高江雅人  竹工芸職人の独り言  竹工房オンセ

高江雅人  竹工芸を初めて37年、徒然なる出来事をアップしています。

若き竹細工職人を目指す人達へ 3

2007年08月08日 04時28分05秒 | 後継者育成

そのうち、市場のニーズも変わって行き、あれほど売れていた花篭もだんだんと下火になって来つつあった。恐らくこのまま行けば、花篭やお茶道具など、従来からの作品だけでは必ず行き詰るであろうと感じていた。問屋がデパートにあちら、こちらの作品を寄せ集め催事に持っていっても売れなくなって来たのだ。そんな中、方向転換として、「自分の作品を自分で売る。」という方向に準備し始めたのである。ターゲットと商品構成を絞り込み、販路を作り、お客様との関係をダイレクトに作り育てていく。私の工房はその方向を選択した。直接出始めた時は問屋から脅しのような圧力もあった。 (当然、同じような作品を高い値を付けて売っていた権益権を守るため、ある意味しかたが無いのであるが。)

ここが正念場であり、問屋の脅しに屈するのか?

リスクは伴うが自分の決断を信じて変革していくのか?

この辺の感覚はサラリーマンでは味わえない、経営者の醍醐味かも知れない。自分の判断で家庭が路頭に迷うかも知れないが、それでも、自分を信じて変革していけるかどうか?

舟の先頭に立って体一杯世間の風を感じる。不安もあり、恐れもあり、でも、期待もある。 経営者として一番重要な「選択」である。

どんなに大きな会社の部長だと言っても、やはりサラリーマンであり、近所の八百屋のオヤジの経営者として肌で感じる実感という物を味わうことは出来ない!

私も以前、サラリーマン時代に名ばかりのサラリーマン社長になったことがある、その時も休みも取らず、一日14時間くらい働いていたが、やはり今の小さい工房ながら社長として考える事とは違う。シュミレーションと実体験の違いがあるのだ。ある意味、サラリーマン時代の方が毎月の損益表の数字が気になっていた。一ヶ月一度の通知表みたいなもので、逆に今のほうが損益を感じるのは当たり前の事として身になっており、それより、経営の方向や実感の方が大切になってくる。

                 つづく

竹工房オンセ

コメント (1)
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