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武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

石田波郷  俳句の世界

2008年02月19日 | Weblog
 冬日和。佛教大学教授で俳人の坪内稔典「俳句の世界・石田波郷」の講義をうけた。石田波郷は大正2年に愛媛に生まれ、昭和44年に55歳で没している。
 人間探究派と呼ばれる。中村草田男、加藤楸邨とともに難解俳句といわれるように六ヶ敷い。昭和25年からは結核療養に入り療養俳句と呼ばれた。抗生物質のなかった当時、結核は不治の病であった。これは療養生活に入ってからの俳句である。
 
   霜の墓抱き起こされしとき見たり   ・抱き起こされて墓を見る   
 
   力つくして山越えし夢露か霜か    ・人生を振り返る夢の中か
 
   手花火を命継ぐ如燃やすなり     ・手にもつ花火に余命をみる

   元日の日があたりをり土不踏     ・土踏まずを日に当てている

   今生は病む生なりき鳥頭       ・とりかぶとは有毒の多年草

 一句、ニ句は「惜命」昭和25年。三句は「春嵐」昭和32年。四句、五句は没後の昭和45年に発表されたもの。死と向き合う心のうちを俳句にぶつける作者の迫力が読む者を惹きつける。
 これは初期の作品「鶴の眼」昭和14年。晩年の句と余りに違う俳句に、病に冒されなければと思うのは私だけであろうか。

   バスを待ち大路の春をうたがはず   ・のどかな世界が広がる

   吹きおこる秋風鶴をあゆましむ     ・鶴と風がひとつになる

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