少し気温が緩んだ今日は、ほのかな残照の陽が尾根を照らしている。
本格的な冬を前に、山の木々も気のほぐれるひと時であろう。
鈴鹿の奥座敷 銚子ヶ口より
カミさんと今年最後の登山に出かけた。
山は鈴鹿の銚子ヶ口、ちょっとマイナーな山域だ。
最近は計画時にネット検索で多くの情報を得る事が出来るようになった。
大変便利で僕もおおいに利用させて頂いている。
今回も「銚子ヶ口」でググるとたくさんのサイトが検索された。
ノーマルルートあり杉峠からの縦走報告ありで、サイトを見ているだけでもたのしい山行気分となる。
これらの中で「黒尾山」経由でのルート紹介がなされたサイトがあった。
紹介文の中には”岩場”や”ナイフリッジ”などの文字があり、僕はこのコースなかなか「面白そうじゃないか」と感じた。
昭文社の「よい子の地図」では点々コースで紹介さてている。
未知のルートへのワクワク感と、せっかく行くんだからと欲も出てこの黒尾山~銚子ヶ口を今回の山行とした。
当初の計画では大峠の頭まで足を延ばす予定だった。
しかし結果は”時間切れ”で中峰から南進は出来なかった。
理由は、黒尾山を含むシビアなアップダウンが続くこの尾根に時間がかかり過ぎたせいだった。
デンジャーゾーンが存在するこのルートを甘く見過ぎたのだ。
おそらくここは、鈴鹿最難の岩稜帯であろう。
幸い二人ともアルパインやクライミング経験があるので、大小の数ある核心部を難儀する事なく通過出来た。
しかし、もしパーティの中に初心者がいたりしたらと思うとちょっとゾッとする思いが湧いてきた。
また、我々でも天候次第ではロープが必要だったかもしれない。
今回の装備計画にロープはなかった。
こういう場所での装備不足は滑落/負傷に繋がり、それが即死亡事故に直結する。
安易なネット検索でのルート選定に対する反省と、そうする場合それ相応の注意が必要であるという事に今気付く。
とは言うものの、この時期にここを訪れた事に後悔はない。
銚子ヶ口周辺はマイナーではあるが静かでいい山であった。
次は今回は行けなかったイブネあたりまで探訪してみよう。
そして今度は、鈴鹿の奥座敷にふさわしい、欲のない穏やかな山行計画を起てよう。
銚子ヶ口周辺山行は、そう心に留めた今年最後の山行となった。
杠葉尾~黒尾山への入山口 送電線の管理道をいく
気温-5度で、辺りは霜で真っ白
庭戸山(687m)より永源寺ダム俯瞰
その奥に広がる近江平野も一望出来る
庭戸山~黒尾山~銚子ヶ口手前の980mピークまでは高低差のある急傾斜とシビアなナイフリッジの道のり
まさに「一歩一歩が核心部」と言える登下降が続いた
銚子ヶ口 東峰(1077m)よりの鈴鹿眺望
釈迦ヶ岳方面の畝のような尾根、鈴鹿の山深さにみとれる
記録
山行 鈴鹿山系 黒尾山~銚子ヶ口
日程 2008年12月20日(土)晴れ
メンバー カミさんと二人
行程 東近江市永源寺町杠葉尾 愛知川神崎橋~黒尾山~銚子ヶ口~須谷川道~神崎橋
標高差727m 距離10.5km 所要時間 約9時間
05:10 自宅発~東近江市永源寺町杠葉尾
06:10 愛知川神崎橋
・橋手前の空き地に駐車
06:30 入山(350m)
・送電線巡視路NO.174を道標にして急傾斜の道を登る
07:50 庭戸山(687m)
・送電線鉄塔の真下で一息
・清々しい朝日が昇り、近江平野が一望出来た
・尾根道に入るとだんだん痩せて来て岩稜帯も出てくる
・コルからは急傾斜の登り返し
09:20 黒尾山(949m)
・ここまでに約3時間、意外に時間がかかる
・看板/目印少なく油断すると行く方向を見失う事もしばしば
・黒尾山最高峰(971m)~コルの間は極めてシビアな岩稜帯が続く
・特に佐目子谷側は、すっぱり切れ落ちた落差150mくらいの断崖になっている
・このルート、確実なクライムダウンが出来る技術が要求される
・緊張と急傾斜の登下降の連続でかなり疲れる
11:15 980m小ピーク
・ようやく傾斜も緩み、ここからは木洩れ日の尾根を行く
12:10 銚子ヶ口 中峰(1020m)
・広い銚子ヶ口の台地に合流
・風下に入って疲れを癒しながらランチ
13:15 行動開始
・登山道と思われる踏み跡がたくさんあるが道標は少ない
13:40 銚子ヶ口 東峰(1077m)登頂
・思っていた以上に眺望の利く良いピークだった
・須谷川に入って分岐から尾根中腹を辿る登山道で下降する
・距離はあるが傾斜は緩く道も穏やかな道が続く
・このルート足に優しく、”下降にはもってこい”の道だった
15:30 愛知川神崎橋(350m) 下山
15:50 駐車場~帰宅
トレース図