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武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

奥の細道(10)  仙台

2009年09月27日 | Weblog
  柿衛本 「おくのほそ道」  仙台

名取川をわたつて仙台に入。  あやめふく日也。旅宿(りょしゅく)をもとめて

四五日逗留す。爰(ここ)に画工かへもんと  云ものあり。聊(いささか)心あるものと聞て、知人(しるひと)

になる。此もの年比(としごろ)さだかならぬ名  所を考をきて侍ばとて一日(ひとひ)案内す。

宮城野の萩茂りあひて秋の  けしき思ひやらる。玉田、横野、つゝじ

が岡はあせび咲比也。日かげもも  らぬ松のはやしに入て、爰(ここ)を木の下と

いふとぞ。昔もかく露ふかければ  こそ、みさぶらひみかさとはよみたれ。

薬師堂天神のみ社(やしろ)など拝て  其(その)日はくれぬ。猶(なお)松しま塩がまの

所/\画に書て送る。旦(かつ)紺の染緒(そめお)  付たる草鞋二足はなむけす。され

ばこそ風流のしれもの、爰(ここ)に至りて  も実をあらはす。

  あやめ草足に結ばん草鞋の緒  (あやめぐさ あしにむすばん わらじのを)

かの画図(がと)にまかせてたどり行ば  おくのほそみちの山際に十(と)ふの

菅(すげ)あり。今も年/\十符(とふ)のすが菰(ごも)  を調(ととのへ)て国守に献(けん)すといへり。

壺碑(つぼのいしぶみ)  市川村多賀之城に在り

つぼの石ふみは高さ六尺余、横三尺  計(ばかり)か。苔を穿(うがち)て文字幽(かすか)也。四維(しゆい)

国界之数里を記す。此城、神亀  元年、按察使(あぜち)鎮守府将軍大野

朝臣(あそん)東人(あずまびと)也。の所置(おくところ)也。天平宝字  六年、参議東海東山節度使(せつどし)

同将軍恵美(えみ)朝臣(あそん)犭葛(あさかり)修造か。十二  月(しわす)一日とあり。聖武皇帝の御時に

あたれり。昔よりよみをける哥枕(うたまくら)  おほくかたりつたふといへども、山崩れ

川ながれて、道あらたまり石は埋れ  て土にかくれ、木は老てわか木に

かわり、時移り代(よ)変じて、其跡  たしかならぬ事のみ、爰(ここ)に至りて

うたがひなき千歳(せんざい)の記念(かたみ)、いま  眼前に古人の心を閲(けみ)す。行脚の

一徳、存命の喜び、羇旅(きりよ)の労を  忘れて泪もおつるばかり也。


句:紺の染緒の草鞋を餞別にもらったが、端午の節句なのに、この身ではあやめを軒に挿して邪気を払うこともできない。せめてこの草鞋の緒を足に結んで、旅の無事を祈ることにしよう。

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合気道技法(3)

2009年09月26日 | Weblog
 合気道は一を以て万に当るの術なれば常に前方のみならず四方八方に対せる心掛けを以て練磨するを要す。


三、座り業 横面

受  右手をもって相手の横面を打つ

仕  左膝思いきり左へより同時に左手で相手の右手を打ち右手で受の横面打ち倒す

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井上方軒と江上茂

2009年09月20日 | Weblog
 事実は小説より奇なり、と言うが80才を目の前にした私の人生も奇の一生と言えるかもしれない。空手を始めた現役時代、空手で一生を送るなど考えてもみなかったし、まして外国で50年も暮らす事になるなぞ想像も出来なかった。殊に現役時代の空手の実力から見てもこれは奇跡とも言える。

 背景は、江上 茂先輩との出会いであった。新人の時から同先輩の事は、種々、現役先輩から聞かされていはいた。初回は昭和29年頃である。道場で独り巻ワラを突いていたら、目付きの鋭いオロチョン族の様な風貌の人物が、横に立って私が不動立ちのような姿勢で、両手を軽く膝に垂らした構えからの突きをじっと見ていた。写真で先輩の顔を知っていたので、しまった、これは怒られるな、と恐る恐る顔を見たら、お前面白い巻ワラ突きをしているな、と言われこれが切っ掛けで先輩に稽古を付けて戴く事になった。

 条件は、追い突き、逆突き、前蹴りの基本、騎馬立ちからの左右の突き、これを毎日、日曜祭日休み無しで稽古を続ける。以後、組手は絶対しない。この中で一つでも破る事があったら直に稽古は中止する。と言う事で先輩に指導をお願いする事になった。
 追突きから始めたが、一回一回の突きを転倒し続けられない。そこで逆突きから始める事にした。第一に驚いたのは、こちらの中段突きを先輩が下段払いで受けられる訳だがその一つ一つが、文字通り払いで全然痛く無い事だった。これなら毎日稽古が続けられるとほっとした。当時の下段払いは、相手の腕をこちらの腕で思い切り叩くと言うか、殴り付ける下段払いで5,6回もこれをやられると、痛くてとても続けれるものではなかった。その話をした所、笑いながら、塵を払うときに力を入れて叩く奴はいないよ、と言われその後先輩が話される事が全て従来の空手の定説と言うか、常識とは全く違ったもので、かなり面食らった。
 全身は余計な力を入れたり、力んだりせず結ったりせよ。

 突きは肩の力を完全に抜き、引き手の位置から肘を投げ飛ばすように突け。また手ではなく、足で突く事が肝心だ、と言われ中々分からなかった。兎に角事あるごとに、固くなるな、力むな、と言われたが、突きや蹴りを何百回、何千回とやれば強くなると、教えられ強要された稽古にうんざりしていた、私にとって本当に楽しく且つ充実した稽古であり、今、思い出してみても、私の生涯で最も生き甲斐を感じた時だと思っている。

 江上さんの突きは、外から見る限りでは、柔らかくふわっとした感じの突きで、当時の常識から見て、とても強いとは思えない突きだが、何枚か座ぶとんを重ねて腹に当てて受けて見ると、きいた突きというのか、抜け後ろに通る突きであり、外見とは全く違った突きであった。
 突きに関し、話し合った折、私が先輩、空手の突きで相手に当てずに、相手を倒す事が出来るものでしょうか、と尋ねた所、勿論出来るよ。お前、突きだけに生涯を掛けてやってみろよ、必ず出来る、とうまく煽られてとうとう追突きだけに、一生を掛ける結果になった。最近どうやら、感じだけは取れる様になった。

 Dream cames truthと言うか、何とか感じを次の世代に伝え、是非実現して貰いたい、と念願している。
 突きを相手に当てずに相手を倒す、こんな話をプロと称する空手教師に話をすると殆どの者が、嘲笑し話を聞こうとしない。ウエールズに来て、たまたまラグビーの人々と知り合い、その話をした折、彼らはIt is possible.とかIt could be happened.と言い、頭から否定しなかった。話を聞くと試合中、たまにそんな事が起こるらしい。両者が猛烈なスピードでぶつかり合う時に相手の体に軽く触れた時とか、殆ど触れたと言う感じが無いのに相手が吹っ飛ぶことが間々あるらしい。問題はそのときの条件である。どうも空手をする連中には、何故、どうしてそうなるか、この種の好奇心が乏しく、観念化した常識や定説だけのマンネリズムの稽古しかしない者が多い様に思う。

 考えてみると江上先輩から教えられた事は、空手だけで無く、物の見方、考え方で有り、異文化、異風の社会に長く住んでいる私にとって貴重な教えであったと思う。 (早稲田大学昭和28年卒 原田満典)

写真:井上方軒先生/英国 Member of the British Empire を叙勲された原田満典師範の記事を早稲田大学空手部HPより転載させていただきました。

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合気道技法(2)

2009年09月19日 | Weblog
 合気道は一撃克く死命を制するものなるを以て練習に際しては指導者の教示を守り徒に力を競ふべからず。


二、座り業 正面

受  右手刀で打出すと同時に左手で突く

仕  打ち来る相手の右手を右手で受けると同時に右膝後へ退いて左手で肘掴み右下方に引き倒す

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奥の細道(9)  笠島

2009年09月12日 | Weblog
  柿衛本 「おくのほそ道」  笠島

あぶみ摺(ずり)、白石(しろいし)の  城を過、笠しまの郡(こほり)に入れば

藤(とうの)中将実方(さねかた)の塚はいづくのほと  やらんと人にとへば、是よりはるか

右にみゆる山際(やまぎわ)のさとをみのわ笠  嶋と云。道祖神の社、かたみの薄(すゝき)

今にありとをしゆ。此比(このころ)の五月雨に  道いとあしく、身つかれ侍れば、よ所(そ)

なから詠(なが)のやりて過(すぐ)るに、みのわかさ  嶋も五月雨の折にふれたりと

  笠嶋はいづこさ月のぬかり道  (かさしまは いづこさつきの ぬかりみち)

    岩沼(に)宿(る)

武隈(たけくま)の松にこその覚な心地は  すれ。根は土際(つちぎわ)より二木(ふたき)にわかれて

むかしの姿うしなはずとしらる。  先(まず)能因法師思ひ出(いづ)。往昔(そのかみ)むつのかみ

にて下りし人此木を伐(きり)て名取川  の橋杭にせられたる事などあれ

ばにや松は此たび跡もなしとハよみ  たり。代々(よゝ)あるは伐あるひは植つぎ

などせしと聞に今(いま)将(はた)千歳(ちとせ)のかた  ちとゝのひて、めでたき松のけしき

になん侍し

  武隈(たけくま)の松みせ申せ遅ざくら

と、挙白と云ものゝ餞別したりければ

  桜より松は二木を三月越  (さくらより まつはふたきを みつきごし)


笠嶋は句:笠島はどの辺りであろうか、五月雨の降り続いたぬかり道では、この疲れた体にはそれもかなわない。五月雨の季節に笠島の名はふさわしいものなのだが、心を残して旅を続ける。

桜より句:桜よりも、私を待っていてくれたのは二木の武隈の松で、いま三月越しにようやく見ることができた。

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音の歳時記

2009年09月05日 | Weblog
 一月   しいん   厳冬に天地は静まる。

 二月   ぴしり   春が兆して氷が割れる。

 三月   たふたふ  雪解けの川。

 四月   ひらひら   野を越えて蝶が飛ぶ。 

 五月   さわさわ   風がわたる。

 六月   しとしと   梅雨。

 七月   ぎよぎよ   蛙の合唱。

 八月   かなかなかな   ヒグラシ。

 九月   りりりりり   コオロギ。

 十月   かさこそ   落ち葉。

十一月   さくさく   霜の朝。

十二月   しんしん   雪が降って、時の逝く音。   (那珂太郎詩「音の歳時記」/天声人語)

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