たろの日記ページ,gooブログ版

http://taro-r.sakura.ne.jp の分家です。一部内容が重複してます。

1bitディジタルとは?

2006-04-28 15:38:18 | 音響

発端

RinRin王国さんが「1ビットオーディオって結局何なの?」と書かれてるを見て,ぁ,これって分かりやすく説明するのって難しいよなぁ…と。で,ここにあるように,
めっつぉさんが「『上がる』か『下がる』かだけ」と書いているが正しいのですが,ここはでしゃばって,もう少し詳しく書いてみますか…という気になりました。とはいえ,わたしも一応1bitが出てきたときに勉強したものの,実際にそれを扱っている人間ではないので,間違って理解してる可能性もあります。その場合はごめんなさい(_o_)。

PCM

まず,普通のディジタルの話をします。普通のディジタル(PCM)がどうやって音をディジタル化してるかというと,音(波)はオーディオ機器の中では電気信号になってますので,ある一定周期(=サンプリング周波数)で電圧を測定し(=サンプリング),その電圧を16bitとか24bitとかで表現する(量子化)ことでディジタル化してます。

ΔΣ変調

ところが,この連続信号をディジタル化する処理装置(AD変換器)のやり方に,上記の通りにやらなくて,PCMのサンプリング周波数より,遥かに細い周期で,1サンプル時間過去に対して,現在が上がってるか?下がっているか?だけを1bitで表現しするというやり方があります。正確には,積分器を用意して,1サンプル過去の信号より,現在の信号が大きければ,1bitだけ加算する,小さければ,減算するというのをやります。1サンプルで1bit分しか積分器の出力をいじれないので,大きな電圧の変化に対応できないように思いますが,サンプリング周波数をどんどん細くすれば,その間に何回も積分値を変えられますので,値の変化に対応できます。
このやり方をΔΣ変調といいますが,実はΔΣ変調の出力は,いろいろなやり方をするとPCMの信号に変換できます。実はPCMのAD変換器を作るよりも,ΔΣ変調のAD変換器を作り,その出力をPCMに変換する方が,遥かに安くて高速なAD変換器が作れて(この辺は回路の問題らしいので理由はしりません)しまうらしく,現在のAD変換器はほとんどΔΣ変調器から作られているそうです。

1bitディジタル

ΔΣ変調した信号をわざわざPCMに直しているのであれば,じゃぁΔΣ変調の信号自体をそのまま記録してしまった方が,精度がいいのでは?…という発想で生まれたのが1bitディジタルです。

なぜ1bitの方がアナログに近いのか?

1bitディジタルの方が処理が少ないので,元信号に近いというのは,話としてはわかります。しかし更に1bitディジタルはアナログに近い…とも言われます。その一つの根拠として1bitディジタルはDA変換器が不要です。ディジタル信号を,そのままスピーカに突っ込めば音が出ます。正確にはローパスフィルタ(低い周波数しか通さないフィルタ)をかけると,アナログ信号に戻ります。人間は高い音は聴こえないし,スピーカも再生周波数の上限があるので,そのまま突っ込んでも音になるわけです。

1bitディジタルと空気振動

ここで,ちょっと「それは話が違うだろう?」と言われる気がしますが,強引に1bitディジタルと空気振動の様相を比べてみます。
音である空気の振動は「波」です。波というと,サイン波の波形のような上下に振動するの(横波)を思い浮かべますが,実際は音は,進行方向に振動する「粗密波」です。地震でいうと縦波…ってやつ。音が前方に進んでいるとすると,空気の分子は前後に揺れています
この様相を分かりやすく説明するために,トムボーイというバネのおもちゃを引き合いに出しましょう。このおもちゃ,触ったことがある人だったら,想像できると思うのですが,このバネを机の上に横方向にびろ~んと伸ばして置いて,片方から手で「ポン」と押すと,押したところのバネが縮むのですが,すぐに伸びて,更に先の方が縮んで…と,縮んでいるところが,前方に進みます。空気が進行方向に振動する粗密波…というのは,この振動の様相とほぼ同じです。
縦波と横波横波(上段)と縦波(粗密波)(下段)
更に書くと空気は分子で出来てるので,ある程度分子同士が近づくと反発します。離れると吸引されます。これが空気が圧力を持つ要因です。
ここで,バネの金属があるかないかで,金属があるところを分子がある,空気がないところを分子がない…という風に,見ると,このバネは空気が音を伝える様子を,よく表してるといえます。
更に,先ほどのバネのおもちゃの動きを観測するのに,全体を観測せず,ある地点だけを見つめて,そこにバネがあるかないか?だけを観測しても実は(途中で減衰とかしてないのであれば)そのバネを伝わる信号は記述できます。
さてここまで書くと,ピンとくる方はくると思いますが,実際に空気を伝わる音波は究極にミクロに見ると1bitで表現できるということになり,そしてそれは1bitディジタルと似てるということになります。

D級アンプ(PWM)

さて,今書いた「1bitディジタル≒音波」は突っ込みどころ満載です。実際1bitディジタルは「ある」「ない」ではなく「高い」「低い」ですので,粗密波の圧力が「高い」「低い」という方が,正しいでしょう。実際の1bit信号は,音波の電気信号の電圧が高いところは1bitのパルスが密に詰まっていて,低いところは,粗になっています。従って,この信号をスピーカに入れると,密なところはスピーカの振動板を押し,粗なところは引くのでスピーカが振動し,音が出るわけです。これはPWM信号を用いたD級アンプと非常に良く似てます。つーか1bitディジタルアンプってD級アンプじゃないのかって気もするのですが,なんか厳密には違うような気もするので,あまり突っ込まないことにします。

まとめ

…というわけで1bitディジタルについて書いてきました。要は高速にサンプリングし,電圧が高いか低いかを1bitの密度で表現したものです。そして,回路的にシンプルに作れるのと,DA無しでそのまま再生できるので,アナログ的だ,高音質だと言われたりもしてますが,実際は良く分かりません。ただ,一つだけ思うのは,1bit信号はどのように信号処理をすればいいのか,良く分からないなぁ…ということで,そもそも1bitアンプにはイコライザとかあまり入ってなくて,それゆえに入った信号をそのままだそう…という傾向が強い気がします。
個人的には1bitディジタル信号処理…ってどうやってやるんだろう?…っていう疑問がありますが,とりあえず必要かどうかも良く分からないので,それ以上深く考察してないのでした(_o_)。
ここまで読んでいただいた方,ありがとうございました。嘘書いていたらごめんなさい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする