べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

柱 墨付け

2007-05-28 21:07:30 | 長岡市深沢町 山の木


先週は、晴れ間が続いたのですが、土曜日に西からの大風が吹き、中国からの黄砂が飛んできたようで、晴れなのに霞がかかったようでした。
最近は、中国からの汚染物質・・特に酸化窒素化合物の光化学スモックによる人的被害が広がっているようです。
幸い、土曜日は気温が高かったのの対して風が強く、体感温度は低かったし、汚染物資も流れたようで、光化学スモッグの被害はなかったようですが、方々で学校の運動会が催されていて、風が無ければ、幼児童の被害が続出したでしょう。
高齢者の方も晴れていて散歩に出られたようですが、熱射病に加えて日射病、光化学スモッグや紫外線の影響が心配されます。
風が無ければ、事態は大変なことになったかも知れません。

中国の汚染物質の飛散に関しては、土木学会サイトで10年以上も前から、「酸性雪」の現象が確認されていました。
最近は、光化学スモッグの形で、汚染物質の被害が拡大しています。
光化学スモッグなんて、昔の川崎などの重化学工業地帯の煙害みたいなものだと思っていましたが、日本海側を中心に気流に乗った大陸の煙が原因となっています。
日本の高度経済成長期に工業汚染による人的被害が続出しましたが、現在は海を越えて中国からやってきます。

黄砂が降る時は要注意なのでしょう。


さて、深沢町W邸の刻みも先週で終わり、いよいよ明日から建て方が始まります。
本日は材料の運搬や土台敷きで、明日からの準備で大忙し・・

写真は、既に終了しましたが、柱の墨付け時の風景です。
延々と続く柱の墨付け・・数えたくもないけれど、1階で100本近く墨をしたような・・


管柱(くだばしら)は「長岡地域森林組合」の人工乾燥による柱がメインでした。
表面の乾燥度は15%を切るのもありましたが、40%以上のものや、持つとズッシリと重い柱もありました。
どんなに表面が乾燥しようとも、中身は生だったりします。
節から水分が出てきている柱や柱同士をくっつけておくと、湿っぽくなっています。
森林組合の責任者を呼んで、見てもらいましたが、こんなものだと言います。

他の材木屋さんも、
「こうなる」
と言っていたのをみると、全体に人工乾燥の杉材はこういう感じなのでしょう。

      杉は乾燥が難しいとも言います。

加工工程は、含水率150%以上の生木を窯に入れて、水蒸気を噴きつけ、高熱を加えて徐々に中の水分を抜くというもの。
天然乾燥に比べて短時間に仕上がりますが、木もいろいろな個性があって、強い材料や弱い材料、色の黒いものや赤いもの、曲がりやすいアテが多いもの、すんなりとしたもの等、千差万別の物を、皆同じ物として窯に入れて同じプログラムで処理するのです。
誤差が出て当然でしょう。

天然乾燥は、時間はかかりますが、木の個性を見ながら乾燥ができます。
乾燥が進んでいるものから選んで出荷すればよい。
渇きが早いものや遅いものを見比べられるし、アテの発見もできる。
表面乾燥度は、20%以上だったりしますが、中も平均に乾燥していると思われます。
人工乾燥は、表面が極端に乾燥しているのではないでしょうか?

杉ブランド材の基準として、表面含水率が構造材で20%以下、造作材、下地材で18%以下と定められていますが、内部までは基準はありません。
構造材や柱のような断面の大きな材料だと、水分が抜け切れず、2~3ヶ月で塞いでしまうと、後で建具の建て付けが狂ったり、床が狂ったりしかねません。
下地材に人工乾燥材を用いたほうが得策かと思います。


・・ということで、柱を立てて、隙間を開け、乾燥中の人工乾燥材の柱なのでした・・2~3日でけっこう乾きました。
(こういうことは、大工側ですることではなく、材木屋さんのほうでするべきことなのですが・・)
怪しい材料は除いて次回に回すか小屋束にまわすかの工夫をしています。
見えないところで、苦労をするのが地元産材活用の醍醐味です。


       苦労無くして県産材は使い切れません。


返品してもいいのですが、もったいないし・・工夫して最大限利用するほうが資源を有効に活用できるというもの・・
束にしかできなければ、それはそれで、材木屋さんに交渉して値段を下げてもらえばよい。(だって、柱で頼んでるんだもん)

まだまだ、乾燥技術のあまい、森林組合ですが、使っていかなければ地元の間伐材が流通できないのです。
「品が悪い」
と文句を言って使わないよりも、工夫して使いながら、徐々に乾燥レベルをあげてもらったほうがよいと思います。
木の性質を知っていれば、何とかなるもの・・

2~3ヶ月でふさぐのではなく、建ててから乾燥期間を設けて、狂わせるだけ狂わせてから造作に入ればよい。
最低でも1ヶ月くらいは乾燥期間をおきたいものです。
そうすれば、後でクレームがくるのが少なくなるし、お客さんも安心できます。

これから何十年と住むのに、たった1、2ヶ月工期を短縮して粗悪な住宅にするよりも、待ってよりよい家に住んだほうがいいのではないでしょうか?
これは、県産杉材に関してではなく、あらゆる木材にも言えます。
米松なんて、杉より狂うのですから・・しかも、間伐材みたいな20~30年生のものが多く見受けられますし・・強度もどれだけ確保できるか疑問です。
金物も、建設中に緩んでくるので、締め直す工程も必要です。

工期は短いほうがいいのは、工務店だけで、お客さんにとってはデメリットが多いのです。
唯一、メリットがあるとすれば、契約して何ヵ月後に直ぐに入れるということだけです。その間の貸家の家賃が安くあげられるというのでしょうが、何十年と住むのに数十万円浮かせて粗悪な家になった場合、とりかえしのつかないことになる。

家のクレームは工務店に言えばよいというのは、我ら工務店が使っている木を工夫して使わないで直ぐに材料屋にクレームを言ってとりかえるのと同じことなのでしょう。

私はお客さんに、あえて、短時間で仕上げると、家が狂ってしまうと忠告します。
お客さんも、それを聞くと、少し待とうかと言ってくれます。
いい家をつくりたいというこちらの姿勢をみれば、お客さんも納得するのです。
我々工務店は、決して悪い家をつくろうと頑張っているのではなく、いい家を作りたいがために汗水を流しているのです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする