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好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

「そんな消極的な考え方はあんたらしくないと思うがね。もっと積極的に考えなきゃ」

2004年12月04日 | パルプ小説を愉しむ
『グリッツ』(エルモア・レナード)で、自家用飛行機を出せと脅されて抵抗したジャッキーに主人公が吐いた台詞。
かつて逮捕した男の逆恨みで撃たれた警官ヴィンセント・モーラがリハビリ兼休暇で訪れたプエルトリコで一人の女と知り合った。彼女は大金持ちの誘いで、アトランティク・シティのカジノホテルでホステスで働くことになったが、高層マンションの部屋から身を投げた。自殺か他殺か。連絡を受けたヴィンセントはNJへ飛び、地元の警官と一緒にフリーで捜査にあたる。ホテル王のトミー・ドノバンと美しく聡明かつ打算的な妻のナンシー。カジノ支配人のジャッキーとボディーガードで元ドルフィンズのラインバッカーだったディリアン。皆一癖も二癖もありながら魅力的な人物。半ばおかま口調で次から次へと迸り出る言葉に負けず頭の中が回転するジャッキーの自己顕示欲旺盛さはこれでもかこれでもかというほど繰り返される。ボディーガードでありながら大胆不敵なヴィンセントに惚れ込み、肩入れするディリアンは身長195cmの巨漢でありながら、頭脳の冴えがみごとな実はインテリ。上司のおしゃべりに適当に付き合いながら冷静に出来事を判断して人物評価を的確に下す。ヴィンセントを助けながら殺人犯を追う。
何より見事なのは、ごくさりげない物腰の中に不適な面だましを秘めたヒーローのヴィンセント。物に動ずることなく、冷静客観的に物事を判断。マスクはあまく、39歳の男前はホテル王の妻ナンシーに言い寄らせながらもすげなく扱う。金も女もなにもこの男を操ることが出来ない、心がハードボイルドな警官。読みながらも次の展開が待ち遠しくストーリーというよりも人物の描き方、言葉の交わし方が気になって次々読み進んでしまった。
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