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’08知事選:「住み良さ」の裏側で-統計が映さぬ富山/4 /富山

2008-10-03 09:22:21 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【富山】から転載)
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’08知事選:「住み良さ」の裏側で-統計が映さぬ富山/4 /富山

 ◆「402人」
 ◇言語支援不十分--外国籍児、不就学も

 目、耳、鼻など漢字かるたを、歌うように読み上げながら取っていく子。一心に折り鶴を折る子。射水市の公民館内の「多文化こどもサポートセンター」に外国籍の子どもたちが月2回、集う。市内で自動車販売業を営むパキスタン国籍のアブドゥル・ラシードさん(37)の長男タルハ君(8)と次男ファルズ君(7)も常連だ。

 センターは、外国籍児童の日本語学習支援のため、「とやま国際センター」(富山市)や射水市などが今年6月に設立した。市内の小学校に通う外国籍の子どもが、日本人ボランティアと宿題をしたり、お手玉などをしたりして過ごす。

 「日本語は僕が1番上手。弟が2番。お父さんとお母さんはその次かな」。タルハ君は「当たり前」と言いたげに日本語で告げた。兄弟は富山生まれの市立小2年と1年。日常会話では、両親の母語のウルドゥー語より日本語の方が得意だ。

 学校が大好きなタルハ君。だが、最近になり、「国語があまり好きじゃない」などと漏らし始めた。「日本語の授業が分かりにくくなってきたのかもしれない」。ラシードさんの表情が曇った。

 県内の外国籍住民は82年以降、毎年増え続け、07年末の調査では初めて1万5000人を超えた。昨年5月現在、小中学校に在籍している外国籍の児童・生徒は402人。うち、学校に「日本語の指導が必要」と判断された子どもは全体の約75%の300人に上る。

 県教育委員会は、外国籍の子どもが多い学校の教員を増やすなどの手を打ってきた。だが、「日常会話は良くても複雑な文章問題は理解できず、学校での対策では不十分。勉強でつまずくと、義務教育期に通学しない不就学者が出る」と懸念する専門家もいる。

 文部科学省は05~06年度、全国の12自治体を対象に、初の外国籍児童・生徒の不就学実態調査を行ったところ、外国人登録をした子どもの約1%が不就学状態だった。射水、高岡両市の昨年の調査では12人。同センターは「未登録の子どもも含めると実数はこんなもんじゃない。全県調査が必要」と指摘する。

 だが、県教委は「対応は考えていない。調査予定もない」と素っ気ない。「一部地域に集中した問題。各市町村で対応している」。当事者意識を欠いた答えだけが返ってきた。

 「外国人にも暮らしやすい、世界に開かれた元気とやま」。県のホームページに躍る文句だが、幼い兄弟には意味が分からない。言葉の壁や国籍で「住み良さ」から外れることを思えば、早く理解できるようになる方がいい。たとえ、中身が空っぽだと分かってしまうとしても。

毎日新聞 2008年9月29日 地方版

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