Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

夜の果てへ

2005-07-29 15:47:58 | Weblog
気付いたら、俺は貧乏だった。

ここ最近、俺は少しでも贅沢をしただろうか。贅沢な時間の使い方、贅沢な食事、贅沢な生活・・・。最近、まともな飯さえ食っていない。最近のちょっとした贅沢は、10ドルで韓国人経営の店でスシを食った事くらいだ。これは贅沢でも何でもなく、普通の食事のはずだ。

久しぶりに4ヶ月ぶりにNYのアパートに戻ってきて、久しぶりに自分の部屋で、自分のベッドの上で、自分のCDが聞けるという環境に戻ってきた。これには小さな感動を覚えた。しかしその後、部屋でマリア・カラスを聞いていて、うーん、贅沢な気分だ、と思っていた自分が少し情けなくなった。本当に俺はこれでいいのだろうか?

普通に経済学を勉強していて、そのまま金融マンあたりの道を突っ走っていたら、もうちょっとまともな生活もできたろうに、何を考えたのか、アートの道に転がりこんでしまった。資本主義のルールに適応できなかった、そしてお金に興味が湧かなかったと言うのが第一の理由だ。ファンダメンタルから切り離されたフローしっぱなしの物品に、何の価値があると言うのだろう。

最近セリーヌを読んでいたら、こんな文章にぶち当たった。彼はこれを書いた時、何を思ったのだろう?

「要するに、ドイツ軍がここまで攻め入って、殺戮、略奪のかぎりを尽くし、何から何まで、ホテルも、揚げ物も、ローラも、チュイルリ宮殿も、大臣も、その取り巻きも、学士院も、ルーブル宮も、百貨店も、何からなにまで焼き払おうが、街になだれ込み、ここに、この汚れきった掃き溜めみたいな、腐りきった市場みたいな大都会に、天罰の雷をおっことそうが、地獄の業火をぶっ放そうが、僕におっては、しかし正直なところ何ひとつ損害はないわけだ、何ひとつ、むしろありがたいことだらけだ。」