昔に出会う旅

歴史好きの人生は、昔に出会う旅。
何気ないものに意外な歴史を見つけるのも
旅の楽しみです。 妻の油絵もご覧下さい。

「大里城跡」横の井戸「チチンガー」

2008年09月07日 | 沖縄の旅
「大里城跡」の見学を終え、「チチンガー」を見に行きました。



「大里城跡」の門の手前の四つ角付近に案内板が並んでいました。

向って右は、前回掲載の「大里城」の案内板です。
案内板のすぐ後ろに、共同井戸「チチンガー」があります。

■向って左の案内板にある「チチンガー」の説明文を転記します。
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大里村指定有形文化財(建造物)
チチンガー  平成2年3月15日指定
チチンガーは、島添大里グスクの城門近くの城壁外に設けられた降り井形態の井戸で西原集落の村の共同井戸として使用されていた。
築造年代は定かでないが、島添大里グスクとの関係から14世紀頃と推定される。井戸の湧水地点は地表から8メートル下にあり、取水地までは琉球石灰岩の岩盤を削って43段の階段が取り付けられている。取水地の岩盤部分は琉球石灰岩の面取り積みの石が積まれており島添大里グスクの城壁の一部ともみなされている。
伝承によれば、井戸が城壁外にあると清水湧きだし、場内に取り込まれると水が枯れたとのことである。
また場内のスクヤマヌウカー(御井)が枯れたので築造したとの伝えもある。
チチンガーは、島添大里グスクと密接に関わっているばかりでなく、当時の城と井戸との関係を理解する上でも貴重である。
 平成2年3月25日指定 大里村教育委員会
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南城市大里西原の案内地図も並んでいました。
「大里城跡」は、大里公園となっているようで、付近には「ミーグスク」や、「カニマン御嶽」があるようです。



案内地図にあった「チチンガー」の向かいにある公民館です。
建物の向って右部分にトイレがありました。
大里城の入り口付近に見学者への利用案内が掛けられていたので利用させて頂きました。



公民館の向かいの四つ角に野菜の無人販売所がありました。

キャベツが5コ並んでいます。
左の青い料金箱と、右に買物袋が置かれ、販売準備OKです。



四つ角から路地に入り、「チチンガー」を通り過ぎた道端にパパイヤの木が並んでいました。。

木にはたくさんの実が付いて、「取るな」と書いた看板が取り付けられています。
又、パパイヤの実全てに続き番号まで書かれてあります。
現行犯逮捕で、よそから持ってきたなどと言わせないためでしょうか?

「取られたくない!」と言う強い気持ちがひしひしと伝わってきます。



写真は、「チチンガー」のすぐ横にある拝所です。
糸満市字大里の「南山城跡」近くの泉「カデシガー(嘉手志川)」にも拝所がありました。
生活に欠かせない大切な水がいつまでも湧き続けるようにお祈りをするのでしょうか。

石で造られたアーチと、石垣にどのような意味が込められているのか興味のあるところです。



「チチンガー」の入口です。
ここから石段が43段続き、8mの地下に下りて行きます。

人が、階段で地下におり、水汲みするタイプの井戸は初めてです。

沖縄南部で、大きな勢力を持っていた「島添大里城」に大勢の人が集まることなど考慮すると、一度に多くの水を汲む必要から階段タイプの井戸が考えられたものと推察されます。

上記の「チチンガー」の説明文によると「・・・井戸が城壁外にあると清水湧きだし、場内に取り込まれると水が枯れた・・・」 とあります。
城に籠って防衛することを考えると井戸を城壁外にすることは考えられません。

しかし、沖縄全土が統一され、城の防御の重要度が低くなり、周囲の人々の生活を考慮して井戸を城外に移したのではないかと思います。



石段が最初に直角に曲がったところから下を見た写真です。

石段は、人がバケツ(昔は水桶・水甕)を持ってなんとかすれ違うことが出来る感じです。


一番下の水汲み場です。
ゴミが落ちないように屋根がついていますが、水汲みの作業にはとても邪魔な感じです。

人が、かがんで、柱の間から下の水を汲むのは少しきゅうくつそうです。



井戸の上から8m下を覗き込んだ写真です。
大里城にも咲いていた小さな赤い花が、ここにもたくさん咲いています。

水道のない時代、毎日使う水の全てをこの井戸から汲んで持ち帰る生活は、水道ができた現代では想像すら出来なくなってしまいました。
8mの石段と、家までの距離を重い水を持って帰る毎日は、実に大変だったと思われます。


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