武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

無声の気合

2021年12月14日 | Weblog

 無声の気合

 これは、宮本武蔵「五輪書」の気合についての一節である。

一、三ツの声と云事
三ツのこゑとは初中後の声と云て三ツにかけ分る事也、所によりこゑをかくると云事専也、声はいきほひなるによつて火事などにもかけ風波にもかけ声は勢力を見する也、大分の兵法にしても戦より初めにかくる声はいかほどもかさをかけて声をかけ亦戦ふ間の声は調子をひきて底より出る声にてかゝりかちて跡に大きにつよくかくる声是三ツの声也 、又一分の兵法にしても敵をうごかさん為打と見せてかしらよりゑいと声をかけ声の跡より太刀を打出すもの也
又敵を打てあとに声をかくる事勝をしらする声也、是を先後の声と云、太刀と一度に大きに声をかくる事なし、若戦の内にかくるは拍子にのるこゑひきてかくる也、能々吟味有べし (宮本武蔵「五輪書」火の巻)

 宮本武蔵は、掛け声は力をより強く作用させまたは拍子に乗るためのものとして、よくよく吟味あるべしと述べている。気合には、気勢が充実した発声が極めて大切だ。古より「有声より無声に入る」ということばがある。上達すれば発声がなくても無声で充分で、有声より無声の方が気海丹田により気力を集中できるとして、有声の気合よりも無声の気合に重きをおくようになるという。そして、精神を磨き、技術を磨く修練を重ねた達人や名人といわれる人は、有声の気合以上に相手を圧倒するものといわれている。晩年の植芝盛平先生は無声の気合だった。

 合気の剣は気合を発する。


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京都と俳句  芥川龍之介

2021年12月01日 | Weblog

                                雨の河童ばし龍之介と赤い羽根

 

 京都と俳句  芥川龍之介

   龍之介の俳号は「我鬼」という。

   白梅や青蓮院の屋根くもり     青蓮院

   春寒や竹の中なる銀閣寺     銀閣寺

   夕闇や枝垂桜のかなたより     枝垂桜

   花散るや牛の額の土ぼこり     御室仁和寺

   夕立や我は真鶴君は鷺     妓の扇に

   鱧の皮水切りたらぬ余寒かな     伊勢長

   葉柳や河原は暮れぬ石のいろ     加茂の堤

   町かどや入り日片照るひと茂り     祇園下河原

   薄雪をうち透かしけり枳殻垣     枳殻邸

   時雨るゝや峯はあけぼの東山     東山


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