昔に出会う旅

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因島「白滝山」参道3 八栗寺・くぐり岩コース

2010年05月16日 | 山陽地方の旅
前回に続いて尾道市因島「白滝山」の参道の記録です。

参道は、「フラワーセンター」付近から頂上まで約30分のコースですが、帰りは途中の区間にある別コースを歩いてみました。



前回も掲載した「白滝山」参道の地図です。

今回は、頂上近くの地図⑪の地点から⑩「八栗寺」、⑨「くぐり岩」を経由して⑦「六地蔵」近くの合流地点までのコースです。

地図では⑪の地点から上方向の「フラワーライン駐車場」へ下る分岐が、八栗寺・くぐり岩コースの分岐より山頂側になっていますが、逆のようです。

「大日如来」を通るコースと比較して急な坂道の部分が多いようでした。

途中、⑩「八栗寺」の近くに「奥の院」がありますが、気が付かず通り過ぎてしまいました。



頂上の山門を下り、なだらかな尾根の道を下っていると、左手に「八栗寺」へ下る道が分岐しています。

標識には左に曲がると「参道」、直進は「フラワーセンター」と書かれています。

「八栗寺」は、因島八十八ヶ所霊場の一つです。

白滝山頂上の観音堂前で、係の方に因島八十八ヶ所霊場の由来を教えて頂きました。



白滝山の頂上の「伝六像」の後方で、背を向けて立つ「弘法大師像」です。

係の方のお話では、因島に八十八ヶ所霊場(明治末期)をつくる最初にこの弘法大師の石像を建立し、大師に霊場を開くお許しを祈った後、札所の整備が進められたそうです。

「弘法大師像」が「伝六像」に背を向けて立っている理由は、八十八か所の四国に向いているためと聞きました。

2010年01月20日掲載の「白滝山頂上の石仏群と柏原伝六」(8番目の写真)で、「伝六像」の隣が空席であることと、「弘法大師像」が背を向けて立つことが謎と書きましたが、一つ解けたようです。



白滝山の頂上に因島八十八ヶ所霊場、番外札所「白瀧観音寺」があります。

観音堂から、石仏が並ぶ一段上のエリアに上がると、すぐの左隅にあります。

第一番札所は、因島大浜町の大浜崎灯台近くにある「霊山寺」ですが、「弘法大師像」に参拝後、すぐそばの「白瀧観音寺」への参拝を考えると、ゼロ番札所とも言える寺だそうです。

写真左の石像は、白滝山の石仏造りを指揮した「柏原林蔵像」で、「白瀧観音寺」はその背後に建てられています。

「柏原伝六像」の背後に南向きで建つ「弘法大師像」と類似した位置関係です。

「弘法大師像」は四国のある南に向くと教えて頂きましたが、北向きの石仏群と逆の南向きで、宗教的な摩擦を避ける配慮もあったのではないでしょうか。



道を下り始めてしばらくすると、眼下に「八栗寺」の屋根が見え、ふもとの景色が開けてきます。

下に見える広場は、「フラワーセンター」です。

5月1日、イベントの音楽が聞こえて来ました。



ふもとの「フラワーセンター」の入場口前から「白滝山」を見上げた写真です。

向って左の山腹に岩の上に建つ「八栗寺」が見え、山際中央には観音堂前の展望台の屋根、右上には鐘楼が見えます。

山の斜面には、たくさんの巨岩がそびえ、壮観な山の景色です。

昔から岩の断崖を「タキ」と呼ぶようで、「白滝山」の名称にある「滝」は、この巨岩から名付けられたのかも知れません。

昨年10月、愛媛県の「四国カルスト」へ行った帰り、愛媛県久万高原町の「上黒岩岩陰遺跡資料館」へ立ち寄った時、案内係の方が、遺跡のある高い岩の断崖を「タキ」と呼ばれていたのを思い出しました。

久万高原町の景勝「御三戸嶽[みみとだけ]」も岩の断崖で、「タキ」は、ごく自然に付けられた名称にも思えます。



急な参道が、次第に緩やかになり、因島八十八ヶ所霊場八十五番「八栗寺」へ着きました。

寺とは言え、小さなお堂で、周囲には三つの石の祠がありました。

因島をめぐると、このような大きさのお堂が各所に見られ、地元の方々のお接待もあるようです。

岩場の上に建つことから周囲の景色を遮るものがなく、絶景が楽しめます。



「八栗寺」のお堂の奥に安置されている「聖観世音菩薩」の石像です。

ヨーロッパの王様のような顔にも見えます。

日本酒が2本供えられ、どうも因島の観音様はお酒好きのようです。

■上の横の壁に歌が書かれた額が掛けてありました。
==================================================================================
 煩悩を胸の智火にて
    八栗をば
 修行者ならで
    誰か知るべき
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大日如来コースから見た「八栗寺」です。

後方の山の斜面に巨岩がそそり立ち、帰りには必ず立寄りたいと思った魅力的な景色です。

地図では巨岩の辺りが「奥の院」のある場所のようです。



「八栗寺」を過ぎ、急な坂道を下りていくと道が、右に折れて、「くぐり岩」がありました。

道の左に突き出た岩と、右手の斜面に平らな大岩が載ってトンネルになっているようです。

「くぐり岩」は、どう見ても人工的なトンネルのようで、いつの時代の物でしょうか。



下から見た「くぐり岩」です。

手摺のある石段を下り、大岩をくぐり抜けます。

トンネルをくぐる時、山側の上を見ると、大岩の下に不動明王と思われる石仏が安置されていました。



「くぐり岩」を抜けて進んで行くと参道は、直進する下山道と、右手からの「大日如来コース」と合流します。

白滝山の参道は、眼下に広がる景色や、そびえる巨岩、石仏などが楽しめ、思い出深い山歩きになりました。

ふもとからの参拝ルートは、歩きやすさや、景観を楽しむ点でもやはり「大日如来コース」を登り、「八栗寺コース」を下るのがお奨めです。

次回は、白滝山に関係する方々から教えて頂いたことを交えて、頂上の石仏観賞を掲載したいと思っています。


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2 コメント

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Unknown (kanko)
2010-05-20 11:09:44
いつもお世話になります。
どのブログも素晴らしくこちらが、勉強になることばかりです。
ここまでしていただけるとは、本当に深く感謝しております。

地図とくぐり岩のコースを載せたいと思っておりましたので、リンクさせてくださませ。
よろしくお願いいたします。
返信する
ありがとうこざいます (tako_888k)
2010-05-20 12:54:29
kanko様

いつもありがとうございます。
つたないブログがお役に立つなら幸いです。
よろしくお願いします。
返信する

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