合気剣 踵(きびす、かかと)
井上方軒(与一郎)先生口述 『合気道史跡行脚』樋口隆成編
呼吸をはかっている、気の流れの実体、相手が来た瞬間に投げる。流れていない時は足が止まっている。……(爪先をやや浮かし)ツツツツツと動くんじゃ。腰を動かせ! 気は腰からじゃ。
武田惣角先生と共に稽古をした。この人の剣は受け身だ。相手を殺す。入身の実在は相手を活かすにあるので、入身に入ってこそ人を断ち切ることが出来るのじゃ。決して受け身はない。すへてが入身じゃよ。……入身! 入身! 入身!
宮本武蔵 『五輪書』
刀のとりやうは、大指、ひとさし(指)をうくるこころにもち、たけ高指しめずゆるまず、くすしゆび、小指をしむる心にして持也。手のうちにはくつろぎの有事悪し。太刀をもつと云て、持たるばかりにては悪し。敵をきるものなりとおもひて、太刀を取べし。敵を切ときも、手の内にかはりなく、手のすくまざる様に持べし。若、敵の太刀を、はる事、うくる事、あたる事、おさゆる事ありとも、大指、人さしゆびばかりを、すこしかゆる心にして、兎にも角にも切とおもひて、太刀を取べし。ためし物など切ときの手のうちも、兵法にしてきる時の手のうちも、人をきるといふ手のうちにかはる事なし。
足のはこび様の事、つまさきをすこしうけて、くびす(踵)をつよく踏べし。足つかひは、ことによりて、大小遅速は有とも、常にあゆむがごとし。足に、飛足、浮足、ふみすゆる足とて、是三つ、嫌ふ足也。
山田浅右衛門 家伝『試し斬り秘伝書』
刀は両手共にしかと握り、中でも小指、薬指を強く、緩やかに肘を張り、息を胸に籠める。太刀先風に乗る如く柔らかに、手の内左強く、右やや弱く打ち込む。
両足左右の広がり一尺五寸。踵を上げ、爪先強く踏むべし。
四世、浅右衛門吉寛の辞世の句
こおろぎや地獄をめぐる油皿 (「こおろぎ」は虫偏に車の漢字)
井上方軒(与一郎)先生口述 『合気道史跡行脚』樋口隆成編
呼吸をはかっている、気の流れの実体、相手が来た瞬間に投げる。流れていない時は足が止まっている。……(爪先をやや浮かし)ツツツツツと動くんじゃ。腰を動かせ! 気は腰からじゃ。
武田惣角先生と共に稽古をした。この人の剣は受け身だ。相手を殺す。入身の実在は相手を活かすにあるので、入身に入ってこそ人を断ち切ることが出来るのじゃ。決して受け身はない。すへてが入身じゃよ。……入身! 入身! 入身!
宮本武蔵 『五輪書』
刀のとりやうは、大指、ひとさし(指)をうくるこころにもち、たけ高指しめずゆるまず、くすしゆび、小指をしむる心にして持也。手のうちにはくつろぎの有事悪し。太刀をもつと云て、持たるばかりにては悪し。敵をきるものなりとおもひて、太刀を取べし。敵を切ときも、手の内にかはりなく、手のすくまざる様に持べし。若、敵の太刀を、はる事、うくる事、あたる事、おさゆる事ありとも、大指、人さしゆびばかりを、すこしかゆる心にして、兎にも角にも切とおもひて、太刀を取べし。ためし物など切ときの手のうちも、兵法にしてきる時の手のうちも、人をきるといふ手のうちにかはる事なし。
足のはこび様の事、つまさきをすこしうけて、くびす(踵)をつよく踏べし。足つかひは、ことによりて、大小遅速は有とも、常にあゆむがごとし。足に、飛足、浮足、ふみすゆる足とて、是三つ、嫌ふ足也。
山田浅右衛門 家伝『試し斬り秘伝書』
刀は両手共にしかと握り、中でも小指、薬指を強く、緩やかに肘を張り、息を胸に籠める。太刀先風に乗る如く柔らかに、手の内左強く、右やや弱く打ち込む。
両足左右の広がり一尺五寸。踵を上げ、爪先強く踏むべし。
四世、浅右衛門吉寛の辞世の句
こおろぎや地獄をめぐる油皿 (「こおろぎ」は虫偏に車の漢字)