「風と共に去りぬ」の書評をするならなぜスカーレット・オハラやレット・バトラーを論じないのかとのご疑念まことにごもっともなれど、故あってそれは一番最後にする。いや途中でやめたら触れないかもしれない。
スカーレット論なら腐るほどあるだろうし、いまさらという気がしないでもない。もっともそんなものは一つも読んでいないからなんだが、私が書くとすれば誰も考えなかったような観点から書くことになるだろう。
彼女は悪女(正確には毒婦)なんだが、作者はよくここまで書いたなと感心する。女性でないと書けないことだろうし、またそれゆえによくもここまでさらけ出したな、と感嘆する。
第四部を読んでいるが、北軍の占領軍に解放局というのがある。これはまるでGHQの民生局のようだ。
金がなくて税金を払えず、北軍の監獄に入っているレット・バトラーを訪ねて色仕掛けで隠匿した金を貰おうとして失敗するところがある。バトラーに見破られて破れかぶれで啖呵を切るんだが、バトラーが言う。「ぼくが婦人において価値を認めるだた一つの美徳は率直ということ」
さて、率直とは何ぞや、自分の欲求に率直ということか、欲求に実現に手練手管を使って男をだまさないということか、さてどちらでしょう。