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言の葉

2008.11.28 開設
2022.07.01 移設
sonnet wrote.

2024 春光戦決勝戦

2024年03月31日 | 俳句
1stステージを勝ち上がった3名は、新たな俳句で対戦した。
3名の自解が済んだ後に優勝者を発表。
残り2名についてもどちらが秀句かを夏井先生が明言して、以下の順位になった。
簡単な解説と添削は以下の通り。
 
1位 出郷の 車窓を叩く 飛花落花 千賀健永(名人9段)
【自 解】自分の故郷は名古屋。新幹線で上京する時、車窓に桜の花が散り、それは涙のようにも決意のようにも感じた。その時の思いを詠んだ。
【解 説】ふるさとを詠むのは難しいが、「出郷」の一言でポンと打ち出している。
そして「叩く」とあると、読者の脳は瞬間的に先走って見送りの人、別れを惜しんでいる人だと思う。
しかし叩いているには飛花であり落花である。
作者の思い通りに言葉を紡いで、読者をその場所に連れて行っている。
 
2位 青光りせり 750cc(ナナハン)に 花吹雪 千原ジュニア(永世名人)
【自 解】春の好天の日、バイクでTBSに行く時は青山墓地を通っていく。
青いタンクが光って桜吹雪が舞うとテンションが上がり、これから向かう仕事も楽しくなってくる。
【解 説】青光りしているのはバイクの車体でありつつ、花吹雪の光の印象と重なってくる。
 
3位 風吹かば 花の色なる 城下町 梅沢富美男(永世名人)
【自 解】青森県弘前城の桜は見事である。
大輪の桜の花が散ると、城下町が桜の色になる。その時の光景を詠んだ。
【解 説】「吹かば」いらない。例えば、
添削 夕風や 花の色なる 城下町
とすると、夕暮れの花の色になる。
 
**********************************:
 
全員2句提出したが、両句とも紹介されたのは上位3名だけだった。
放映後のTVerで、公開されなかった決勝用の秀句が1名だけ紹介されていた。
 
祖父逝きて 今朝の櫻の 寒き色  的場浩司(特待生4級)
【解 説】こちらの俳句を1stステージに出していたらベスト3に入っていた。
最初の俳句は思いが固まった句だったが、こちらは実体験で生々しく素晴らしい。

2024 春光戦2

2024年03月30日 | 俳句
夏井先生の解説と添削は以下の通り。
 
1位 苗代の桜や 鬼の住まいする 梅沢富美男(永世名人)
【自 解】プロモーションビデオの撮影で、岐阜県下呂市の苗代桜に行った。
田んぼのそばにある見事な桜で、花が散る時、ふと鬼が住んでいるのかと思わせるような光景だった。
【解 説】「苗代桜」という特定の桜を知っている人はもちろん、知らない人も田植え前の苗代とその近くにある桜を想像できるだろう。
そして急に異世界に引き込んでいる。
「桜」と「鬼」を取り合わせるのはかなり難しいが、季語を主役にして寄り添わせるバランスを作っているのはさすがである。
 
2位 刑務所を 囲む桜の 仄白き 千原ジュニア(永世名人)
【自 解】ある刑務所の周りの桜を見たことがある。
とても綺麗だったが、普段見ている桜より白いような、色が薄いのではないかと思った。その時の印象を詠んだ。
【解 説】「刑務所」と言う言葉自体に情報量が多い。
そして「塀」の言葉を入れず「を囲む」ですべてを表現した技術的な点を誉めたい。
下五も真っ白とせず仄白く、また終止形にせず「仄白き」と余韻を持たせているのが良い。
 
3位 幽谷の ロッジの夜明け 白き飛花 千賀健永(名人9段)
【自 解】日本画家の東山魁夷氏の作品が大好きで、その方の絵画を俳句にしたいと思った。
深い谷の中にロッジがあって、白い花びらが舞っている情景を俳句にした。
【解 説】「幽谷の」から入って「ロッジ」という建物、「夜明け」という時間。それぞれが邪魔しないようにきちんとパーツが入っている。
どうしたら1位を目指せるかアドバイスすると、
ひとつ目は、下五の「白き飛花」を「飛花白し」とすると、飛んでいく花びらの印象が白く残る。
もうひとつの選択肢は、「幽谷のロッジ」で切れを作る方法。
添削 幽谷の ロッジの夜明け 飛花白し
   幽谷のロッジ 夜明けの飛花白し
 
4位 花月夜 冒険譚に 挿す栞 横尾渉(永世名人)
【自 解】冒険小説を読み耽っていたら夜になり、窓を見ると桜が綺麗で、一度休憩して桜を愛でようと思い、栞を挟んで本を閉じた場面を詠んだ。
【解 説】基本形をかっちり使ってきている。
「花月夜」と「冒険譚」の取り合わせはファンタジーぽい味わいもあり、作者の意図通りだろう。
悩みどころは「挿す栞」か「栞挿す」であるが、作者の詠んだ「挿す栞」を良しとする。
「栞挿す」とすると、「挿す」が不要になってくる。
冒険譚が本当の冒険かもしれないが、最後の「栞」で読書だったとわかり、ゆっくり栞を挿む指先を感じながら、「なんと美しい花月夜だろう」と季語を際立たせている。
 
5位 束の間を 正気の母と 花の道 森口遥子(名人8段)
【自 解】母が闘病の最後の方は、薬の副作用などもいろいろあって、普通ではない母が見え隠れしていた。
しかし昔通りの明るい母も束の間あり、そんな時母の大好きな桜の道を散歩した思い出がある。
【解 説】割とありがちな光景、句材とも言えるが、この位置に「正気の」を入れたことを強く誉めたい。
悩ましいのは「道」を許容するかどうかである。桜が咲いているのは屋外だから不要でもある。
しかし、作者にとっては「母との桜の道」の記憶が重要だと判断し、敢えて触らずこのままで。
 
6位 さくらさくら むすめの たましいのいろ 犬山紙子(特待生3級) 
【自 解】桜並木のある川沿いに住んでいたことがあり、小さい娘と歩きながら「さくらさくら」と歌ったりして多幸感に包まれた。
小さな娘の魂はきっとこんな色なんだろうと思った。
【解 説】「魂の色のようだ」というのが詩になっていて素敵な一句。
もったいないのは「娘」。もちろん作者自身の娘だとわかるが、こういう発想の句の場合は、敢えて限定しない方が共感の幅が広がる。
添削 さくらさくら 子のたましいの さくら色 
下五にも「さくら」を入れてリフレインを効かせる。
こうしていたらベスト3に入っていた。
 
7位 濠(ほり)の端の 羽音走りて 初桜 中田喜子 (名人10段)
【自 解】皇居のお濠の桜を、咲き始めの頃に愛でながら歩くのが好きである。
お濠の水鳥たちがせわしなく動き出して、彼らも桜を楽しんでいるのだろうと思った。
【解 説】美しい光景で、音の情報も入っている。
「端」「羽音」「走りて」「初櫻」で「は」の韻の踏み方もいい。
もったいないのは「濠の端の」の「の」。
経過していく場所とか時間を表現する「を」とする。
また「走れり」とすると切れが生まれる。
添削 濠の橋を 羽音走れり 初桜
こうしていたら、この句もベスト3に入っていた。
 
8位 花曇 昼夜の区別なき 赤子(こども) 村上健志(永世名人)
【自 解】生まれたばかりの赤ちゃんは昼夜の区別がない。
「花曇」は花を育てる意味合いの季語「養花天」との別名なので、取り合わせがいいのではないかと思った。
【解 説】確かに「花曇」と「赤子」の取り合わせはとてもいいと思う。
何が問題かというと中七。ちょっと離れて客観的に説明している感じである。
これを映像として動かしてあげなければいけない。
赤ちゃんは具体的に何をしているのか。
添削 花ぐもり 夜を泣き昼を泣く 赤子
 
9位 花月夜 学童終わりの チャンバラ戦 森迫永依(特待生2級)  
【自 解】昔住んでいたマンションでの光景。
きれいな桜が咲く夜、桜の下で友だちがチャンバラごっこをしていたのを思い出した。
【解 説】光景も賑やかさもわかる。しかし、学童保育は夕方に終わるというイメージを持つ人の方が多いのではないだろうか。
それが花も月も美しい夜の季語「花月夜」の後に来ると、時間が逆行してしまう。
時間ではなく、場所の情報を入れたら整うのではないか。
添削 チャンバラの 続く団地や 花月夜

10位 我が運命(さだめ) 夜櫻に問う 生も死も 的場浩司(特待生4級)
【自 解】桜が一番好きな花である。
夜桜を見ていていると、今年も見られたという喜びと、同時にあと何回見られるのだろうかという思いがよぎる。
【解 説】思いはよくわかる。ただ全体が観念的になってしまった、
和製ハムレットのようになっているのが、俳句としては少し損をしている。
生と死を問うているのだから上五の「我が運命」はいらない。
俳句は季語を主役にして、季語に思いを託すのが基本。
なので、上五を夜桜の描写にしてはどうか。
しかし、作者はいつも自分の表現したいものを絶対やるという姿勢を貫いていて、それは大事なことなので感心している。
添削 満開の 夜櫻に問う 生も死も
   満開の 夜櫻に我が 生を問う

2024 春光戦

2024年03月29日 | 俳句
3月28日(木)、プレバト俳句の春光戦が放送された。
今回はいつもとルールが異なっていた。
(今回だけか、今後すべてがこの形になるのか?)
同じお題で2句提出し、1stステージの上位3名が決勝戦に進む。
決勝戦でその3名が別の俳句で新たに戦うという形式だった。
今回の兼題写真は「桜」。
順位は以下の通りだった。

1位 梅沢富美男(永世名人)
    苗代の桜や 鬼の住まいする
2位 千原ジュニア(永世名人) 
    刑務所を 囲む桜の 仄白き 
3位 千賀健永(名人9段)
    幽谷の ロッジの夜明け 白き飛花   
4位 横尾渉(永世名人) 
    花月夜 冒険譚に 挿す栞
5位 森口遥子(名人8段)  
    束の間を 正気の母と 花の道  
6位 犬山紙子(特待生3級) 
    さくらさくら むすめの たましいのいろ  
7位 中田喜子 (名人10段)
    濠(ほり)の端の 羽音走りて 初桜  
8位 村上健志(永世名人)
    花曇 昼夜の区別なき 赤子(こども) 
9位 森迫永依(特待生2級) 
    花月夜 学童終わりの チャンバラ戦 
10位 的場浩司(特待生4級)
    我が運命(さだめ) 夜櫻に問う 生も死も 

カスタマイズの要請あり

2024年03月24日 | ハンドメイド
仕切りのなかった夫のショルダーバッグ用に作ったバッグ・イン・バッグは好評。
「ありがとう。使いやすくなった」と言った夫が続けて、
「ペットボトルを立てて入れられるとよかったね。」
…… 好意で作ってあげて注文ですか?
 
それは私も制作中に考えてはいた。
しかし、自分のバッグを作った時ペットボトルホルダーを付けたが、出かけにセットしても何度か出し入れしているうちに定位置に入れなくなったりしている。
キャップをちゃんと閉めていれば横倒しでも気にならない。
私以上に夫の方が元の場所にしまうとは思えないので付けなかった。
「もう完成してミシンがかけられないので無理。」と断った。
 
だが気になることがあった。
ショルダーバッグの内部が狭くならないよう、バッグ・イン・バッグの外布の黒い生地を薄手のものにしていた。
そのせいでサイドポケットにスマホや鍵などを入れると、その重みで中のバッグが沈み気味になっていた。
夫が一度使った後を覗いて気づいた。
その指摘はされなかった。クレームになると遠慮したのか?
こちらの方が重要なのに。
 
面倒だが手直しをしよう。
内袋の脇をほどき、黒い生地に厚い接着芯を貼り付けた。
狭くなるのが気になると思っていたが、たかだか1〜2ミリ分厚くなっただけである。
硬く張りが出てシャキンと自立するようになった。
そしてついでにペットボトルホルダーを取り付けた。
茶色い生地が見当たらないので、グリーンの生地(元は傘だった)に平ゴムを入れ、伸縮するベルトにする。
暗いバッグの中、色違いでボトルの定位置がわかりやすいだろう。
ゴムをきつくすると、狭い直径にボトルを押し込むのが面倒。軽く伸ばす程度にした。
これでどうだ!?

Bag in bag for Men.

2024年03月18日 | ハンドメイド
最近夫はちょっとした外出に帆布のショルダーバッグを使っている。
外ポケットはあるが、メインの内部にはポケットも仕切りも一切ない。
レジに並びながらバッグの中をガサゴソ。「小銭入れが見当たらない…」
印刷物を手にガサゴソ。「メガネ(老眼鏡)が…」
玄関のドアの前でガサゴソ。「鍵が…」
小ぶりなバッグの容積がいかほどのものか、結構時間がかかる時がある。
その度に「サイズはちょうどいいが、中の仕分けができないのが難点」とボヤいている。
 
お任せあれ。私がバッグ・イン・バッグを作って解決してあげましょう。
 
年末に私の古い革のバッグを処分した時、内袋をザクザクと切り取っておいた。
ファスナーだけが必要だったが、よくぞ布を解体しなかった。
スクエアに縫い直せばそのまま使える大きさである。
片面にファスナー付きのポケット、対面に小ポケット2つがあり、そのまま活用できるではないか。
 
そうして作ったバッグ・イン・バッグ。
サイズはタテ18cm × ヨコ27cm × マチ7cmである。
ヨコ幅とマチはショルダーバッグと同サイズ。
バッグのタテは22cmだが、両サイドにファスナーが4cm下まで開くので18cmの高さにした。
バッグと密着する外側にも1個と2個のポケットを付けた。
ネットで調べた無印良品の製品を参考に、縁にアクリルテープを施し、センターを取っ手用に開けた。
 
 
内部は、既製の3個のポケットに似た色のハギレを使って2つのポケットを足した。
1つはファスナーポケットの上に。1つはマチの側面で、メガネが入れられるサイズにした。
なんということでしょう…! 劇的ビフォーアフター
これまでワンルームだったバッグが一気に9ルームに。
ショルダーバッグにスッポリ収めた状態。もちろん丸ごと取り出せる。
ファスナー全開時の高さもOKである。
離れの外ポケットと合わせた10ルームに、それぞれのモノの定位置を決めれば、これでもうガソゴソ探すことはないだろう…と思う…。