Soulful Bigover

「自由」と「ロマン」を求めて、creativeなアウトドアライフをめざす。

カオスの中で

2009年12月29日 | essay
すっかり我が家に馴染んだネコの”モンちゃん”が、いつものように甘えて膝に乗ってくる。
そんななんともマッタリとした時間の中で、今年を振り返ってみた。

デフレ、経済危機、政治の混乱・・・、世の中まさに波乱な一年だった。
この混沌とした状況は、自営業である我が身を直撃した。

お金から見放されたような生活、”仕事がない” 状況が年明けより続く。

いくら楽天的な思考回路を持つ僕でも、この状況はかなりこえた。
将来へのいい知れぬ不安感が心を襲う。
今の仕事を続けていく事の意義や山やクライミングを継続していく難しさを考察する。
仕事、家計を見直しながらの日々の暮らし。
ダメな自分を攻めることも度々あり、気持もどんどん凹んでいく。

でも、未来の事などいくら考えても答えなんて出るわけない。
結局「今の現状をすべてを受け入れる」事にした。
そしたら世の中に対する不平不満や憤りが不思議と消えていた。
”誰も何も悪くない”
という、いろんな事に対し許せる気持が持てるようになった。
心も楽になった。
そしたら、いま考えなければいけない事がいろいろ見えるようになって来た。

何が大切で今なにをすべきか、そしてどう生きるべきか。
そして、なぜ不安なのかを考えてみた。

あまりにも先行き不透明なこの時代。
それゆえ将来の生活になにか確固たるものがほしいと望む。
さらに世の中は「安心、安全」を当たり前のごとく云い、これを煽る。
が、この情勢でこれを確保する事は実際出来ないのが現実である。
得る事の出来ない不平不満や不安感がストレスとなる。
そして、それが日々増幅していく。

こんな情況下で自分ではどうする事も出来なくなると、人は今の状況に満足しようとし保身に走り改善の努力をしなくなるそうだ。
そして思考や行動を停止して体制に従うようになり、せめて現状維持をと願うようだ。

ふとある時、次なる一歩が踏み出せていない自分に気付く。
僕もそんな思考・行動停止のスパイラルに嵌っていたのだ。

保身や過ぎたる担保を求める事は、人の生き方の信条や理念を揺るがし、そして行動決断を鈍らせる。
それは人が生きる上で最も大切な勇気や思考の自由を奪うものだった。

これに気付けた事で、心をリセット。

「身の回りをシンプルにして、多くを望まず日々の暮らしを大切に生きる。
そうした中で、仕事/山において自分が目指す自然との”自由”な関わりを追求していく。」

今あらためてそんな生き方を選ぶ。

自分が考え方を変えたからと言って、悪い状況が改善するわけではない。
この不況は今後も長く続き、厳しい生活状況も終わりは見えないであろう。
しかしながら、こうした中にあってもいま自分の生き方にそれなりの方向性を導けた事は幸運だった。
そう言う意味で、僕にとって今年はいい年だったのかもしれない。

幸い今年一年大きな怪我や病気もなく、また貧困が理由で食事がとれないというような事もなかった。
安住な住まいはまだあるし、山にも積極的に通い目指す成果も得る事が出来た。
思い返せば、苦しい中でも十分な幸せな2009年だったではないか。

この幸福感は自分の力だけで持てたものでは決してない。
心折れそうなとき、支えてくれた家族や友人が居たからこそだ。
そして棘立った心を”まぁるく”してくれたネコの”モンちゃん”の存在なくして、今のようなポジティブな考え方の僕はいないのも確かだ。

たとえカオスの中にあっても、ゆったりとした自分の時間を持つ事の大切さを改めて知る。
そして、皆に感謝の念いを持って今年を締める。

2009.12.末 記:Bigover

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