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外国人看護師 試験の見直しはまだ不十分だ

2010-09-07 10:09:49 | 多文化共生
(以下、読売新聞から転載)
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外国人看護師 試験の見直しはまだ不十分だ(9月7日付・読売社説)

 国と国の約束で受け入れを決めた以上、漢字を読めないことが障壁となっている現状は、政府の責任で改めなければならない。引き続き改善策を探るべきだ。

 厚生労働省の検討会が、外国人の受験者でも試験問題を理解できるようにと、看護師の国家試験を見直す指針をまとめた。

 見直しのきっかけは、経済連携協定(EPA)に基づいてインドネシアとフィリピンから受け入れた看護師希望者の試験合格率が、極端に低かったことだ。1年目は1人も合格せず、2年目の合格率もわずか1%だった。

 このため、「漢字の読解能力で不合格というのはおかしい」という批判が高まり、厚労省が3月から見直しを進めていた。

 新たな指針では、病名には英語を併記し、カルシウムは「Ca」などと、国際的に認定されている略語を記載する。EPAで来日した人たちは、母国で看護師の資格を持っている人たちだ。英語や略語の併記は助けとなるだろう。

 指針は難解な漢字にルビを振ることも容認したが、床ずれの意味の「褥瘡(じょくそう)」や、あおむけの「仰(ぎょう)臥(が)位(い)」など、医療・看護の専門用語は対象外とした。平易な表現への言い換えも見送った。

 日本看護協会が、重大な医療事故を防ぐには、日本人スタッフとの意思疎通のために専門用語の漢字読解能力が不可欠と主張し、検討会もこれに沿った形だ。

 医療上の安全を確保するのは当然だが、日本人でも読めないような漢字にルビを振ることも、許されないのだろうか。

 新指針は、来年2月の試験から適用される。問題は、これに不合格なら帰国を余儀なくされる人たちが100人近くいることだ。

 本来なら、見直しが十分かどうか検証してから実施すべきところだ。再来年も受験可能とするなど特例措置の検討も必要だろう。

 医療や介護の人手不足は依然、深刻である。意欲も能力もある人材を、「漢字の壁」を設けて締め出すべきではない。

 政府は、がん検診などの分野で外国人患者を日本の病院に積極的に受け入れていく方針だ。英語を話せるフィリピン人看護師などは外国人患者とコミュニケーションを図る上で役立つに違いない。

 看護師や介護福祉士の受け入れはベトナムやタイも求めており、いずれEPA改定の議論が出てくる。最初の受け入れでつまずくことのないよう、政府は受け入れ環境の整備に努めてほしい。
(2010年9月7日01時20分 読売新聞)

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