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「真のニセGDP」と「ニセの真GDP」-中国の本当の現実

2009-07-24 22:52:57 | 多文化共生
(以下、Searchinaから転載)
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「真のニセGDP」と「ニセの真GDP」-中国の本当の現実
【コラム】 2009/07/24(金) 10:35

  中国の上半期の国内総生産値(GDP)伸び率が7.1%と発表された。これをもって中国はいち早く世界不況脱出だとか、今年は日本をこえて世界2位のGDPを誇る経済大国となったとかいう報道が日本のメディアでも大きく取りあげられた。しかし私は、あれ?と思う。私の知り合いの北京人や北京在住日本人から聞く肌感覚と、この統計発表にからむ日本の記事と温度差があるからだ。

  「GDPが日本を超えるといってもぜんぜん嬉しくないよ。就職難は続いているし、北京のオフィスビルはがらがらだ」と北京で投資コンサルタントをやっている知人。「北京在住の日本人は減って日本人学校の生徒数も半減だ。広東にいけば失業者の抗議活動が毎日のように起きている」と北京の日本人リサーチャー。当局発表を疑うことに慣れている中国人の間では「これはニセ統計だろう!」と言う人も多い。

  最近、新華社系の国際時事紙・国際先駆導報で「ニセの真GDPと真なるニセGDP」というコラムが掲載された。水増しデータによるGDPが「真なるニセGDP」とすれば、橋を造って壊し造るなどの浪費の手法で、計算上はGDP増となるが、実際人々の暮らしの豊かさには反映されない「ニセの真GDP」。コラム中では薄煕来・重慶市党委書記が「百姓の命と交換されるようなGDPはいらない」といった発言も紹介されているが、中国のGDPとは、豊かさの指標でも経済大国の証でもない、ということを中国人自身が指摘している。

  低賃金で無知な農民を騙して酷使するような汗血工場は今もあるし、貧しさから子供や女性を家族が売る「おしん」のような世界もまだまだ残る。北京郊外ですら、肉類は年に数回しか食べないという寒村がある。中国の高校教師ブロガーが、中国のGDP報道についてこう書いていた。「中国のGDPは外資が支えているんだろう。GDPが増えることは外資の利益が増えることで、中国人よりも外国人が喜ぶものだ」。

  日本の企業家やアナリストの中には、世界が今の不況を脱出するには中国にけん引車となってもらうしかない、といった期待論や中国がアジアの盟主たる日本の地位にとってかわるという脅威論を言う人が多いが、統計数字や北京や上海など限られた都心の風景ばかり見ていては、大切なものを見過ごす。

  中国の新疆やチベットでは100人単位の死者を出す騒乱が武力鎮圧される事件が続き、都市でも農村でもこれまでにないくらい不満が高まっている。これを抑えるためにネットを含め情報統制が日増しに強化されている。カントリーリスクはむしろ高まっているのだ。中国にこの危機を暴発させずにうまく乗り越えさせることが、日本の経済どころか国家の命運を左右しかねないのだという点を肝に銘じて、むしろ日本は中国を導くくらいの気構えでいてほしい、と私は思うのだけれど。(執筆:中国ウォッチャー 三河さつき)

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