Soulful Bigover

「自由」と「ロマン」を求めて、creativeなアウトドアライフをめざす。

山蛭のこと

2014年10月08日 | climb
外岩をのぼる

(芹谷にて 2014.10撮影)

10月に入り最初の週末、”チ~ム Bigover” は地元の岩場でフリークライミングを楽しむ。
この日の岩場には、県内外から来たたくさんのクライマーが集った。
その中にはかつてこの地で毎週のように遊んだ旧知のクライマーも居て、
登り+話しで、終日和やかに週末クライミングを楽しんだ。

記録                          
 日時    10月04日(土) 晴れ
 場所    Seritani(多賀町)
 メンバー  Y君、U君、N君、と”チ~ム Bigover”の6人+Tさん、Y夫妻
 ルート   try ×4
        内RPなし(グレード/★数はbigoverのきまぐれ)

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例えば、蚊(雌)。
小さな虫だがこれに吸血されると、ほどなく皮膚がふくれあがり痒くなる。
時には病原菌やウィルスを媒介することもある。
家の中でこれを見つけた時、殺虫剤でこれを駆除する。
一般生活の中で、蚊を殺すことは意味があるし間違いではないと思う。
しかし、これを自然界の山中で個人が行なっても無意味なこと。
そこには何万匹という蚊が生息していて、
そこで数匹の蚊を殺虫剤で駆除しても効果はゼロに等しい。
それどころか、殺虫剤を散布することでその周辺にいた昆虫など多くの生命を同時に奪い、
また薬品がかかった植物にも悪影響を与えていることを撒いた人は知らなければならない。

山中での薬剤散布は滑稽であり、やめて頂きたい。

山で蚊に刺されないようにするには、虫除け剤(線香、スプレー、液など)を施して、
その対策とする方法がいいんだろうと思う。
これだと蚊にも刺されにくいし、無用な殺生も無いので生態系に対しても影響が小さい。
それでも絶対に蚊に刺されたくないという人は、本来ここに来てはいけない人なんだと、私は思う。

次に、山蛭のお話。
近年の全国的な自然事象で、山々での鹿の過剰繁殖に伴い山蛭が異常に増えている。
この山蛭も蚊と同じように吸血し、人によっては後日かゆみを訴える方も居るようだ。
それにも増してあの気味の悪い容姿から、この山蛭を超悪役として嫌悪し
見るのもイヤと言う方が多いのも事実。

全国の例に漏れず、この芹谷エリアでも山中に多く生息していて、
特に降雨後などのアプローチではよく目にする。
その対策の為なのか目的は不確定だが、
エリアの岩陰に1kgほどの袋入りの塩が置かれてあった。
でも察するに、それはアプローチでの山蛭対策の為であろう。
塩撒きが蛭対策に大変有効であることを、私も承知している。
虫や自然を丸ごと大好きな私でも、山蛭に取り付かれたら気色悪いと思うのは皆さんと同じで、
蛭を気嫌う気持ちはよく理解出来る。
でも前筆の蚊と同様に、この山蛭を殺虫剤や山道に塩を撒いて駆除しても、
自然界の中ではほとんど意味の無い行為であるということは同じである。
蚊対策と同様に、山蛭からの吸血を避けるには防虫剤や専用の薬剤を足下に付けたり、
長靴を履くなどの対策をとればいいことである。

登山道に塩を撒けば確かに撒いた箇所の蛭は駆除され、しばらくの間見なくなる。
それを、皆が嫌う山蛭を封じ込めたかのように思うかもしれない。
しかし彼らは、登山道脇の土や草木の中で平然と生存し続けて、
土中に塩気が無くなれば彼らはまた人の前に帰ってくる。
そして人はまた”塩を撒く”を繰り返す。
そうして過剰に塩分の濃度の上がった土壌はやがて死に絶え、山の植物を弱らせ、
菌類を死滅させ、自然界の分解能力を極度に低下させ、生態系の循環を狂わせる。
塩撒きのその影響で土壌が有機物の分解をしないのか、
いま芹谷のアプローチは泥化のない砂状の地盤となり、
登山道は砂漠化している。
(以前は土がしっかり踏み固められた安定した登山道だった)
この砂は雨や雪で流出し、それが拡大して露出した岩が洗われ、やがて山の崩壊に繋がる・・・、
やも知れぬ。

私のこんな妄想は、考え過ぎだと言われるかもしれない。
でも私は、自然の山々に出向いて遊ぶ者は、その自然界に対して
様々な想像を巡らさなければならない義務を負っていると考えている。
人間も自然界の中の一つである以上、その自然に自由に入って行く資格はあると思う。
しかし、人間の都合でそこにある生態系を故意に変えてもいいんだ、
などというエゴ的な権限は持っていないはずである。
人が自然界に出向く時は、出来るだけ静かに山に入り、
自然界に対してローインパクトな行動をとるべきだと私は確信している。

そういう思いで、わたしは今回ここにあった塩を持ち帰り処分致しました。
この塩の所有者の方、もし塩の返還を求められるなら、食塩1kgはお返し致します。
ご連絡頂ければ結構かと。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (YO)
2014-10-09 01:01:13
全面的に賛成いたします.岩場のとりつきで殺虫剤を散布するという行動は,あまりにも私の感覚からは外れており,思わず思考停止してしまいました.どなたかがちゃんと説明してあげていれば良いのですが.
返信する
Unknown (bigover)
2014-10-09 09:10:58
YOさん、応援コメント感謝します。
世の中には、いろんな考えや行動があっていいんだと思います。
でもその中には、こういう考えもあるんだということを読んだ方に知って頂ければと思い紹介しました。
またよろしくお願いします。
返信する
それは・・・ (ONS)
2014-10-09 20:51:32
撒くためではなく、一つまみして皮膚についたヒルにまぶすために置いてあったのではありませんか?
たった1キロ、撒かずに置いてあったのなら、撒くためのものではないと思いますけど。
返信する
Unknown (Bigover )
2014-10-09 21:53:53
ONSさん、コメントありがとうございます。おっしゃる通り、残置された方の塩の使い方は不明です。でも摘んで使う程度なら、ここに残置する必要はないと思います。残置塩はこれまでに何度か存在を確認していましたが、減り方が摘んで使用する量ではなかったように思います。(私はこのエリアで何年も登っていますが、ヒルが靴に着くことがあってても吸血されたことありません。これは生息数は一般的であるという事であり、特別な措置を必要としないということだと思います)
また岩場にヌンチャクやロープなどクライミングギアを含めて残置物を残さないのは、今やクライマーの行動原則だと認識しています。
問題の根源は、ここの地権者は芹谷でクライミングする事を現在のところ黙認しているだけで、この地に他人が入山する事をかねてから拒んでおられるということです。
事故や岩場に残置物があったり地形を変えた痕跡があるとまた入山禁止のバリケードを設置されることが予想されます。(以前より何度かありました)このエリアは開拓当初より社会的に公認された所ではないことをお知りおき下さい。そして自然に対することだけでなく、それを含めたデリケートなエリアである事をご理解ください。ここでクライミングを行うためにクライマーはあらゆることに配慮ある行動が求められています。そのことを皆さまに知って頂ければと記事をアップした次第です。
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理解しかねます。 (OGK)
2014-10-09 23:28:04
ふーむ。かなり理論のすり替えがあるように思います。開拓されたゲレンデに行って生態系を語るのはナンセンスです。炭酸マグネシウムはいいの?
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Unknown (Bigover )
2014-10-10 00:51:44
OGKさんコメントありがとうございます。私はこのお話しの中で、自然の中ではローインパクトでクライミングをしましょうよ、と提案しています。地元の方々もそれを条件に芹谷でのクライミングを黙認して下さっています。(地権者から見て/トラブルは起こしません、ゴミや残置物は残しません、山や自然を必要以上に痛めませんなど)
開拓のことや炭マグのことは、クライミングの存在自体の問題ごとであり、クライマー側の内輪の話しです。おそらくこのコメント欄だけで話しを続けてもお互い十分真意が伝わらず、議論は不毛なものとなるでしょう。なのでここではこのあたりで話しを終えておきます。いろんな考え方や行動があっていいと思います。貴殿はしっかりとしたご自分のお考えの中で規範に外れることなく行動されておられる方だと察します。今後もご自身のお考えの上で行動下されば結構かと思います。それでも納得いかないなら別に機会と場所を設けてお話しいたしましょう。
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