武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

『兼見卿記』にみる天正大地震

2011年05月29日 | Weblog
★『兼見卿記』にみる天正大地震

 京都の吉田神社に伝わる「『兼見卿記(かねみきょうき)』という古文書に、天正13年(1586)11月29日に起きた天正大地震で「丹後若狭の海浜津波に襲わる」と、家が流され多くの死者が出たという記録が残されている。
 吉田兼見は吉田神社の神主で神祇官。織田・豊臣政権の記事に詳しい。また、細川藤孝、明智光秀と関係が深く、本能寺の変前後の記述が注目される。原本は18冊からなるという。
 また、ポルトガルの宣教師ルイス・フロイスが書いた『日本史』にも、天正大地震の記述の中に津波被害が記されている。


入夜大地震、昨夜之事囗
廿九日地震ニ壬生之當壊候、囗在家ユリ壊多死出候、丹後、若州、越州、浦辺波ヲ打上、在家悉押流、人死事不知数出候

夜に入り大地震、昨夜の事
29日、地震にて倒壊、在家揺れて壊れ死人多く出し、丹後、若州、越州、浦辺波を打ち上げ、在家悉く押し流され、人死ぬ事数知らず  (史料:東京大学史料編纂所所蔵)


若狭の国には (中略) 海の近くに (中略) 大変大きな別の町があって (中略) 町全体が恐ろしいことに山と思われるほど大きな波浪に覆われてしまった。そして、その引き際に家屋も男女もさらっていってしまい、塩水の泡に覆われた土地以外には何も残らず、全員が海中で溺死した。 (ルイス・フロイス『日本史』)

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合気道技法(74)

2011年05月24日 | Weblog
 植芝盛平翁 伝書

七十四、 首締

受  両手で綾にとって首締める

仕  右手下から入れ相手の右肩に向けて充分伸ばし切り下す
    右足は相手の左後方に進める

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日本庭園と見立て(2)

2011年05月22日 | Weblog
 日本庭園研究家の重森千青氏(京都工芸繊維大学講師)の講義をうける。今回は臨地ゼミナールである。

★真如堂『隋縁の庭』

 真如堂は、鈴聲山(れいしょうざん)真正極楽寺という天台宗のお寺。本尊は阿弥陀如来。「真如堂」は通称で、本堂の呼び名である。
 今から、約1000年前に創建。応仁の乱など幾多の変遷を経て、元禄六年(1693)に東山天皇の勅により再建される。江戸時代に財を成した旧三井財閥、三井家の菩提寺でもある。

名 称 : 隋縁の庭
様 式 : 平庭鑑賞式枯山水
作 庭 : 平成22年7月19日
作 者 : 重森千青

 三井家歴代の位牌が納められている位牌堂の前庭。三井家の家紋「四ツ目」をモチーフに設計する。その概念は、

・永遠不変のデザインとすること
・伝統を踏まえた作風にすること
・真如堂の山内にある材料で調達すること
・維持管理が楽な庭園とすること
・四季折々の花を飾ったり、波紋などいろいろな楽しみができる庭園であること
・山石、マキなど京都らしい風情を感じられる庭園にすること

 作品の見所は、意匠として、全体をカズラ石によって四角に区切り、さらにその中に四ツ目を入れることによって、四角という形を最大限に生かすデザインにした。ただし、なるべく統一感に対して変化を感じられるような配慮をして意匠する。
 大きな四角をかたどる仕切りの石は、山内で玉垣に使われていたカズラ石である。また、庭園内の景石類も、すべて山内にあった石を活用した。京都産の山石(チャート)を選んで、風合いの落ち着き具合と色の統一感が出たことは何よりである。
 石の配置構成は、書院側からも、御堂側からも見た際の高低差による遠近感が同様に見えるように留意した。また、豊かな人生観のようなものを石によって表現しようとした次第である。
 庭園内の樹木も、すべて元から植わっていたものの流用で、一切の加植や移植はしていない。ただ、移植不可能で、残念ながら伐採せざるを得なくなってしまった桧などは心残りであるが、これだけは庭作りにおいて致し方のないことである。
 また、手前側や奥の上部の平らな平天石は、その石の上に鉢などを置いて、花飾などができるようなことも考慮して組んだのである。

 庭園は、春・夏・秋・冬の、四季折々、朝・昼・夕暮れの時々、晴れの日や曇りの日また雨の日、雪の日の様々に、天気によっても趣を異にする。その、うつろいに変化を感じ、味わい深いものがある。

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合気道技法(73)

2011年05月17日 | Weblog
 植芝盛平翁 伝書

七十三、 首締

受  両手で綾にとって首締める

仕  左手下から入れ相手の左腕に掛け右手で頭押へ同時に右足進む

    左足引いて面打ちながら左手で相手の右袖持ちながら右側から入り右手で首押へる

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清水寺舞台とブライアンの曲面絵画展の夕

2011年05月15日 | Weblog
★ブライアン・ウィリアムズ特別企画展『清水寺とブライアンの曲面絵画展の夕』

 清水寺本堂と奥の院の両舞台、月明かりと、夕暮れ空の深いブルー、見下ろす京都のまち灯り、うす明かりに浮かぶお寺のシルエット、ライトアップされた舞台の各所での曲面絵画

   平成23年5月14日(土) 清水寺舞台に於いて午後8時~9時30分


 世界遺産の指定を受けている国宝清水寺は、日本最大の文化財の一つです。平安京の時代より宗教的な役割に加え、その文化の荘厳な流れが、何世紀にも渡って今日でも脈々と生きづいております。この度、特別なご許可をいただき、その堂々たる流れに私のささやかな一滴を加えていただける幸運を得ました。
清水寺の舞台にて、曲面絵画の大作10点余を披露させていただきます。

 作品ごとにオリジナルな曲面、その上に描く「曲面絵画」は全く新しい試みで、私独自の発想から生まれたものです。従来の絵画は、平面と直角の形からなり、直線の額縁の中に存在しているのが主流です。曲面絵画はその四角い平面から独立し、目の誘導からなる自由な曲線美により、今までに無い広がりと臨場感を味わえる作品になっております。
清水寺の舞台の素晴しい魅力は開放感と広がりの快感です。開放感豊かな曲面絵画の展示には、まさに願ってもない発表の場になることと胸躍らせております。

 世界遺産の清水寺で世界遺産をテーマにした「エベレスト・イグアス大瀑布・屋久杉・イースター島」等の作品とともに、何気ない景観美をとらえた作品も合わせてご覧いただきたいと思います。世界遺産は守らなければならない人類の共同財産ですが、名も無い美しい場所、命を与えられてくれている地球丸ごとを世界財産として扱わねばと切望するのです。地球そのものを守らなければ世界遺産でさえ守りきれないでしょう。
清水寺だからこそ、私の作品を通してこのメッセージをより効果的に発信できるものと考えるのです。
                                       ブライアン・ウィリアムズ


 清水門前町には午後8時の受付開始を待って長蛇の列ができていた。正面石段の向うには仁王門と三重の塔がライトアップされて朱彩色が鮮やかに夜空に浮かぶ。
 受付を通り寺務所を過ぎたところから、またしても清水の舞台まで長い列ができる。気長に待ってようやく舞台に到着した。
 舞台中央には世界遺産のエベレストやイースター島のモアイ像の大作。屋久杉など各所に並ぶ大小10点余の曲面絵画は、いずれも黒山の人だかりである。
 そして、ブライアンと握手して短い会話を交わし、清水寺を後にした。

                       風薫る舞台にかゝる月に筆     秋水

 ブライアン・ウィリアムズは1950年にペルーで生まれる。日本に来たのは1972年。そして1981年には高島屋ギャラリーでの個展を初めて開いた。高島屋横浜店をはじめに、以来、全国の高島屋各店で個展を開いている。近年では、湖東の佐川美術館での個展があり、日本の原風景を描いて40年になろうとしている。

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合気道技法(72)

2011年05月10日 | Weblog
 植芝盛平翁 伝書

七十ニ、 首締

受  両手で綾にとって首締める

仕  一、右で面打ちながら左足一寸引いて左から相手の手を潜り
      そのまま両手を真直に伸ばす

    二、潜ってから右手を外に出し胴を打つ

    三、同様右手を出して帯を掴んでつり上げる

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時事俳句

2011年05月08日 | Weblog
                   男の子われ河豚に賭けたる命かな     日野草城

                   河豚刺身何しんみりとさすものぞ     中村汀女

                   鰭酒や意地で飲まざるにもあらず     下村梅子


 諺に「河豚は食いたし命は惜しし」というように、肉は美味で刺身、ちり鍋、汁にして食べたり、鰭(ひれ)は酒に浸して飲むなど、昔から有名である。しかし、殆どの河豚は有毒で、有毒部分は血液と卵巣にあるといわれる。従って、その部分を傷つけぬように料理すれば中毒の憂いはない。

 焼肉チェーン店の生肉のユッケを食べた4人が死亡し、24人の重症者が出ている、今回の集団食中毒事件は悲しい。店の衛生基準と、国の行政指導が問われる。

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日本庭園と見立て

2011年05月01日 | Weblog
 日本庭園研究家の重森千青氏(京都工芸繊維大学講師)の講義をうける。
 
 日本庭園の美しさは、自然の美、四季の移ろいを中心に語られるが、それは自然風景の美しさに思いを馳せながら、しかも自然素材を中心にして作庭されてきたことからもわかる。同時に、もう一歩踏み込んで考察してみると、そこには「見立て」という言葉が見えてくる。庭園は季節や気候の変化を感じながら見ることが重要である。池を海に、石を山岳になど、日本人独自の美意識の心によって創作されてきた。その構成や鑑賞方法などを、作庭家の視点から読み解く。

(1)自然風景の見立て
・海洋風景を見る「池泉庭園」
 島、岬、出島、入江、州浜などがあり、荒磯(ありそ)の風景を観る。平安時代に建立された岩手県の毛越寺(もうつうじ)庭園は必見。

・海洋風景を水を使わずに石や砂で自然の美を表現する「枯山水庭園」
 室町時代後期から禅宗寺院の庭を中心に発達を遂げてきた。枯山水は、回遊式庭園や露地などの庭園と違い、散策などの実用的要素をもたず、屋内から静かにこれに対峙して観る。京都妙心寺の退蔵院など。

・身近な山間の風景の茶庭とよばれる「露地」
 一般公開はされていないが、裏千家今日庵の兜門(かぶともん)から玄関までの露地は、簡素な門構え、檜皮葺、竹樋のただずまいなど侘びた風情を醸しだす。

(2)築山に植える苔は樹林帯に見立てる
・杉苔や白川砂を用い自然の山並みを現わす。京都東福寺本坊庭園など。

(3)水墨山水画を立体絵画として見立てる
・禅修行の場としての庭園は、中国桂林などの風景を彷彿とさせる。禅院枯山水庭園の最高峰といわれる京都大徳寺の大仙院庭園。

(4)理想郷の世界を石で見立てる
・蓬莱山や須弥山などの孤高の山岳は、仏教の世界観を現わす。仙人の住居である洞窟表現。舟石とよばれる自然石は大仙院が必見。(写真)

(5)禅の精神性の見立て
・龍門曝(ばく)は、三段の滝を鯉が登り龍と化すという中国の故事に因む滝石組。

その他、石燈籠や手水鉢の石造品がある。

尚、寺院は「見学」するのではなく、「拝観」するというのが正しい。

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