交代のはるか前から、政治とは別に中国との経済交流を深め、その取引高も年々増えていた事実はよく知られている。韓国ではこの中国と台湾の経済的な接近を「チャイワン(China + Taiwan = Chaiwan)」と称し、経済的に韓国経済に与える脅威として表現している。
一方、日本はこれら中国周辺国の1つというある意味有利な場所にいながら、なかなか経済復興を果たせないでいる。そこで「世界で一番日本に友好的な国」と言われている台湾との連携で、日本企業は中国マーケットを目指すべき、という流れが少しずつだが生まれつつある。このセミナーはその一環とも言える。
実際、これまで中国に直接進出した企業の約8割が進出に失敗しているという事実がある。その中での数少ない成功例を調べてみると、たとえば携帯電話の中の振動を生む小型モーターを生産しているマブチモーターの例など、台湾や台湾人との協業でうまくいっている企業がたくさんあることがわかる。ちなみに、日本ばかりではなく、AppleのiPadなどの中国生産を請け負っているFOXCONNは台湾資本の企業である。これも資本主義の国から中国にアプローチした成功例と言えるだろう。
いま、日本の経済界において日本国内の市場しか持たない企業は没落しつつある。日本企業の生きる道は「外国」であり、特に急成長中の「中国」を抜きにして語ることはできない。そして、日本企業の中国進出へのカギを握るのが「台湾」というわけだ。
今回のセミナーではそれに気がついた企業から200名近くの参加があった。しかし、そこでは日本の企業がなかなか中国、台湾を含めた「華人社会」となかなかうまくやっていけない姿が浮き彫りになっていた。
日本企業がなぜ華人社会とうまくやっていけないのか?そのポイントは以下にあると、PJはこのセミナーを聞いて考えた。
1. 日本企業の意思決定のスピードが劇的に遅い。
2. 日本人には華人社会で生きていく、という覚悟がない
経済のグローバル化は世界経済の垣根をなくし、すべての国が同じ土俵で戦う。技術も人もお金も国をまたいで簡単に動く。このような状況では、どんな小さな優位でも、競争の力になる。スピード然り、交渉のうまさ然り。日本企業はこれまでの経済成長の時代を終え、冷戦という垣根もなくなった世界の中での地域的優位性もポジション的な優位性も失った。この環境の変化に敏感に反応し、組織を作り直した企業だけが生き残ってきたし、これからもその傾向は変わらないだろう。経済が一国で完結するものでは無い以上、日本の浮沈は上記の2点をまず考えるところから始める必要があるとPJは思う。
日本の企業や組織はこれまで「守り」を抜いてきた。安定した市場を守り、安定した会社を守ることによって、安定した成長を遂げてきた。そのために「決定の遅さ」などはむしろ「防壁」として必要なものだったのだろうと考えられる。しかし、いまは世界的に「攻め」の経営が求められており、例外はない。技術で優位に立っていたとしてもしょせんは同じ人間のやること。他人が同じ目的を違う方法で遂げるやりかたを見つければすぐにひっくり返ってしまう。
日本の企業はその組織を「攻め」型に変えるため、ITを含めたさまざまな道具を使うことも考慮に入れ組織を「スピード」に重点を置いた組織に作り変える必要がある。人員もその目的のために再編し、リストラを行い、新しい人材を入れ、新陳代謝をする。加えて、日本人とは違った感覚や文化で生きている「華人社会」の中で生きていく覚悟を決め、彼らといかにうまく仕事をしていくか、ということを真剣に考える必要がある。
それができなければ、世界の情勢が変わらない限り、日本の企業や組織、そして国そのものも、ジリ貧の道を突っ走るだけだろう。「チェンジ」は他人頼みではなにも変わらない。自分が「チェンジ」することがまず必要なのだ。【了】
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日本の組織に必要なキーワードは「スピード」だ
2010年05月27日 08:16 JST
いま、日本は華人とうまく付き合うことでしか成長できない。まずは「スピード」を持つことだ。(写真:三田典玄写真ライブラリより:中国の龍舞)
【PJニュース 2010年5月27日】5月27日、日本貿易振興機構(JETRO)の「日台経済アライアンス・セミナー」に行ってきた。(今回のセミナーに至る調査の報告書はこちらにあります)
いま、世界の経済はギリシャに端を発する世界的株安とそれによる経済危機に揺れているが、それ以前から日本の経済は残念ながら一人負けの様相を呈していた。リーマンショック後、中国は言うに及ばず、台湾、韓国など周辺各国の経済がなんとか持ち直したのに比べ、日本経済は少々の回復は見えてきたとは言うものの、それが長期にわたって大丈夫なのか、と言われると心もとない、というのが現状だ。
台湾や韓国は、現在驚異的とも言っていい成長を遂げている大陸中国を経済のメインのターゲットとして自国経済の維持回復、そして成長を指向している。特に台湾は2008年の政権交代のはるか前から、政治とは別に中国との経済交流を深め、その取引高も年々増えていた事実はよく知られている。韓国ではこの中国と台湾の経済的な接近を「チャイワン(China + Taiwan = Chaiwan)」と称し、経済的に韓国経済に与える脅威として表現している。
一方、日本はこれら中国周辺国の1つというある意味有利な場所にいながら、なかなか経済復興を果たせないでいる。そこで「世界で一番日本に友好的な国」と言われている台湾との連携で、日本企業は中国マーケットを目指すべき、という流れが少しずつだが生まれつつある。このセミナーはその一環とも言える。
実際、これまで中国に直接進出した企業の約8割が進出に失敗しているという事実がある。その中での数少ない成功例を調べてみると、たとえば携帯電話の中の振動を生む小型モーターを生産しているマブチモーターの例など、台湾や台湾人との協業でうまくいっている企業がたくさんあることがわかる。ちなみに、日本ばかりではなく、AppleのiPadなどの中国生産を請け負っているFOXCONNは台湾資本の企業である。これも資本主義の国から中国にアプローチした成功例と言えるだろう。
いま、日本の経済界において日本国内の市場しか持たない企業は没落しつつある。日本企業の生きる道は「外国」であり、特に急成長中の「中国」を抜きにして語ることはできない。そして、日本企業の中国進出へのカギを握るのが「台湾」というわけだ。
今回のセミナーではそれに気がついた企業から200名近くの参加があった。しかし、そこでは日本の企業がなかなか中国、台湾を含めた「華人社会」となかなかうまくやっていけない姿が浮き彫りになっていた。
日本企業がなぜ華人社会とうまくやっていけないのか?そのポイントは以下にあると、PJはこのセミナーを聞いて考えた。
1. 日本企業の意思決定のスピードが劇的に遅い。
2. 日本人には華人社会で生きていく、という覚悟がない
経済のグローバル化は世界経済の垣根をなくし、すべての国が同じ土俵で戦う。技術も人もお金も国をまたいで簡単に動く。このような状況では、どんな小さな優位でも、競争の力になる。スピード然り、交渉のうまさ然り。日本企業はこれまでの経済成長の時代を終え、冷戦という垣根もなくなった世界の中での地域的優位性もポジション的な優位性も失った。この環境の変化に敏感に反応し、組織を作り直した企業だけが生き残ってきたし、これからもその傾向は変わらないだろう。経済が一国で完結するものでは無い以上、日本の浮沈は上記の2点をまず考えるところから始める必要があるとPJは思う。
日本の企業や組織はこれまで「守り」を抜いてきた。安定した市場を守り、安定した会社を守ることによって、安定した成長を遂げてきた。そのために「決定の遅さ」などはむしろ「防壁」として必要なものだったのだろうと考えられる。しかし、いまは世界的に「攻め」の経営が求められており、例外はない。技術で優位に立っていたとしてもしょせんは同じ人間のやること。他人が同じ目的を違う方法で遂げるやりかたを見つければすぐにひっくり返ってしまう。
日本の企業はその組織を「攻め」型に変えるため、ITを含めたさまざまな道具を使うことも考慮に入れ組織を「スピード」に重点を置いた組織に作り変える必要がある。人員もその目的のために再編し、リストラを行い、新しい人材を入れ、新陳代謝をする。加えて、日本人とは違った感覚や文化で生きている「華人社会」の中で生きていく覚悟を決め、彼らといかにうまく仕事をしていくか、ということを真剣に考える必要がある。
それができなければ、世界の情勢が変わらない限り、日本の企業や組織、そして国そのものも、ジリ貧の道を突っ走るだけだろう。「チェンジ」は他人頼みではなにも変わらない。自分が「チェンジ」することがまず必要なのだ。【了】