武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

碧巌録

2008年08月16日 | Weblog
 熊本から「碧巌録」が送られて来た。碧巌録は禅宗の必読書で宗門第一の書といわれる。
 大森曹玄老師の「剣と禅」を読んで斯道に導かれる。以来、四十数年いつかはこの大書を読破したいと思っていた。はからずも廣田君から、参禅の師である高橋嘉道老師のお言葉を記した、安谷白雲老師の「碧巌録提唱」を戴く。誠に有り難い。
 「碧巌録」は、垂示と本則と頌(じゅ)よりなる。垂示は、普通の文章で本則の精神をあらかじめ示している。本則は、禅の問題から模範的と思われるものを百ほど選んだもので公案といわれる。頌は、本則の精神を詩に歌って余韻を味わせるという三段構えになっている。

 第一則が達磨廓然(だるまかくねん)で、垂示和訳の、山を隔てて烟(けむり)を見て早く是れ火なることをを知り、牆(かき)を隔てて角を見て便ち是れ牛なることを知る。云々。に始まる。これは比喩的に示したものであり、ちょっと一端を見ると全体の察しが出来るという能力を我々は持っている。全部見てしまわなくてもちょっと端を見ると全体が分る。
 そして、本則には梁の武帝と達磨大師の問答が出て来ている。非常に仏教に熱心で仏教経論にも精通し、慈悲深く仏心天子といわれていた梁の武帝が、達磨大師を見抜けなかったというお話。

 お釈迦様は自ら体得された悟りの世界を、心から心へと伝える以心伝心の方法により摩訶迦葉尊者に伝えられた。第一代の祖師、摩訶迦葉尊者から、第二十八代が達磨大師である。達磨大師はインドから船で三年程掛かって中国に来られている。年齢は百二十歳位だったという。
 読書三昧のお盆。今日は大文字の送り火である。

資料:安谷白雲老師「碧巌録提唱」
写真:宮本武蔵筆「正面達磨図」
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