goo blog サービス終了のお知らせ 

言の葉

2008.11.28 開設
2022.07.01 移設
sonnet wrote.

帰郷 波瀬神社の木馬

2013年05月31日 | 


以前、夫が友人のカメラマンから写真を担当した書籍「ぬけ道、より道、山頭火」をいただき、その表紙がずっと気になっていた。
この本は俳人種田山頭火の九州吟行を写真と文とで紹介したものだが、表紙の木彫りの馬が気に入り、どこで撮ったものか尋ねてもらったら「高千穂町か日之影町の小さな神社。たしか日之影町だったと思う。」と答えたという。
「撮影に疲れてひと休みしてると何やら視線を感じ、振り向いたらこの木馬と目が合った。」のだそうだ。

木馬がある神社が出身町に? 心当たりがない。
他所の人にとって町境が曖昧なのも無理はない。
本文の高千穂を紹介するページでも、「山あいにひっそりと息づく高千穂の集落」とキャプションのついた写真が、実際は日之影町の中心部を俯瞰した風景という大ミスもしている。
もしかしたら隣県の熊本や大分かもしれない。
故郷の近辺なら一度実物を見たいと思いながら半ば諦めていた。
それが今回の帰郷であっけなく解決した。

前夜お邪魔したK君が山頭火が好きだということを昨年の帰省で知り、同じ本をネットで探して送ってあげていた。
それがご自宅にあり「この表紙の木馬知らない?」と聞くと、K君は首をかしげたが、隣にいた奥様が「それは波瀬神社ですよ。」とあっさり答えた。
波瀬といえば実家の二つ隣の集落ではないか。
「波瀬神社は牛馬を守護する神社で、社にこの馬がいますよ。」 
博識な奥様に感謝!


    

実家に2泊し、再度姑宅に向かう朝、義姉の車で波瀬神社に連れて行ってもらった。
小学生の頃は徒歩30~40分かかるこの集落も余裕で行動エリアだった。仲のよい友達もいてよく遊びに行った。
ただ神社の辺りは昼なお暗い杉林で、怖くて避けていた。
その向こうの村に行くにも、杉林の道は全力で走り抜けた記憶がある。

鳥居をくぐると、まさしく見たかった木馬がいた。
山羊や羊ほどの丈をした見事な寄木の木馬である。
しかし私が勝手に描いていたイメージとは少し違っていた。
本の表紙では哀愁を感じたが、実際の木馬は口元がニンマリと笑っているようで愛嬌さえある。
カメラマン氏のアングルの妙、口元をアンダー気味にした手法にさすがプロだと感心した。
「何やら視線を感じ…云々」も盛ったエピソードだろう。鳥居を抜けた正面左にいるのだから。
だがドラマチックにしたい気持ちは十分わかる。

由緒を書いた看板を読むと鬼八退治の神話まで遡る。
後年島原の乱で有馬直純候が出陣した際、当社境内で召馬が急に倒れ、その平癒と戦勝祈願をしたところ、馬はたちどころに勇み立ち、戦でも武勲を立てたとある。以来牛馬守護の神として崇敬されているのだそうだ。
しかし庇の浅い濡れ縁のような場所に屹立していて、風雨にさらされたままでいいのだろうか気になった。

今回の帰省は高校時代の友人に会え、中学時代の友人に会え、神話の世界に触れ、子ども時代の思い出に浸り、積年の気がかりも解消し、とても充実していた。


帰郷 時空を超えて④

2013年05月31日 | 


翌日は週始めの月曜日、カメラ片手に実家の近所を散策した。
まずは徒歩10分足らずの所にある天神山公園へ。
子どもの頃、ここは母校の小学校の裏山だった。雑木林に囲まれて原っぱがあったように記憶している。
ツクシ、イタドリ、野いちご、ツバナ、大粒の実を付けるグミの木もあって恰好の遊び場だった。
公園になったのはふるさとを離れた後なので、斜面一帯を彩る満開のツツジをまだ見ていない。
GWの帰省では時期が遅く、今回はちょっと早かった。

青雲橋横の道の駅でお土産を買い、青雲橋公園でひと休み。引き返して実家の裏手の神社へも。
四方山また山の景色だが、やっぱりふるさとは心が安らぐ。


その日の夜、午後8時半過ぎに携帯電話が鳴り、取る前に切れてしまった。
着歴を見ると中学時代の同級生K君からである。
こちらから掛けようとしている所に今度はT君から。
出ると「今どこにいる?」といきなり聞かれ、「実家」と応えると「ほらやっぱり」と向こう側で数名の話し声がする。
どうやらK君が昼間、散歩をしながら写真を撮っていた私の後ろを車で通りかかったらしい。
「sonnetじゃないか? でもこんな時期に? 第一帰っていれば連絡があるはず。」と思って通過したそうだ。
町内に同級生がたくさんいるが、週明けの月曜日ではご迷惑と思い誰にも連絡していなかった。
しかし彼らには平日も週末も関係なかった。
「Kの家で男五人飲んでるから今からすぐ来い!」
か弱い女子一人では気後れし、神楽に同行したKさん、もう一人の在郷女子を誘うも「この時間じゃ…」
当然である。それに彼女たちはしょっちゅう連中と顔を付き合わせているし…。
タクシーを呼び、勇躍一人で乗り込むことにした。

K家は地元では名だたる旧家。かつて若山牧水が放浪した時に逗留したとかで、当時のままの家を一度は見たいと前々から思っていたが、お邪魔したのが夜で全貌を観察できず残念だった。
K夫人に細やかなお心遣いでもてなししていただき、同級生女子では私が初の訪問者でその記念にと自作の陶芸を2点頂戴した。
1時間ほどで辞去するつもりが、「まだいい、まだいい」と引き留められ、結局午前1時まで長居してしまった。
男どもは全員酔っ払い、奥様が車を運転して深夜の山道を送ってくださった。


帰郷 時空を超えて③

2013年05月28日 | 


同窓会、翌日のクラス昼食会の後実家に帰り、その夜は高千穂神社の神楽を観に行った。
地元にいるKさんが同窓会明けに神話タクシープラン参加を提案して、これに参加したMさん、Zさんを宿泊は列車の宿に案内、夜は神楽鑑賞という名コンダクターぶりを発揮、私も合流させていただいた。


夕方から雨になったが、夜の神社のうっそうとした杜の中、揺れる松明の炎と相まって観客を太古へと誘う効果をもたらしてくれた。
神楽プログラムの詳細は、とっくにアップしているKさんのブログ「高千穂神楽」をご覧あれ。


帰郷 時空を超えて②

2013年05月26日 | 


同窓会から1ヶ月以上過ぎて今さらの感もあるが、タイトルにナンバーを付けていたので一応書いておこう。

当日、午後一番の特急列車で宮崎市から延岡市に向かった。
息子は夕刻の飛行機で帰京なのでギリギリまで姑のお相手をしてくれることに。
列車ではその日宮崎空港に着いたmさんと合流。後で知ったがその列車には何人もの同級生が乗っていた。
前日の飛行機も関東在住の同級生やオーストラリアから帰国出席のMさんと一緒、ゲルマン民族の大移動の如く同級生がぞくぞくと青春の町に集合した。
参加者170名余、恩師9名の大盛会だった。卒業以来の再会という友達もたくさんいて話は尽きなかった。
地元の事務局、世話役の方々のご努力のお陰で感謝の言葉もない。どうもありがとうございました。
ちなみに会場は同級生のご実家、二次会は同級生の息子さん経営の居酒屋、宿泊したのも同級生のホテルだった。


翌日はクラスだけのランチ会で、この会場もクラスメートのHさんが女性社長をしているオフィスで。
ケイタリングのごちそうの他に、地元の同級生が手作りのお煮しめやシフォンケーキを差し入れしてくれ、心温まる配慮に感激!

画像は「おだいっさん」と市民に親しみを込めて呼ばれている今山八幡宮。
同窓会の翌朝、ホテルに宿泊した友達三人で行った。
山頂まで上ったのも高校生の時以来だった。