急逝した元敏腕記者のお通夜に出席した。
市内の葬祭場。受付を済ませ中に入っていく。
敏腕記者といわれた時代の遺影が目に入る。
煙草をくわえ、後ろを振り向く写真が遺影として飾られている。
右前方には、下を向いたままの兄弟の後姿。非常に淋しそうだ。
左前方には、市民運動を続けてきた仲間の弁護士や記者時代に懇意にしていた関係者が多く椅子に座り、彼の死を悔しそうな表情で遺影を眺めてはふたたび下を向き、涙を抑えている。
読経が終わった。そして、焼香だ。重い腰をあげ、中央に出席者の列が出来る。後方に座っていた私と同僚がゆっくり霊前に進む。
喪主の兄が目を真っ赤にはらし大粒の涙を抑えようとするが止まりそうにない。
彼は市民運動の中心になってきた人だけに、その主人公も大粒の涙を出しながら、しゃくり泣き続けていた。
彼とその人とは、高校時代の同級生。記者を辞してからの付き合いだったと話していたが、同じ境遇で急速に仲が良くなったということだった。その人の支援を事務局長として続け、先日、裁判が一段落したばかりだった。
亡くなった彼は、ほっとして、ゆっくり次の作戦を練っていたに違いない。まだまだ次の目標を持って生き続けようとしていたに違いない。大変、無念の死だ。
聞くところによると、彼は心臓を悪くしていたということだ。過労の上、遺影にある煙草が災いしたのかもしれない。
ひとりで、ひっそり亡くなっていた。発見されたのは死後2日目だったという。
心からご冥福をお祈りしたい。