【合気道開祖 植芝盛平語録】
一霊四魂三元八力
一霊四魂三元八力の大元霊が、一つの大神の御姿である。大神は、一つであり宇宙に満ちみて生ける無限大の弥栄である。即ち天なく地なく宇宙もなく大虚空宇宙である。その大虚空に、ある時ポチひとつ忽然として現る。このポチこそ宇宙万有の根源なのである。そこで始めゆげ、けむり、きりよりも微細なる神明の気を放射して円形の圏を描き、ポチを包みて、始めてスの言霊が生まれた。
これが宇宙の最初、霊界の初めであります。そこで宇大は、自然と呼吸を始めた。神典には、数百億万年の昔とあります。そして、常在(すみきり)すみきらいつつ即ち一杯に呼吸しつつ成長してゆく。ゆくにしたがって声がでたのである。言霊がはじまったのである。キリストが「はじめに言葉ありき」といったその言葉がそれで、その言霊がスであります、これが言霊の始まりである。
このス声は、西洋にはこれに当てる字はなく、日本のみにある声である。これが成長してス、ス即ち上下左右のス声となり丸く円形に大きく結ばれていって呼吸をはじめるのである。
ス声が成長して、スーとウ声に変わってウ声が生まれる。絶え間ないスの働きによってウの言霊が生じるのである。
ウは霊魂のもと物質のもとであります言霊が二つにわかれて働きかける。みたまは両方をそなえている。一つは上に巡ってア声が生まれ、下に大地に降ってオの言霊が生まれるのである。上にア下にオ声と対照で気を結び、そこに引力が発生するのである。
高天原というのは、宇宙の姿である。宇大の生きた経綸の姿、神つまります経綸の姿なのである
一家族も一個人もそれぞれ高天原であり、そして呼吸して生々と生きているのである。
高天原とは一口でいえば、全く至大天球成就おわるということになる。これ増加開闢の極元なり。高天原の意をより理解して、神の分身分業をなしてゆくところに合気道ができるのである。
宇宙の気、於能碁呂島の気、森羅万象の気、すべての霊素の道をつづめて、そして呼吸を合わせて、その線を法則のようにして、万有の天の使命を果させるのである。そしてその道それぞれについて行うところの大道を合気道という。
合気道とは、いいかえれば、万有万身の条理を明示するところの神示であらねばならないのである。過去ー現在ー未来は宇宙生命の変化の道筋で、すべて自己の体内にある。これらをすみ清めつつ顕幽神三界と和合して守り、行ってゆくものが合気道であります。
宇大の活動の根源として七十五声がある。その一つ一つには三つのキソクがある。イクムスビ(△)タルムスビ(〇)タマツメムスビ(口)である。
八力がアオウエイの姿であり、国祖国常立命の御心のあらわれである。豊雲野大神との交流により五つの神の働きが現れるのである。かくて八大引力が対照交流し動くとき軽くすめるものは天に昇り、にごれるものよごれものは下へ地へ降った。天と地が交流するたびに、物化して下降、交流しては下降しだんだん大地化してきた。これがタマツメムスビの大神の神業である。イクムスビ、タルムスビ、タマツメムスビの三元がととのうと、宇宙全体の姿が出来上がるのである。
合気とは、言霊の妙用であります。言霊の妙用は一霊四魂三元八力の分霊分身であります。
史料:植芝盛平文「合気道新聞」合気会版