山本有三記念館の前を通った。
先を急いでいたので外観だけ撮影しようと敷地に入ったが、建物の素晴らしさに引き込まれて館内も見たくなり入館した。
氏の作品は残念ながら一作も読んでいない。子どもの頃に代表作の「路傍の石」をテレビドラマか映画で見たきりである。
したがって正直展示物より建物の方を興味深く見て回った。(館内撮影可)
大正モダニズムというより本格的な洋館だが、それでも和室も取り入れられ、落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
豪邸には違いないが、いわゆる金満家が金にあかせて建てた派手な造りではなく、質実にして簡素、それでいて優雅で格調があり、邸主のセンスとともに生き方の信条までもがうかがえるようである。
サイトで主だった外観・館内・建物平面図が見られるので、細かい所の画像をいくつか紹介。
例えば窓の鍵、桟。ドアのデザイン、ドアノブ、蝶番などが目を惹く。
シンプルなステンドグラスの窓も、腰高窓の下に嵌め込まれた長椅子も、調度品なども、すべて住む人のポリシーでまとめられたのだろう。
厨房や浴室はどのような造りなのか、屋根裏部屋や離れの書庫はどうなっているのか見たかったが、非公開エリアで見ることができなかった。残念!
そういう訳でその邸主に関心が湧き、改めて展示品を見た。
そのひとつに氏が息子に宛てた手紙があった。
達筆さも目を引いたが、文面に引き寄せられカメラに収めた。
館内撮影OKということは展示品も紹介しても構わないことと判断してUP。
(クリックして、拡大すれば判読可)
父と子の関係が何と言ったらよいか、折り目正しいと言うのか、威厳を持ちつつも慈愛に満ち、人格を認め、人生の先輩として指針を示している感じがする。
子ども宛ての手紙をしたためるにも居住まいを正している様子が想像できた。
できたらその前の、子から父への手紙も読んでみたかった。