高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

どうしても、納得できない!

2007年08月11日 04時28分13秒 | 作品紹介

81_007 お客様からの注文でアタッシュケースを頼まれていた。しかし、この半年以上、忙しいシーズンに突入したこともあり、手付かずで放っておいた。先日、お客様から、どうなりましたか?と電話が入り、出来上がっていない旨、お詫び申し上げた。

また、引っ張り出して来て、この写真はサンプル編みの物で、大きさとか編み目の割り出しに作っているサンプルの物だ。もう一組はもっと編み目の細かい本番のものが縁を付ける前まで出来上がっているのだが、金具を付けた時点から、ストップしてしまっている。特別誂えで、彫金の作家さんにオーダーで作って貰った止め金具と丁板、純銀製の金具であるが、お客様のイメージと私のイメージ、彫金作家のイメージがどうしてもシックリ来ないのだ。取り付けてみて、どうしても納得できない。見ていて、美しさがない。竹の素材感は弾力であり、持ったときのしなやかさ、手触りの優しさであるのだが、金具を付けると機能的にも相当問題が出てきてしまった。

81_005 金属や木で作ったアタッシュケースは硬い素材なので、蓋底がかみ合ったとき、動くことはほとんど無い。しかし、竹の場合は弾力がある分、左右に若干の動きがあるのだ。手で左右に揺り動かしてみると、止め金具がビヨンと外れてしまう。(止め金具の構造にも問題があるのだが、いまさら作り直すわけにもいかず、頭を抱えている。)

この後、持ち手の取り付けと置いた時の足になる部分の取り付け、8箇所ある角の補強の取り付け、内布張り、となるのだが、このまま、本番の作品作りに進んでも、良いものが出来る核心が全く持てない。

お客様のオーダーをなるべく汲み上げて、作品作りをしなくてはいけないのだが、今回のアタッシュケースはどうしても素材的に無理があるのだろうか?大変申し訳ないが今回はココまでの経緯と試作品を見ていただいて、お断りするしかない。私自身も悔しいのだが、納得できない物を中途半端な形でお渡しすることは出来ない。そんな、事をすると、その作品に出会うたびに「後悔の念」に囚われてしまう事になる。

潔く、「○○さん、ごめんなさい」とお詫びしよう。

竹工房オンセ

コメント
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