庭園における石の見立て方
庭園に据える石は、どのような風景観をつくろうとしているのか、どのような物語性をもたせて表現しようとしているのかなどを考えて石を選ぶ。そのような行為を石を見立てるという。
どのような石であっても、上下、左右、表裏などすべてを対照とすることができる。つまり、その全方向性の捉え方によって、それらの石の捉え方が、伏せる、横にする、立てる、これらの三種類の方法となって表現することができ、幅の広い表現力をもたせることができる。
庭園において使われる石は、すべて自然のままで使うことを最も良しとしている。石は一つとして同じ形のものはなく、自然の素材であることから、見立ての選択肢が多い。この見立てによる美的感覚が千差万別あることからなのである。
この自然のままの見立てという考え方は、アジア圏の庭園の中で、日本独自の美であるといってよい。たとえば、中国人は奇岩を好む。それは風土に根ざした空間づくりに適しているからである。
無造作に選んだ一つの石で、その扱い方は様々な使い方がある。その選択肢は膨大であり、まさに日本庭園の自由度の高さといってもよいであろう。
一、舟石 : 蓬莱山に行くための舟を表した石で、具体的な舟の形のなるようなものを見立てる。一切の加工もなく、舟らしい姿の石を探すことは困難を極める。大徳寺大仙院(写真)や蓮華寺に見られる。
一、水墨画的な石 : 細くて背の高い石は急峻な山を思わせ、その姿によって水墨画的な表現ができる。
一、鶴、亀に用いる石 : 鶴は羽石や鶴首石(かくしゅせき)、亀には亀頭石(きとうせき)などがあるが、いずれも探すのは難しい。南禅寺金地院に見られる。
一、蓬莱山を表す石 : 威容を誇る石を見立て、洞窟石組なども作る。
一、陰陽石 : 陰陽を表す姿形の石を見立てる。立石と横石、または立石と伏石などにより、気勢による表現ができる。また男女を表すような石を見立てる手法もある。岡山の後楽園に見られる。
一、須弥山石組 : 石を斜めに傾け、仏教の世界観である九山八海(くせんはっかい)を表現するのであるが、なかなか難しい。
一、枯滝石組 : 複数個の石で、あたかも落水しているかの如く滝を創る。大徳寺大仙院や退蔵院に見られる。
一、鯉魚石(りぎょせき) : 躍動感のある鯉の姿に見立てられる石を探すのは、舟石と同じく困難を極める。
日本庭園の石の組み方で、最も基本的な組み方は、三尊仏にたとえて「三尊石組」ともいわれる、最もバランスのとれた三石組である。
石の据え方は、基本三原則の立石、横石、伏石の三つの手法を自在に駆使して表現しなくてはならない。即ち、立石は天、横石は左右、伏石は地の気勢を表す。そして、これらの石は自然のままの姿で使い、表面を加工したりすることはない。 (重森千青講義録『庭園における石の見立て方』)
庭園に据える石は、どのような風景観をつくろうとしているのか、どのような物語性をもたせて表現しようとしているのかなどを考えて石を選ぶ。そのような行為を石を見立てるという。
どのような石であっても、上下、左右、表裏などすべてを対照とすることができる。つまり、その全方向性の捉え方によって、それらの石の捉え方が、伏せる、横にする、立てる、これらの三種類の方法となって表現することができ、幅の広い表現力をもたせることができる。
庭園において使われる石は、すべて自然のままで使うことを最も良しとしている。石は一つとして同じ形のものはなく、自然の素材であることから、見立ての選択肢が多い。この見立てによる美的感覚が千差万別あることからなのである。
この自然のままの見立てという考え方は、アジア圏の庭園の中で、日本独自の美であるといってよい。たとえば、中国人は奇岩を好む。それは風土に根ざした空間づくりに適しているからである。
無造作に選んだ一つの石で、その扱い方は様々な使い方がある。その選択肢は膨大であり、まさに日本庭園の自由度の高さといってもよいであろう。
一、舟石 : 蓬莱山に行くための舟を表した石で、具体的な舟の形のなるようなものを見立てる。一切の加工もなく、舟らしい姿の石を探すことは困難を極める。大徳寺大仙院(写真)や蓮華寺に見られる。
一、水墨画的な石 : 細くて背の高い石は急峻な山を思わせ、その姿によって水墨画的な表現ができる。
一、鶴、亀に用いる石 : 鶴は羽石や鶴首石(かくしゅせき)、亀には亀頭石(きとうせき)などがあるが、いずれも探すのは難しい。南禅寺金地院に見られる。
一、蓬莱山を表す石 : 威容を誇る石を見立て、洞窟石組なども作る。
一、陰陽石 : 陰陽を表す姿形の石を見立てる。立石と横石、または立石と伏石などにより、気勢による表現ができる。また男女を表すような石を見立てる手法もある。岡山の後楽園に見られる。
一、須弥山石組 : 石を斜めに傾け、仏教の世界観である九山八海(くせんはっかい)を表現するのであるが、なかなか難しい。
一、枯滝石組 : 複数個の石で、あたかも落水しているかの如く滝を創る。大徳寺大仙院や退蔵院に見られる。
一、鯉魚石(りぎょせき) : 躍動感のある鯉の姿に見立てられる石を探すのは、舟石と同じく困難を極める。
日本庭園の石の組み方で、最も基本的な組み方は、三尊仏にたとえて「三尊石組」ともいわれる、最もバランスのとれた三石組である。
石の据え方は、基本三原則の立石、横石、伏石の三つの手法を自在に駆使して表現しなくてはならない。即ち、立石は天、横石は左右、伏石は地の気勢を表す。そして、これらの石は自然のままの姿で使い、表面を加工したりすることはない。 (重森千青講義録『庭園における石の見立て方』)