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武産通信

東山三十六峰 月を賞で 雪を楽しみ 花に酔う

幻の含珠焼(2)

2019年10月10日 | Weblog

                         含珠焼「白磁珈琲具(含珠焼珈琲具六人揃)」東京国立博物館蔵

 幻の含珠焼(2)

 明治26年(1893)、米国で開かれたシカゴ万国博覧会で特別名誉金賞牌を受賞する。その審査報告には「日本佐賀樋口治實ノ出品ニ係ル、純白透明ナル小形ノ陶器ニ、花鳥ノ模様ヲ写真セシ透明ノ態、意匠頗ル美且妙ナリ」と記されている。

 写真は、東京国立博物館に所蔵されているシカゴ万国博覧会に出品された含珠焼「白磁珈琲具(含珠焼珈琲具六揃)」。白磁に精緻な文様が光に透かされて美しい。

資料:Photo / Higuchi Haruzane
   http://blog.livedoor.jp/momo2011/archives/2889098.html


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幻の含珠焼

2019年10月04日 | Weblog

                                含珠焼「杏葉紋透し花瓶」徴古館蔵

 幻の含珠焼

 含珠焼は、明治16年(1884)に肥前小田志の窯元、樋口治實により製作された焼き物。現在の佐賀県武雄市西川登町小田志。中国の蛍手よりも精巧で極薄の磁器は、透過度の異なる緻密な透かし彫りが施された染付で、光にかざすと透かし彫りの花弁の中にさらに文様が浮かびあがる。

 明治20年(1887)、樋口治實は含珠焼の特許を取得する。その製法は、文様を彫り抜いた後、その空虚に大約水晶粉末七分と磁土三分とに水を加え適度に混和したるものを填充し、これを素焼窯中に入れ焼くと凡そ十時間にして火を止め冷却し、爾後に釉薬を施し本窯に入れ焼成するというものである。

 明治22年(1889)、樋口治實は菊桐の御紋章を湯呑に謹製して、宮内省に献上する。そして、明治26年(1893)に米国で開かれたシカゴ万国博覧会で特別名誉金賞牌を、翌明治27年(1894)にはカリフォルニア冬季国際博覧会で特別賞(名誉金牌)を受賞する。明治28年(1895)には第四回内国勧業博覧会(京都岡崎)に出展するなど、国内外でその精妙な技巧は高く評価された。樋口治實の作品は天皇家の食卓で使用されていたという。

 写真は、佐賀藩主鍋島家伝来の歴史資料や美術工芸品を展示する博物館「徴古館」に所蔵されている含珠焼「杏葉紋透し花瓶」。底部に「棣華堂 伍平製」の染付銘がある。


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