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日系人帰国支援“駆け込み”申請 職員から事業の説明を受ける日系人の夫婦

2010-02-25 09:10:19 | 多文化共生
(以下、読売新聞【静岡】から転載)
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日系人帰国支援“駆け込み”申請
職員から事業の説明を受ける日系人の夫婦(22日午後、ハローワーク浜松で)

 失業した日系のブラジル人やペルー人に、帰国費用の一部を援助する国の「日系人帰国支援事業」の申請者が、2月に入り県内で急増している。申請の締め切りが3月5日に迫り、多くの人が“駆け込み”で申請しているためだ。申請する人の多くは、制度自体は「ありがたい」と言う一方、しばらく日本に再入国できないことに不満を感じている。何より、このような形で日本を去らなければならないつらさをかみしめながら、多くの日系人が苦渋の決断を強いられている。

 ハローワーク浜松(浜松市中区浅田町)によると、同ハローワークで受け付けた申請数は、事業が始まった2009年4月は144件。6月に216件とピークを迎えた。その後、7~10月は150件前後で推移し、11月は78件、12月が65件、10年1月は63件と徐々に減る傾向にあったが、2月は23日までですでに103件の申請を受理した。同ハローワーク管内(浜松市、湖西市、新居町)で事業を利用して帰国したか、帰国する予定の人は23日までで累計で2105人に上る。

 同ハローワークの田沢優職業相談部長によると、2月に申請するのは、60~70歳代の年配者や、長年日本に住んでいた人が目立つという。「若い人は早い時期に決断して帰国した人が多かった。今月は、5年以上日本で生活し、締め切りが迫ってきて踏ん切りをつけた人が多い」と話す。

 この事業で帰国した人は同じ在留資格では最大3年間再入国できないことから、事業に対しては「外国人労働者を使い捨てにして、体よく追い出す仕組みだ」などの批判があった。近い将来再入国できるよう、自費で帰国する人も多かったとみられる。同ハローワークにも、事業開始当初は「なぜ再入国できないのか」などの問い合わせや苦情が相次いだが、最近は、再就職口がなかなか見つからずあきらめた表情の人や、再入国できないことは覚悟のうえで訪れる人が多いという。

 22日午後、パスポートや外国人登録証などを持って同ハローワークを訪れた日系ブラジル人男性(46)と妻(32)は、1時間かけて帰国申請の手続きを終え、「さみしい」とこぼした。日本に住んで約20年。友人もたくさんいる。工場などで働いたが、この半年ほどは仕事がなく、数か月迷った末帰国を決めた。帰国すればしばらく再入国できないことについては「ひどい。また日本に来たいのに」と残念そうだった。

 8人家族で浜松市に9年間住んだという日系ブラジル女性のファゴンベス・シルビアさん(28)も、22日に同ハローワークに帰国申請に訪れた。「1年間頑張ったが仕事は限られ、もう無理だと思った。父が体調を崩したので帰る。大きな決断だった」と語った。

 一方、日系ペルー人のカタヤマ・ヒロシさん(41)も22日に同ハローワークで申請手続きの説明を受けたが、結局日本にとどまることにした。「帰国した友人から『ペルーも仕事がない』と聞いた。日本の方が便利で環境がいい。子供が小さいので、まだまだ頑張る」と話していた。
(2010年2月25日 読売新聞)

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