先にドストエフスキー晩年の父子三大長編について書いた。その時に改めて読み返したのだが、カラマーゾフの兄弟については亀山氏の新訳を読んでみた。
さて最近罪と罰を読み返している。やはり亀山氏の新訳が出ているので、それを読んでみた。第一巻を読んだだけだが、青少年婦女子へのおもねりが感じられる。
「っもう」なんてのがある、会話で。女学生用語かな。そうかと思うと意識朦朧、錯乱している状態を「トリップしている」と表現している。まるで酒井紀子さんみたいだね。
(もっとも、原文でもボワイヤージュするという風になっているらしいからいいか)
現代風に訳するのは結構だが、ごく若い中高生?やドラッグ・アディクトの隠語を無理してまねるのは不自然というよりか気持ち悪いね。それにトリップなんてやはり、奇妙だ。
カラマーゾフの訳ではそんなに感じなかったところなので、読者アンケートをとりいれた結果かな。
& 亀山版の第二巻に入った。別にデジタルに読んでいるわけじゃないが、おおよその印象として亀山氏の訳はカラマーゾフの場合に比べて大分質が劣るようだ。
大学の先生の翻訳は普段は読まないのだが。大学院生あたりに教材として訳させたものを使ったりすることがあるからね。罪と罰はどうだか知らないが。
岩波の江川卓氏の訳も横でちらちら見るのだが、語学的なことは分からないが江川氏のほうがすんなりと読めるのは事実だ。