武産通信

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養神館合気道宗家 異変

2013年02月07日 | Weblog
★ブログ拝見『養神館合気道宗家』

 本日は、身体の不思議が好きで書籍を集められていますhann3さんの「hann3の読書日記」です。塩田剛三先生の養神館合気道に異変があったようです。それでは最後までじっくりとお読みください。

 養神館館長を辞任された塩田泰久宗家の“一身上の都合”とは?

 当時の私にとって、養神館の師範になっていたとはいえ、本部道場は、正直に言うとあまり居心地のいいものではありませんでした。「塩田館長の息子だから…」という目で見られ、距離を置かれていた部分があったことは間違いありません。(中略)正直、「オヤジは、なんで早く跡継ぎを決めないんだろう」と不満に思うこともありましたが、そこで立ち止まってぐちぐちと考えていたら、気が滅入ってしまっていたことでしょう。 (引用書籍:不世出の武道家・塩田剛三直伝 「達人」の秘訣は「呼吸力」にあり、以下同)

 養神館合気道さんのHPの新着情報(トップにある掲示板)を見て驚きました。二代目塩田宗家(三代目館長?)の塩田泰久さんが、昨年、平成24年6月14日付けで館長職を辞任されていましたから。お父上(塩田剛三さん)の跡を継がれたご子息(後継者)が退陣されるという異例の事態ですが、お辞めになられた理由は「一身上の都合」とだけ記されています。波風立てないようにという配慮だと思われるのですが、何かあったのかと余計気になってしまいました(辞任にともない塩田泰久さんに関する一切の情報・写真画像・コメントが消去・抹消されている)。

 上記引用の書籍は、昨年の9月に出版されているのですが、プロフィールには“合気道養神館宗家”とあります。6月には辞職されているのに9月に販売された書籍には“宗家”のまま。もしかしたら、この本の出版(発売)をめぐってひと悶着あったのかもしれないですね。

 つまり、突然辞任することになった原因は、塩田泰久さんの組織に対する思い(本音)が公表されたことによって流派運営に悪影響が出ると判断されたのだと思われる。上記のくだりは、過去の処遇(不遇?)について書かれたくだりですが、宗家になった後もそう変わっていなかったということでしょうか。2007年に井上強一館長(二代目館長)さんから一子相伝を強調したような形で三代目館長に就任…部外者の目からしても強引に感じるほどですから、内部の反発(不満)が強いと考えるのが自然です。今回出版された本の内容で、拍車をかけたといいますか、追い討ちをかけてしまったとか?

 この本の後半には技術的なことが書かれていますが、前半には、組織や師範たちに対する意見や見解を通り越して、批判・否定ともとれる文言が多く記されています。入門者を増やすために団体紹介しているというよりも、「こうなって欲しいのに」「こうあったらいいのに」といったテレビで評論家さんがコメントされているような視点(他人事?)に違和感を感じるほど。自分が正統な二代目宗家であることを主張するために批判しているといった雰囲気にさえ感じます。個人的には、トップの人間が身内の恥をさらしているような印象を受けました。

 たとえば、“不世出の武道家と言われた父も経営の達人ではなかった”というような先代宗家へのダメだし。“天は二物を与えない”としても、わざわざ話題にすることではありませんよね。座学の話が退屈で飽きていたのを見破られてお父上によく指摘された話などもあり、「身内だからこそここまで言える(二代目なんだ)」ということを伝えたかった描写にも感じられる。

 けれど、息子であることを強調しつつも、「しかし、ある時期から、父のイメージを追いかけるのをやめました。自分は自分であって父の真似をしてもしょうがない、父と自分は違うのだと思うようになったのです」という所信表明のような言葉も綴られている。

 門下生さんや道場長さん、他の師匠たち…“塩田剛三”さんの達人のイメージ(カリスマ性に惹かれて)で養神館の門を叩いた方たちからすると、二代目宗家流にアレンジされることを望んではいないと思われる。自分にあった武道(動きや哲学)になることは悪いことではないと思われますが、この場合は自分の流派を新たに立ち上げた方がよいですよね(“暖簾わけ”のような)。

 たとえるなら、老舗の人気ラーメン屋さんの代替りで味が変わるような感じ。お客さんは味を変えないでほしいと思いますよね(変化への抵抗がある)。失礼な言い方ですが、「親の七光りでやりたいようにやろうとしている二代目」と部下(?)の方々に思われてしまったのかもしれないですね。

 また、「人気がない先生はなぜなのか、とよく観察していると、子どもたちと楽しく喋らないうえ、周りに対して気配りが足りないことが多いのです」とのくだり…誰とは言っていなくても内部にそうした人間(ダメな指導者)がいるという遠まわしな表現も大胆。塩田泰久さんご自身の指導法と比較して紹介されているのですが、自分のように教えられない師範、変わろうとしない先生たちにヤキモキされてのことかもしれません(思うようにならないことへの不満?)。ですが、内部の人たちがこれを読んだら、たとえ自分のことではないにしろ気持ちの良いものではないですよね。

 その他にも、まるで内部告発のようなお話がもりだくさんです。トップに情報があがってこない会社の例をだしたり、派閥やグループで閉鎖的な組織の話をしたり、先生の間をふらふらしている弟子に釘をさすような指摘だったり、といった内部の人間関係の暴露。先代の死後バラバラになっていく組織、足を引っ張られた自分などの愚痴。深夜に書いたラブレターのような勢い(真夜中のラブレター現象)にも感じます。

 中でも、塩田泰久さんと古株の方々と確執が根強かったと思われるこのくだり…

 私が経験した中でいちばん嫌だったのは、「俺も(後輩時代、先輩から)ずいぶんいじめられて苦しんだんだ。だから、今度は(後輩の)お前が苦しむ番だ」というあからさまな態度を見せつける先輩に遭遇した時です。(中略)父・塩田剛三が亡くなった後の道場でも、そんな状況に近くなったことがありました。父が館長でいるときは、みんな父を師として尊敬する人たちが集まっているため、父を頂点とした心が通った上下関係ができあがっていました。ところが、父という一番の目標がいなくなった後でも、ある高弟が、父に従ったのと同じように俺に従え、というような態度で接してくるようになったことがありました。

 …こんなこと書いて大丈夫なのだろうか?と、読んでいて心配になってしまいました。流派が嫌になって辞められた方が書くのならまだ分かりますが、団体に所属していて、しかもそのトップの方が書かれているのですから、自分で自分の首を絞めている。もうどうにもならない状況に、玉砕覚悟、刺し違える意気込みでないと、ここまで悪くは言えないですよね。

 こうした部分に“一身上の都合”の空気感(営業妨害で謹慎処分的な)が漂っているような気がしました。ホームページから一切の痕跡が消された理由はここら辺にあるのだと思われる。

 でも、この本の出版が差し止められていないあたり(名誉毀損などで訴えられて発売中止になってない)から察するに、養神館合気道さんはあまり問題視されていないのかもしれません(事実無根との見解?差し止めた方が真実味を帯びてしまうから??)。

 最近、園田隆二代表監督さんが行ったオリンピック女子柔道選手への体罰(暴力・しごき・パワーハラスメント)に対する全日本柔道連盟さんとJOCさんの対応(調査・処罰)の遅さが、武道・スポーツ団体の悪しき体質としてマスコミの注目を浴びていますよね。外国だったらもっと迅速かつ重い処罰をしているといった比較で。

 時代や世代は変わっても、よくもわるくも組織は変わらない…武道団体はジレンマ(時代とのズレや歪み)解消のための変革を問われる時期にあるのかもしれないですね。個人の力が強くなった(意見が言える)というか、組織や企業へ求める期待値が上がっている(ここまでやって当然)というか、今後の組織運営は“今まで通り”にはできなくなっていくのだと思われます。
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