合気道開祖植芝盛平の最初の外国人内弟子であるアンドレ・ノケ氏はフランス人であり、ヨーロッパにおける合気道普及の功労者の一人として知られる。
アンドレ・ノケ氏は1955年に来日し、言葉に苦労しながらの内弟子生活を送り、1957年に合気会から指導員認定書を授与されている。
アンドレ・ノケ「先生は、いつもお祈りしていらっしゃいますが、合気道は宗教なんですか?」
植芝盛平「いや、そうではない。だが、君がキリスト教を信仰しているなら、合気道によっていっそう敬虔なクリスチャンになれるよ。それは仏教徒の場合も同じことだ」
アンドレ・ノケ氏は後に「それを聞いた時は、びっくりしました。でも、嬉しかった」と述べている。
植芝盛平「私は合気道を通してあなたに非暴力の技を教えてきました。合気道とは、身体を通して精神(スピリット)を心に従わせる武道です。合気道は愛です。そして合気道が愛ならば、それは心です。
神はあなたに心の剣をお与えになった。それはあなたの兄弟である敵の心の憎しみを破る目的だけに使われるべきであって、その人の肉体を損なうために使われてはならないのです。
『相手に剣をふりかざすのではなく、心をさしのべなさい!』
合気道において技法は二次的なものです。肝心なのは技の持つ精神(霊)に気づくことです。私のこの言葉を世界の人々に伝えてほしい」
Morihei Weshiba "I have taught you the art of 'nonviolence' through the practice of aikido, a martial art that through physical motions creates actions where the spirit yields to the action of the heart. Aikido is Love, and if aikido is Love, then aikido is heart."
(アンドレ・ノケ「心と剣」Aikido Heart & Sword)
写真:植芝盛平とアンドレ・ノケ