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言の葉

2008.11.28 開設
2022.07.01 移設
sonnet wrote.

2021冬麗戦観戦記 2

2021年01月31日 | 俳句

1月も今日で終わりである。
1週間が、1ヶ月があっという間に過ぎていく。

前回投稿から2週間以上経っている。
いまさらの感もあるが、炎帝戦、金秋戦と同様に夏井先生の解説、添削も記しておこう。

1位 風花へ しゅぱんしゅぱんと ゴム鉄ぽう 
【作者自解】 子どもの頃、割り箸でゴム鉄砲を作って室内で遊んでいたら、母親に「外でしなさい」と言われた。
外は風花が舞っていて、それを標的に遊んだ思い出から。
【解 説】シンプルで映像がストレートに浮かぶ気持ちのいい句。
いいオノマトペを見つけた。軽やかな「しゅぱんしゅぱん」が、風花の感触とゴム鉄砲の飛んでいく感触を上手く繋いでいる。
【私 感】村上さんも言っていたように、オノマトペの響きから子どもをイメージできるが、鉄砲の表記をまだ漢字を習ってない想定で「鉄ぽう」とするのもうまい手法。

2位 一月や ゴム動力の プロペラ機
【作者自解】1月という1年の始まりに、エネルギーと動きがむき出しのプロペラ機が飛んでいる空を思うと詩があると思った。
【解 説】1月でなくてもいいのではという意見が出た。これは議論すべき点。
4音の月は他にもあり、例えば6月なら梅雨空の湿気を感じる。8月だと終戦のイメージがあって、プロペラ機が他の意味を持ってくる等々。
作者が「一月」を自信を持って選んだのが最も大事な決断である。
新年の気配を含んだ空に向かってゴムを巻く手の動きなどが思い浮かぶ。
【私 感】他の季語でも句が成立することを「季語が動く」という。
一月の清冽な青空に飛ぶ様子が目に浮かび、作者の思いが伝わってくる。

3位 無影灯 下腹に 冷たい何か
【作者自解】輪ゴムの写真が手術室のライトに見え、発想を飛ばした。
手術の経験があり、半身麻酔しているにも関わらず下腹部にひやりした感覚を覚えた。メスなのか、恐怖による錯覚なのか。
その時の体験を詠んだ。
【解 説】「無影灯」だけで場面、状況が描かれ、言葉の経済効率がいい。
「冷たし」が冬の季語であるが、この「冷たい」を作者がそれと認識して詠んだのか、無季の句か、その解釈は読者に託してもいいと思う。 
【私 感】東さんならではの俳句である。

4位 鏡越し ロット巻く手や 春隣
【作者自解】行きつけの美容院で、鏡越しにパーマをかける女性客がいた。
ロットを巻いてゴムで留める美容師の手元や、パーマを終えた女性客の表情に春近しを感じた。
【解 説】いい着眼点である。「鏡」「ロット」「春隣」の取り合わせも悪くない。
しかし語順が悪く、鏡越しの「越し」が微かに説明臭い。
  添削 ロット巻く 手や 春近き日の鏡
こうすると最後の鏡に春の気配の陽射しが描写できる。
【私 感】語順の良し悪しはよく言われている。それはカメラワークに例えられ、分かりやすい。 

5位 ゴムとび競う声 冬天に満ちる
【作者自解】輪ゴムから子供の頃遊んだゴム跳びを思い出し、寒さにめげず元気よく遊ぶ様子を詠んだ、
【解 説】これもまたもったいないのが語順。冬天の映像から行った方が得である。
  添削 冬天に満つ ゴムとびを 競う声
【私 感】破調も悪くないが、やはり五・七・五のリズム(句またがりではあるが)は心地よい。 

6位 手にはぜる 弁当のひも 雪催(ゆきもよい)
【作者自解】弁当のゴム紐がパチンと手に当たり、寒い冬だとことさら痛い。
それを「雪催」の季語と取り合わせた。
【解 説】自分の体験を探しに行くと、ちゃんといい材料に巡り合う。
「爆ぜる」の言葉もよく選んだ。しかしゴム紐を「ひも」としたのが痛恨の凡ミスである。
ゴムでなければせっかくの「はぜる」と響き合わない。 
  添削  手にはぜる 弁当のゴム 雪催
【私 感】作者は当初想像してのロマンチックな俳句が多かったが、先生に体験を詠むよう勧められよくなっている。
2019年炎帝戦予選の 黒き地の 正体は海 揚げ花火 はすごくよかった。
湘南の花火大会を実際に見たとのことで、だからこそ「正体は」の言葉を使っても破綻してないと褒められていた。

7位 冬の月 輪ゴムの中に 入れてみる
【作者自解】輪ゴムを手に作句を考えながら窓の月にかざした時、その行為をそのまま詠んでみようと思った。 
【解 説】こういうシンプルな発想もいい。
しかし下五の「入れてみる」という描写が雑である。
  添削 冬月を捕う 輪ゴムの輪の中に
こうすると、輪ゴムが月の周囲でゆらゆらしている短い時間が表現できる。
【私 感】「捕らえる」という言葉を使うことで一気に詩になる。 

8位 血を止める ゴム巻く手際 冬あざみ
【作者自解】病院で注射をする時にゴムを巻く看護師の様子を連想し、注射の痛みと冬あざみの棘とを重ね合わせた。
【解 説】前半の言葉選びが雑であり、選んだ季語の「冬あざみ」がどうしても野外のイメージ。
それより診察室や検査室といった場所であるとわかるような季語を、歳時記を見直して探して欲しい。
  添削 採(献)血の ゴム巻く手際 ○○○
【私 感】○○○は作者に委ねられた。

9位 七日の 名もなき家事 パズルの樹氷
【作者自解】輪ゴムから年賀状を束ねる発想で、炊事洗濯などではない細かな家事をやり、暇になったらジグソーパズルをしようということで、パズルに描かれた「樹氷」で冬の映像の確保をした。
「七日」も「樹氷」も季語だが挑戦してみた。
【解 説】視点は悪くない。
1月の1日から7日までは新年の季語になる。前半は悪くないが、着地に失敗した。
パズルの絵柄が樹氷というのは不要。むしろ名もなき家事のひとつを軽く示唆した方がよい。
  添削  七日 名もなき家事 ジグソーの一片 
【私 感】絵柄の「樹氷」は季語としては弱い。それより「ジグソーの一片」を片づけるイメージにした添削に感服。

10位 雑煮食う 爺はバケモノ 指鉄砲
【作者自解】以前、「こたつとみかん」の兼題で、婆やは蜜柑食べ続ける妖怪 という句を詠んだ。それを進化させる形で、子供の頃の思い出を詠んだ。
祖父が雑煮を食べる喉の動きがなんだか不気味で、指鉄炮で撃ってみたいと思った。
【解 説】やろうとしていることはそれなりに面白い。
この句の問題点は材料が多すぎること。「雑煮」「爺」「バケモノ」「指鉄砲」とキーワード4つでは季語の印象が薄まってしまう。
兼題は無くなるが、
  添削  雑煮食う バケモノ 爺さんの喉(のんど) 
喉は「のんど」とも読め、ちょっと恐ろしげな響きが「バケモノ」と釣り合う。
最後に喉の動きに焦点が合い、季語の「雑煮」が主役として引き立つ。
【私 感】志らくさんも独特の俳句を詠む。



2021冬麗戦観戦記 1

2021年01月15日 | 俳句
 
     photo by 写真部長
 
昨日のプレバト俳句は「冬麗戦」だった。
それにしても季節の巡る早さに改めて驚く。

これまでは、前回(金秋戦)の上位シード3~4名に予選勝ち抜き5~6名を加えて行われていた。
しかし今回は、昨年1年間に詠まれた全314句の中から、夏井先生が厳選した優秀句の作者10名がエントリーされての対戦となった。
出場者は以下の通りで、まずはその優秀句を記しておこう。
ただしこの10句に順位付けはなく、段位順に発表されただけだった。
(以後敬称略)

梅沢富美男(永世名人)
 読み終へて 痣の醒めゆくごと 朝焼(兼題「本棚」)
東国原英夫(名人10段)
 まるでシンバル 移り来し街 余寒(兼題「不動産屋さん」)
藤本敏史(名人10段)
 秋雲に 名をつけ窓に 貼る付箋 (兼題「文房具」)
村上健志(名人10段)
 二枚目は ベランダで読む 手紙かな (兼題「封筒」)
横尾渉(名人6段)
 2020年(前書き)
 体温だけ 記す九月の 予定帳 (兼題「文房具」)
中田喜子(名人5段)
 若芝に大の字 身ひとつの移住 (兼題「不動産屋さん」)
立川志らく(名人3段)
 炎天のミミズ 診察券のシミ (兼題「ポイントカード」)
千原ジュニア(名人2段)
 痙攣の 吾子の吐物に 林檎の香 (兼題「7時過ぎの時計」)
千賀健永(名人2段)
 夏の海を描く スプレーの秋思 (兼題「ポンプのノズル」)
森口瑤子(特待生3級)
 謎解きの 頁に蜘蛛は 果ててゐる (兼題「本棚」)


以上の10名で冬麗戦が行われた。
兼題は「輪ゴム」という極めてシンプルな素材で、結果は以下のようになった。

1位 森口瑤子(特待生3級)
    風花へ しゅぱんしゅぱんと ゴム鉄ぽう
2位 村上健志(名人10段) 
    一月や ゴム動力の プロペラ機
3位 東国原英夫(名人10段)
    無影灯 下腹に冷たい何か
4位 梅沢富美男(永世名人)
    鏡越し ロット巻く手や 春隣
5位 中田喜子(名人5段)
    ゴムとび競う声 冬天に満ちる
6位 千賀健永(名人2段)
    手にはぜる 弁当のひも 雪催(ゆきもよい)
7位 千原ジュニア(名人2段)
    冬の月 輪ゴムの中に 入れてみる
8位 藤本敏史(名人10段)
    血を止める ゴム巻く手際 冬あざみ
9位 横尾渉(名人6段)
    七日の名もなき家事 パズルの樹氷  
10位 立川志らく(名人3段)
    雑煮食う 爺はバケモノ 指鉄砲

有段者の中に唯一特待生で参加した森口瑤子3級は、階級上位の7人を抜いてのランクインだけでも快挙だが、見事冬麗戦を制した。
彼女がこの番組に初出演したのは2019年夏で、その時から注目していた。
「猛暑日」の兼題で、春に亡くなられた母親のエピソードを交えながら
 仏壇の 向日葵までも くたばりぬ
という句を詠んでいた。
身内としての愛もありながら、こういうことを淡々と吐けるのは俳人のセンスがあると夏井先生のコメントがあった。
以後の俳句も、性格であろうサバサバとした作風でファンになった。

そしてもうひとつの快挙が。
暮れに発売された歳時記に、出演者の3句が例句掲載されたとのこと。

季語「双六(新年)」 双六の 駒にポン酢の 蓋のあり  村上健志
季語「着膨れ(冬)」 職質を するもされるも 着膨れて 的場浩司
季語「無花果(秋)」 無花果や 苛めたきほど 手に懐き 光浦靖子

恐らくこの発表を見越し、観戦する形で出演していた的場・光浦両名は感激していた。
夏井先生によると、俳句をやっている人は誰も、一生に1句でいいから誰かの編む歳時記に掲載されたいと思っているとのことである。
前に藤本・村上両名が中学校の国語の教科書に載るという発表に続いてのグッドニュースである。

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季語「冬麗」(とうれい・ふゆうらら)にふさわしい画像がないか、過去の画像を探したが見つからず、友人写真部長氏の画像を拝借した。
ふるさとの冬の棚田である。
うららかというには少し日差しが弱いが…。

散歩点描 24 初詣

2021年01月14日 | さんぽ
雲ひとつない晴天に惹かれ、このところサボりがちの散歩に出かけた。
植物園は年末の12月26日から2月8日まで、新型コロナウイルス感染者が都内で多数発生していることを受け臨時休園になっているので深大寺に行った。
今年になって初めてなので初詣になる。
「分散初詣」の立て札があり、たくさん掛かった絵馬に書かれていたのは「健康」と「受験合格」だった。
「疫病除け」のお札を求める参拝者が多いらしい。

参道入り口にある「鬼太郎茶屋」。
 
        
●妖怪オールスター●水木氏のふるさと鳥取ナンバーのワゴン車●撮りそびれたアングルなので昨年青葉の頃のものを

コロナの猛威収まらず

2021年01月08日 | ノンジャンル
新型コロナウイルス感染者数が日を追うごとに増え、昨日1都3県に緊急事態宣言が出された。
都内新規感染者数は、昨日2,000人を超え2,447人、今日は2,392人だった。
郷里の宮崎県も100人以上の感染者数で心配である。

昨日は七草だった。
昔撮った七草の画像だけをアップするつもりで探してみたら、40KBしかなく使い物にならなかった。
そうなると是が非でも画像が欲しくなり、七草セットを買った。
昔の画像と同じ大皿で撮影し、買ったからにはお粥を作らねば。

記事投稿が一日遅れた。


謹賀新年

2021年01月01日 | ノンジャンル

年が明けて2021年になった。
昨年はコロナ禍に翻弄された一年だった。
大晦日の都内新規感染者数は1,337人で、深刻な状況は変わらず、まだしばらくは同じ生活が続く。

年頭の投稿にふさわしい画像を探したが見つからず、NHKの番組「美の壺」で放送された正月飾りで、ふるさとのしめ縄が紹介されていたので、テレビ画面を撮影した。