『豚が飛んだら』(ロビン・シスマン)という、人の目を惹きつける奇抜さと何となくストーリーを予想させる題名に惹かれて手にとってしまった。非常に軽いタッチの恋愛小説で、『ブリジット・ジョーンズの日記』などと同じように、女性が書いた肩のこらない現代風恋愛御伽噺。
イギリスからNYに出てきて画廊経営で頑張っている30代女性が、ずっと友達付き合いをしていた年下男と結婚する。しかも、フジテレビお得意の恋のすれ違い、互いの意地の張り合い、誤解によるすったもんだがふんだんにあった後でだ。男はイケ面(そのように描いてある)で、実は南部の金持ち家族の長男。実家をおん出てしまったために稼業は継げなくなるが、それでも才能ある小説化の卵。おとこの質を極めてよろしいことが、女性が書く恋愛小説の定番であることは韓国ドラマに劣らない。
しかも30代半ばだというのに、主人公のイギリス女は、独立心旺盛、画廊経営としての素質もバッチリで、しかもそれなりの容姿も備えているようだ。自分がヒロインになりきるときに、感情移入する先の女がデブでブス女で成功する訳がない。とは言って、モデルのような特別な存在では手が届かない。そこそこの女で、実は才能があって、見てくれも悪くはない。そんな女(実は自分の投影)が、素敵な男とスッタモンダの挙句に結ばれるのだから、現代版の御伽噺として読まれるのだろう。そんなことを言ってはみたが、男にとっても気軽に愉しめる恋愛小説でありました。
まるで自分のリビングにヒトラーとスターリンが同席しているのを目撃したみたいにびっくり仰天していた
自分のガールフレンドがたまたまルームシェアリングをさせている相手(女)と一緒にいるのを目撃したときの驚きのさま。
もはやイギリスでは、信仰目的で教会に来る人など皆無といっていい。結婚式、お葬式、洗礼式、クリスマス、-そんな行事が。食事を知らせる鐘の音みたいに礼拝堂に人を呼び寄せて、宗教心を栄養補給させるわけだ。
宗教心を栄養補給という比喩が気に入りました。著者は宗教には寛容な方と見た。
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