先日の「荒剥ぎ機」に引き続き、もう一台同じような機械を使う。「薄剥ぎ君」だ。
こちらも 前回同様ローラーで竹を送り込み2枚に剥いでいく機械である。荒剥ぎ君よりは2回り小さくなる。原理はまったく同じものである。厚さ2ミリくらいになったものを 今度は1ミリ以下に調節して剥いで行く。0.8にするのか?0.7にするのか?その時の竹の状況を見ながら、また、仕上げの厚さを計算しながら剥いで行く。
この機械も、もう生産されていない。今まで、別府に1軒だけ、竹の機械を作ることができる鉄工所があったのだが、主人が高齢でもう止めてしまった。特殊な機械なのでよその鉄工所に頼むと随分大げさな物になり100万円くらいするそうだ。とても、そんな高額になっては手が出ない。この機械を必要としているのは、貧しい零細な竹細工をする職人しかいないのだから。
こういった特殊な機械もそうであるが、伝統工芸品を支えている関連の職人がいなくなっている事が非常に問題である。刃物や工作機械、また、材料なども生産されなくなっている物も多い。
伝統工芸という縦の繋がりを伝えて行くには、現代の横の繋がりや生産を考えずには居られない現状である。その横の繋がりの中で一番大切なのは、作り手と使い手の関係であろう。顔の見える関係作りをしていかなくてはならないし、使い手の信頼を裏切る事は絶対してはいけない。まがい物が大手を振って、逆に本物が小さな隅に追いやられている現状を見るとため息が出る。