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「いまはファンタスティックは時代は終りを告げ、経理屋どもが音楽の楽しさを数値化しようとしている」

2004年12月15日 | パルプ小説を愉しむ
『A&R』(ビル・フラナガン)の中で、業界の大立者のCEOが最近の業界を嘆いて言う台詞がこれ。
「いまはファンタスティックは時代は終りを告げ、経理屋どもが音楽の楽しさを数値化しようとしている。この業界を支えていたすべての忠誠心は、”クビになるまえに百万ドル儲けるにはどうすりゃいいんだ?”という底なしの欲望にとってかわられた。」
ジム・カントーンは小さい音楽会社から大手ワールドミュージックに引き抜かれたやり手A&Rマン。この会社のCEOは音楽界では伝説となっている人物。1年前から目をつけているバンド「エルサレム」と契約を結びデビューは成功。音楽業界ならではははちゃめちゃな刺激的で派手な生活を楽しむとともに2人の双子をかわいがる家庭的な男でもある。そのなジムのまわりで会社をめぐる覇権争いが勃発。CEOの旅行中をいいことにNo.2の社長がCEOの追い落としを画策。CFOと組んだこのたくらみは成功に終り、CEOのビル・ドゴールは投げ出される。ビルはまえから手がけていたバミューダーのリゾート地の開拓、それもミュージシャンをよべるようにレコーディングかつはでな遊び場にしてしまう計画に夢中。ジムはクーデター派には加わらずに正直な気持ちをTVや雑誌に語ることで新体制からは目をつけられてしまう。ところが野心家の新CEOはオセロよそしく他人を信用できなくなり会社はぼろぼろ、本人もつまらぬことからケチがつき会社をほおリ出されてしまう。結局は正直もののジムは目出度し目出度し。
音楽業界の一員が中から見た業界を描いたとってもポップでヒップな小説。

【その他のお薦め台詞】
業界の伝説男を語る熱いラブコールをひとつ -
「ビル・ドゴールのような人間は会社の作業工程図さえ読めないし、社員の序列を無視ばかりしていると主張している者もいます。・・・しかしそもそもわたしたちのいるこの業界は、そうしたビルのような、欠点のある人々が創りあげたものなのです。ガッツと忍耐力を備えた彼らは、森に分け入り、三角州を下り、海を渡っていきました。さもさければ、大音響が轟く薄汚いバーへ入っていき、"すべての人間がこの音楽を聴くべきだ"と熱く反応したのです。」
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