加賀の旅人

郷土の凧と歴史の狭間に埋もれた凧の歴史を尋ねる旅人です。

守貞謾稿の中の凧を再現(8)

2015年02月17日 | 金澤郷土の凧資料
近世風俗志(四)の守貞謾稿の挿絵を参考に「字凧」3点を作ってきました。糸目を付ける前に本の挿絵と彩色した字凧を並べて見ました。


(未の篆字凧)



(蘭の字凧)



(魚河岸凧)


絵柄は技術が稚拙なためいまいち満足できたものではないのですが、凧の骨組みは挿絵と同一に出来上がったと思っています。
今回、挿絵と彩色した凧の写真をPCのペイントを使い、比較するために並べてみたのですがペイントの使い方が悪くて彩色した個所がにじんで見えますが、実際の凧は「守貞謾稿の中の凧を再現(7)」で見えるように見栄えは悪くないのです。
読者の方で良い方法があればご教授下されば有り難いのですが。

後は凧の糸目の付け方に関しては挿絵では不明なため、「凧大百科」の類似の凧を参考に糸目の取付を決めて行きたいと思っています。
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守貞謾稿の中の凧を再現(7)

2015年02月14日 | 金澤郷土の凧資料
凧に彩色
先日組立てた凧が乾いているので今日は色入れである。
まずは篆の字凧である。最初から気負ったせいか染料が筆につきすぎたせいか線からにじんできた。慌ててティシュペーパーで押え余分な染料をとる。
(未の篆字凧)

(未の篆字凧裏面)

この魚河岸凧の市松模様は角の彩色がきれいに出来ると見栄えが良くなるのですが、彩色はさすがに緊張しました。出来栄え的には満足です。
中の文字の色は生臙脂(しょうえんじ)となっていますので、手持ちの染料を探して似通ったシリアルレッドという染料としました。
染料をお湯で溶かし色合いを見ると少し薄かったので染料を追加し、混ぜたのですが、完全に混ざらなったようで塗って見ると彩色むらがでてしまったので残念です。
(魚河岸凧)

(魚河岸凧裏面)

干支の凧にも大洲和紙を使い赤い染料を使用した時はきれいに発色してくれたのに、今回の藍色の染料は相性が悪いせいか和紙の吸い込みが悪くあまり満足のいく発色とはならなかった。
紙の性か?自分の腕が未熟だったと反省しかり。
(蘭字凧)

(蘭字凧裏面)

彩色までが完了しましたので乾燥させます。
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守貞謾稿の中の凧を再現(6)

2015年02月13日 | 金澤郷土の凧資料
納得できない竹骨
凧の骨組みは一応完成しましたが、絵柄の書かれた紙の上に配置してみるとこの状態で組立することに納得できないのです。
(削った竹骨)
市販の角凧を事前に作っていましたのでこの凧の骨組みと比較してみると、今回削った竹の幅が広く、厚みも厚いのです。
市販の角凧はこれまでも講習会で沢山教えていたこともあり、竹骨の寸法が分かっていることもあって、同寸法の凧の大きさでの今回削った竹の寸法に違和感を覚えていたのでした。
市販の角凧に購入した藍色の染料の色合いを見るために塗ったのが下記の凧です。
藍色の色合いは思った通りの色合いでとても満足できるものでした。
(藍色の色合いを見るために作った凧)

竹の骨組みを修正
「凧大百科」の記述を参考に竹骨の幅を6㎜、厚みを3mmとして竹骨を準備したのですが、事前に作った凧との相対で天骨の幅は6㎜、厚みは2㎜、中骨は幅は5㎜、厚みは2㎜とし、斜骨はの幅は6㎜ですが凧の中央から下部にかけての厚みは2㎜~1.2mmのテーパーで削り直すことにしました。
凧を再現するのに見本がない以上、今までの勘と経験で作るのが自分にとって納得のいく方法だと思っています。

竹骨を削り直したものを再度、天骨、中骨、斜め骨の曲りを修正し、ノギスで計るとほぼ目的の寸法に仕上がりました。
これでやっと竹骨として使うことができます。
(完成した竹骨)

凧の組立
削った竹骨を絵柄の書かれた紙に貼っていきます。
(未の篆字凧)

(魚河岸凧)

蘭の字凧は前もって書いていたのですが、新たに書き直すことにしました。
凧紙は7匁の大洲和紙を半分に切ったもので思った以上に厚みが感じられます。
(蘭の字凧)
この凧が乾けばいよいよ彩色です。
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守貞謾稿の中の凧を再現(5)

2015年02月11日 | 金澤郷土の凧資料
凧の竹骨を削る

丸竹を四つ割りにして納戸に置いてあったものを取り出し、それを三ツ割りに両刃の鉈で割るのですが以前は上手く割れたのに、しばらく割っていなかったので均等な幅に割れないこともあります。
竹にも表側と裏側があり写真のように同じ竹を割ったものでも裏側の竹は曲がっていることもあるのです。

曲がった竹をさらに三つ割しても竹は曲がったままです。

この竹を削ってストーブで炙って曲りを矯正すれば竹は他の竹と同じ真っ直ぐになりました。


割った竹の幅は約1㎝厚みは約6㎜ですが、竹の厚みを薄くするため両刃の鉈で竹を裂くように割っていくのですが節の所でで止まってしまい難しい作業です。

力の入れ加減を間違うと竹の皮の部分が薄くなり目的の厚みより薄くなり過ぎて使い物にはならないので竹を裂くのが一番難しい作業です。


割竹をナイフと鉋を使い削ります。

成形した竹の厚みが均一になるよう竹の節をヤスリで削るのですが、均一な厚みにするのは時間がかかる割には満足できる状態にはなりません。
後はストーブで炙り、竹の曲りを矯正し一応計画した寸法に出来上がった。
後は横骨と斜め骨の曲りが同一になるように各々の骨を調整する。
そして凧の骨組みは出来たのですが、なぜかこの骨組みには満足できず、次の作業に移れないのです。
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守貞謾稿の中の凧を再現(4)

2015年02月09日 | 金澤郷土の凧資料
凧の竹骨の考察

守貞謾稿の挿絵の凧を再現するためには凧の骨組みがいまいち不明です。
凧の挿絵では天骨、中骨、縦骨、斜骨であろうと推考してみるが、それで良いのであろうか?
そこで「凧大百科」(比毛一郎著 美術出版社刊)で江戸凧の項目を確認することにしました。
(凧大百科)
江戸凧の紙の大きさが書かれている表があり、この中で「西の内」大一枚の寸法の2倍の大きさの凧で大二枚の大きさとしています。
(和紙の寸法)
また「竹の加工」の項目では下図のような竹の加工が分かりやすく解説されています。

『割り方には柾割と板割りがある。安凧は柾割で高級品は板割りである。竹を半分に割り、またその半分に割って幅が1~2㎝になったら節を払い、所定の幅に両刃の肥後の守で割って行く。
竹骨の寸法を正しく作ることはもちろんであるが、厚みと骨の目方、弾力を横、縦、筋交いごとにそろえることが絶対条件である。
竹の節の表面を削り同じ幅に調整し、曲りがあれば火にあぶって矯正し、目方と弾力のバランスを整える。量産品と手作り凧の価値の差の分岐点である』と凧作りの極意が書かれている。

「凧の大きさと骨の寸法」の表では大二枚の大きさの凧では縦、横、斜骨は巾6mmで厚みが3mmを使用するとなっています。
この本には江戸凧の写真が沢山掲載されていますが、同形状の凧の骨組みは天骨、中骨が二本で斜骨となっていて再現しようとしている挿絵の骨組みの凧はありません。
それで毎年製作している干支凧の骨組みが、挿絵の骨組みと似ているので、その骨組みで組み立てることにします。
干支凧の竹骨は柾割で作っているのですが、今回の凧の骨組みは指南書を参考に板割りで作ることにしました。
(骨組みの基本構造)

凧のバックに塗る藍色の染料がなかったので、知合いの浜松の凧屋さんに相談したところ快諾して頂き、購入することが出来た。
(藍色の染料)
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