武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

人生の特等席 TROUBLE WITH THE CURVE

2012年11月24日 | Weblog
                人生の特等席 TROUBLE WITH THE CURVE  主演:クリント・イーストウッド

 82歳のクリント・イーストウッドが『グラン・トリノ』以来、4年ぶりの主演作である。

 家庭を顧みず、メジャーリーグの名スカウトマンとして生きてきたガス(クリント・イーストウッド)。視力が衰え、目がかすみ始めた彼の最後のスカウトの旅に手を貸したのは、父との間にわだかまりを感じ続けてきた一人娘で敏腕弁護士のミッキー(エイミー・アダムス)。妻を亡くし、男手ひとつで育てようとして育てられなかった父娘の旅の最後にそれぞれが見つけた人生の特等席とは。

 旅は二人にとって過去と向き合うものでもあった。ガスは幼い時からミッキーを親戚に預けたり、寄宿学校に入れたことについて「人生の3等席ではなく、特等席(best seats)に座らせたかった」と釈明する。だが、ミッキーはスカウトである父と一緒に球場に行く時が幸せだったと打ち明ける。

 ガスは肉体の衰えこそあるが、長いキャリアで培ってきた「勘」音を聴く耳は誰にも負けない。ミッキーには父親譲りの野球の「勘」動きを見る目があり、各球団が獲得しようとしている若い打者をガスが見極める補佐をする。コンピューターによる選手のデータ分析と違い、「勘」というのは、経験の蓄積によって養われるものなのである。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

合気道技法(117)

2012年11月20日 | Weblog
 植芝盛平翁 伝書
 
座取

第十九条  敵ノ左袖ヲ右手ニテ摑ム事
 
第十九条  打面左手甲ヲ返シ折倒ス事

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原子炉命名 仏教界

2012年11月17日 | Weblog
 福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」と新型転換炉「ふげん」は、文殊菩薩と普賢菩薩に由来する。

 「もんじゅ」の命名は、他の新型動力炉「常陽」「ふげん」とともに動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の副理事長・清成迪氏が発案したものであるが、その発案に当たっては、当時の仏教学界や国文学界の首脳とも相談したということが当時の広報室長、関根瑛應氏の証言で判明している。仏教学界では宮本正尊氏、国文学では土岐善麿氏の名前が挙げられている。(Wikipedia「もんじゅ」)

 また、このような記事も「もんじゅ・ふげん原子力政策容認していた仏教界」(中外日報 2012年7月10日)

 近代仏教史家の工藤英勝氏は日本印度学仏教学会・第63回学術大会(2012年6月30日)において次のように発表している。

・特別公開論文『仏教者は新型動力炉命名にどう関与したか?―「もんじゅ」「ふげん」命名伝説の虚実』

 本研究発表は、福島第一原子力発電所の崩壊的爆発事故と広範囲・高濃度の放射能汚染という事態を受けて、仏教・僧侶と原子力政策との関わりの一端を検証するものである。
 発表者が所属する曹洞宗では、大本山の貫首(住職)が、新型原子炉「もんじゅ」「ふげん」の名付け親であるとか、当時の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)の名称発案者から助言を求められたとかという不確かな伝聞・伝説が蔓延してきた。
 本発表では、関係者と関係機関の記録情報をもとにして、その伝聞の検証から始まって、なぜそのような伝聞が発生したのかの事情・理由を明らかにしている。
 さらに、調査の過程ではこの曹洞宗関係者による命名伝説とは別に、命名発案者が当時の伝統教団関係者や仏教学会等の権威者に具体的な助言を求めていたことが判明した。
 その結果、当時の本山僧侶や学界者は総じて当時の新型動力炉による原子力政策にたいして好意的に受けとめていたことが浮き彫りとなった。(発表要旨)

 動力炉・核燃料開発事業団(動燃)広報室長の関根根瑛應氏は「命名にあたって、当時の副理事長、清成迪氏が、仏教学界の長老、宮本正尊師や国文学の泰斗、土岐善麿先生と真剣な討議を交わされ、賛同を得られた経緯を、わたしはつぶさに承知しております」(サンケイ新聞 1996年5月21日 『「もんじゅ」命名の趣旨に理解を』)

 また工藤英勝氏の動燃関係者からの聞き取りによると『当初の漢字表記「文殊」「普賢」が、ひらがなの「もんじゅ」「ふげん」に変更されたのは、政府大蔵省からの政教分離に関わる難色があったらしい』(日本宗教学会・第71回学術大会 2012年9月7日 特別公開論文2『核燃料発電と仏教』)

 漢字での命名では仏教が説く菩薩そのものになり、国費を出すのは政教分離の問題にかかわると指摘されたのであろうか。

 釈迦如来の脇侍をつとめる文殊菩薩は獅子に乗って知慧を象徴し、普賢菩薩は像に乗って慈悲を象徴する。

 仏教界からは「もんじゅ」「ふげん」の原子炉命名に反対する声は上がらなかった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

合気道技法(116)

2012年11月13日 | Weblog
 植芝盛平翁 伝書
 
座取

第十八条  敵ノ左袖ヲ右ニテ摑ム事
 
第十八条  面打転身敵ノ右手ヲ脇腹ニ巻込ム事

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最古の違法建築 浄福寺

2012年11月10日 | Weblog
 秋の京都非公開文化財特別公開である。

★浄福寺

 京都市上京区浄福寺通一条上るの『浄福寺本堂』は、建築に関する最古の法規とされる江戸時代の掟に反して建てられたことから「日本最古の違法建築」といわれる。浄福寺通は、千本通の東側で、北は寺之内通から南は竹屋町通まで西陣を南北に走る。

 徳川幕府は建造物の奥行きを三間(約5.45メートル)以内に抑える、いわゆる「三間梁(さんげんはり)規制」を江戸前期に定めた。江戸中期の享保の改革からは厳格に適用するようになったとされる。

 浄福寺本堂は享保15年(1730)の大火で焼失。3年後の再建にあたり浄福寺ではこの掟に従わず、本尊を安置し法要を行う空間を確保するため、外観は二つの建物が並び建つよう見せかけ、内部は部屋がつながる大広間にしたという。確かに、正面からの本堂は一つの建物にしか見えない。

 鎌倉時代の「阿弥陀三尊二十五菩薩来迎図」(重要文化財)も特別公開。(11月11日まで)

写真:浄福寺本堂側面

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

州崎白亭句集

2012年11月04日 | Weblog
 州崎白亭句集

 州崎白亭の一周忌に子供たちが刊行した遺句集。白亭の家族へのやさしい眼差しが詠まれる。「新年の古女房」とさらりと妻を詠む。「元旦や」妹よ。「正月の掛軸」に亡き父を偲び、「水仙の香」で母を想う。そして「吾庭で」は息子をそっと見守り、「栗をむく」娘を愛おしく思う。「保育所の」は目にいれても痛くない孫である。ホトトギス派の伊藤柏翠に師事。京都帝国大学医学部卒業。医師。享年92歳。(喜怒哀楽書房)

          手術後の御茶冷たくて蝉時雨 (初期作品、昭和22年)


          新年の古女房と新居かな

          元旦やカナダはいまだ大晦日

          一本の静かな桜裏通り

          深呼吸してみる柚子湯あふれけり

          吾庭で生まれし蝉は他所で鳴く

          正月の掛軸父の代からと

          水仙の香を佛壇にとぢ込めし

          保育所の作品展や冬うらら

          栗をむく娘の指を見てゐたり

          花散るや山門人の気配なし


          蝉好む樹々ありさける樹々もあり (辞世の句)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古典の日『雅楽観賞』

2012年11月01日 | Weblog
 11月1日は古典の日である。

 古典の日は、紫式部の「紫式部日記」で源氏物語に関する記述が初めて登場するのが寛弘5年(1008)の11月1日であることにちなんで制定された。

 「古典の祭典 2012」 で平安雅楽会による雅楽『管弦と舞楽』を鑑賞する。

 管弦『越天楽(えてんらく)』は、雅楽のなかで最も有名な曲。楽器は管楽器、弦楽器、打楽器に分かれる。民謡「黒田節」は越天楽に歌詞をつけたものである。
 
 管弦『陪臚(ばいろ)』は、平調といわれる調子の雅楽の代表的な曲。雅楽の練習では初期に習う曲だという。

 舞楽『青海波(せいかいは)』は、二人の楽人がゆったりと袖を振りながら舞う優美な舞で、源氏物語にも登場する。青海波や千鳥が刺繍された装束をまとい、太刀を佩いて舞う。

 舞楽『還城楽(げんじょうらく)』は一人舞。 胡人の扮装に朱の仮面をつけて桴(ばち)を持ち、作り物の蛇を捕えて舞う。軽やかで雅な舞である。

写真:還城楽

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする