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幸福度「秋田37位」をどう見る

2011-11-25 10:17:00 | ダイバーシティ
(以下、朝日新聞【秋田】から転載)
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幸福度「秋田37位」をどう見る

2011年11月15日

国内の湖で水深が最も深い田沢湖。秋田県は湖、海、山と豊かな自然に恵まれている


 法政大大学院の坂本光司教授が発表した「47都道府県の幸福度に関する研究結果」で、秋田は37位だった。「日本一幸せ」なのは福井県民で、上位3県は北陸3県。東北では19位の山形が一番高かった。合計特殊出生率や総実労働時間、平均寿命など40の指標で点数化し、総合点順に並べたもの。秋田県民はこの順位をどう見たのか。

 「秋田は20位以内に入ってもいいのでは」というのは、秋田市高陽青柳町の会社員鈴木純二さん(55)だ。凶悪事件が少ないし、「農業県で豊かで、食べ物はおいしい」。そのうえ、「秋田美人もいる」。

 秋田市の市民団体代表、武内伸文さん(39)も「37位という順位をあまり悲観することはない」と話す。海や山といった豊かな自然に恵まれ、街なかに温泉も湧く。「他に代え難い伝統だってある。単純に数値化できないところにこそ、秋田の魅力があります」

 ビジネスにあまりガツガツしていない県民性は「弱点」かもしれないと感じる半面、「秋田の幸せは、そういうものから正反対のところにある」とも思う。「生活や地域から受ける幸福度は、決して低くないと思っています」

 ウィッグサロンを経営する秋田市御野場のヘアアーティスト佐々木洋子さん(51)は建築業の夫の転勤について埼玉、札幌、名古屋などに住み、秋田に戻ってきて18年。秋田の県民性を「アピール下手」と見ている。「女性は肌っこがきれいなのに、個性を出そうとしていない」と厳しく、「37位と低いのも納得」。

 「高齢者が住みにくいから、37位は妥当だと思う」と話すのは男鹿市船川港双六の三浦幹夫さん(62)だ。男鹿海洋高校臨時教諭で、民生委員もしている。

 「地域には小中学生が10人もいない。高齢者だけの住まいはやっぱり寂しいのでは」。さらに、交通の便が悪いことも挙げる。「病院に行くためにバスに乗り、片道30分以上かけて往復千円以上払わなければならないのはつらい」

 NPO法人「あきた地域資源ネットワーク」の永井登志樹さん(59)は「37位は健闘した結果」と見る。高齢化率や人口減少率が高く、自殺率が全国ワーストという現状が念頭にある。「今後、直面していく深刻な問題を考えると、あんたんたる気持ちになる」という。

 一方、秋田を魅力あふれる土地だとも考える。今秋、PRに取り組んできた男鹿半島・大潟地域の地形が「日本ジオパーク」に認定された。「ナマハゲやかまくらといった冬祭り、山深い秘湯など独自の文化も残っている。美人も誇れる」。足元を見つめ直すことが幸福度アップのかぎになるかもしれない。

 秋田大教育文化学部の島沢諭准教授(41)=経済政策=は「住めば都という言葉があるように、何が幸福かは、人それぞれ価値観が違う。高い自殺率など個別の指標を改善することが先決で、一喜一憂する必要はないと思う」と話す。

 島沢准教授は2位にランクした富山県の出身。秋田県の良さとして、初等教育の充実や持ち家率の高さ、犯罪率の低さなどを指摘。「子育て世代にとっては、これらの評価は魅力的に映り、住みやすい県と感じるのではないか」と話す。

 川反通りでバーを営んで18年の秋田市将軍野、照井恒夫さん(54)も「幸福度」の基準は人によって異なると思う。若い人は街の中を便利だと感じるだろうし、自身は田舎でのんびり暮らすことにひかれる。「幸福度は自分の気持ち次第。自分が一番いたい場所が幸せな場所ではないでしょうか」

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