goo blog サービス終了のお知らせ 

言の葉

2008.11.28 開設
2022.07.01 移設
sonnet wrote.

2022金秋戦観戦記 2

2022年10月20日 | 俳句
 
夏井先生の解説は以下の通り。
 
1位 大きく振りかぶって 秋爽の只中に
【自 解】今はもう振りかぶる投球フォームのピッチャーはほぼいなくなった。
大谷選手は、高校時代このワインドアップ投法でカッコよく印象に残っている。
日本人投手がメジャーリーグで活躍するきっかけになった野茂投手の大ファンだが、彼も振りかぶってからのトルネード投法だった。
マウンドに立つ姿は、堂々としてとても爽やかである。
【解 説】ゆっくり振りかぶって投げる動作を映像にして、兼題写真に真っ向勝負した俳句になっている。
「秋爽」の季語がとてもいい。
ただ1点、最後の「に」がない方がいいのではないか。
添削ということではないが、自分なら「に」は書かない。
   大きく振りかぶって 秋爽の只中
こうするとキッパリとした空気が出て、季語が堂々と立ってくる。 
 
2位 太谷の球 大谷が打つ 案山子 
【自 解】毎年案山子コンクールでは、その年話題になったキャラクターや著名人がなったりする。
例えばイチロー選手ならバッターボックスに立つシーンだろうが、大谷選手は投げるシーン、打つシーンの両方が作られるだろう。
現実には不可能なことだが、大谷が投げて大谷が打ったら・・・
案山子は鳥から稲穂を守る農作の神様。
豊かな秋の実りの季語「案山子」と取り合わせた。
【解 説】二刀流としてあり得ない場面を下五で「案山子だったか」というアイデアはさすが。
これだけの活躍をしていると、全国にどれだけ大谷選手の案山子が並ぶのか、そういった世相もさりげなく書いている。
しかし、上五中七を詠んで、困った挙句これは夢だったという「夢オチ」というのがあるが、「案山子オチ」も全くないわけではない。
他に見受けられるのが「菊人形オチ」(9位の俳句)。 
 
3位 白秋の 雲穿(う)ぐ 右投げ左打ち  
【自 解】白秋の雲とは今の世の中の感じで、モヤモヤとした雲に風穴を空けるような大谷選手のスカッとしたプレーを「穿ぐ」の動詞に込めた。
【解 説】いかにも爽快な俳句である。季語は「白秋」。
しかし悩みどころが1点。まさに作者が自信を持って選んだ「穿ぐ」である。
「穿つ(うがつ)」ということで掘ったり削ったりして穴があくという意味で、どちらかといえばコツコツとヒットを積み重ねていくイメージがあるのではないか。
   白秋の 雲裂く 右投げ左打ち
   白秋の 雲撃つ 右投げ左打ち
にしてもいいかもしれない。
  
4位 総立ちの フェンウェイパーク 星月夜 
【自 解】メジャーリーグの歴史や記録に発想を変えてみた。
ボストンレッドソックスの本拠地フェンウェイパークは最古のスタジアムで、ここで多くの選手が数々の記録を打ち立てた。
プレーする選手、満員の観客の頭上に満天の星空が広がっているイメージ。
【解 説】作者の言いたいことを固有名詞に語らせるタイプの俳句で成功している。
「星月夜」の季語も押さえとして効いている。
   
5位 天高し 野球ノートの 三箇条 
【自 解】大谷選手は、野球を始めた子供の頃から父親と交換日記をしていたそうで、最初に書かれていたのは「元気よく声を出す」「一所懸命キャッチボールする」「一所懸命走る」の三箇条だったそうだ。
シンプルな基礎的なことを守って、現在の大谷選手になっていると思う。
【解 説】中七下五がシンプルだが明快。
読者は「三箇条」とは何だろうと想像したり、調べてみようかと思わせる力を持っている。
「天高し」の季語が、大谷選手の豪快な飛球を想起させ、気持ちのいい俳句。

6位 秋立つや 十七画の 名を吾子に  
【自 解】8月に子どもの生まれたご夫婦が、名前を何とつけようかと思っている場面を想定した。
8月10日に「104年ぶりに10勝25号」の大記録を打ち立てたニュースがあり、あんなふうに世界に羽ばたいてほしいという願いを込めて、背番号17、「翔平」の17画にこだわって名前を考えているというもの。
【解 説】きっちり詠まれている。
ただ俳句だけを読んだとき、17画にこだわる理由が読み取れない。
テーマ性との兼ね合いで損をしたが、生活の1ページを詠んだ句としては秀句。
  
7位 ポケットにゴミ 爽涼の ユニフォーム 
【自 解】大谷選手はマウンドにゴミが落ちていると拾ってポケットにしまう。
本人は「運を拾っているのだ」と言っているそうだが、その行為、人格もまた称賛されている。
なんと爽やかな青年かと、季語の「爽涼」に託した。
【解 説】彼の数あるエピソードのひとつをうまく掬い取っている。
しかし、すでにポケットにしまったゴミではなく、拾っているその瞬間を詠むべきだろう。
情報として「ポケット」と「ユニフォーム」の言葉が重なっている。
 添削 マウンドのゴミ 爽涼ののポケットへ
こうしていたら、迷わず1位にしていたと思う。
 
8位 四番打者 四球を選ぶ 子規忌かな 
【自 解】俳人正岡子規は野球好きでも有名で、「打者」や「走者」「四球」などの野球用語を作ったことも知られている。
季語は「子規忌」(9月19日)で、韻律にこだわってみた。
【解 説】こういうネタが出てくるのはちょっと嬉しい。発想はとても良い。
韻律や表記を見た面白さも丁寧に工夫している。
しかし俳句自体を読んだ時、臨場感が薄いのが気になる。 
 添削 バッターは四番 子規忌の四球選(よ)る
 
9位 巌流無念 しおれた菊人形  
【自 解】大谷選手の二刀流から佐々木小次郎に発想を飛ばしてみた。
巌流島は武蔵と決闘した島の名前であるが、小次郎の剣の流派名でもある。
かつて菊人形展で武蔵と小次郎が対峙していたのを見たが、小次郎の菊が萎れていた。
戦いも敗れ、菊も萎れ、無念だろうなぁと思った。
【解 説】「無念」と「しおれた」の気分が近すぎて残念。
また「巌流」を読んだ読者は、小次郎より島の名前をイメージする人の方が多いかもしれない。
破調の句であるが、五七五のリズムにしてもいいのではないか。
 添削 小次郎の 無念しおれた 菊人形 
 
10位 打ちまくる大谷 生姜擦る私 
【自 解】ニュースで大谷選手の活躍を見ながら、私は自分のできることとして料理をし、生姜を擦っているというものである。
【解 説】この兼題写真から、生姜を擦るという日常を持ってくる生活感のような発想はとても良い。
「大谷」の固有名詞に季語の「生姜」が支え切れるかというバランスの問題があるが、作者の意図なので変えろとは言いにくい。
他で操作すると「打ちまくる」が、ワンシーズン通してか、今見ている1試合かがはっきりしないので、
  添削 今日も打つオオタニ 私は生姜擦る
「も」で、ずっと打っていて、今見ている試合でも打っていることになる。
また、俳句は縦1行に字詰めで表記するので、「大谷」の後に「私」の漢字が続く。
これを避けるために「オオタニ」とすると、メジャーリーグの空気も出る。
 
   ********************************
 
1位の俳句に合う画像がなく、先日ヤクルトが日本シリーズ出場を決めた試合録画の胴上げシーンを拝借した。

2022金秋戦観戦記

2022年10月14日 | 俳句
昨日、プレバト俳句の炎帝戦が放送された。
事前に3ブロックに分かれ予選が行われた。
シードは3名で、残り7枠を15名で競った。
これまではブロック1位が通過し、さらに2位の中から選出されていたが、今回は2位以下全員から選ばれた。
 
今回の兼題写真は「大谷翔平」。
順位は以下の通りだった。

1位 大きく振りかぶって 秋爽の只中に  藤本敏史(名人10段)
    
2位 太谷の球 大谷が打つ 案山子   村上健志(永世名人) 
    
3位 白秋の 雲穿(う)ぐ 右投げ左打ち  春風亭昇吉(特待生5級) 
    
4位 総立ちの フェンウェイパーク 星月夜  横尾渉(名人10段) 
    
5位 天高し 野球ノートの 三箇条   松岡充 (特待生2級)
    
6位 秋立つや 十七画の 名を吾子に  千原ジュニア(名人10段) 
    
7位 ポケットにゴミ 爽涼の ユニフォーム  梅沢富美男(永世名人) 
    
8位 四番打者 四球を選ぶ 子規忌かな  森口瑤子(名人初段) 
    
9位 巌流無念 しおれた菊人形  立川志らく(名人6段)  
    
10位 打ちまくる大谷 生姜擦る私  皆藤愛子(名人3段)
    
   ******************************************************
 
野球つながりで・・・
予選を終えた翌週の9月22日、番組10周年の特番で「俳句ふるさと王争奪戦」があり、これがなかなか面白かった。
福島県、茨城県、大阪府、福岡県の観光写真に合う俳句を詠み、公認ポスターにするというものだった。
 
これまでのプレバト俳句では、夏井先生は口を酸っぱくして。
「俳句の十七音だけで勝負。兼題写真に頼ってはダメ。」と仰っていた。
しかし「写真俳句」というジャンルでは、俳句だけの評価とは少し軸が変わっているのだそうだ。
写真+俳句、1+1=2の足し算も悪くないが、写真俳句の醍醐味は掛け算で、写真×俳句で相乗効果があるとのこと。
 
3府県の作品もそれぞれよかったが割愛して、福岡県の作品を。
提示されたポスターは「中洲の屋台」だった。
優秀狗に選ばれた元AKB48の篠田麻里子さんの俳句が素晴らしかった。
  中洲の満月 ホークスの白星
 
夏井先生は、添削するとしたら、
   ホークスは白星 中洲には満月
こうすると、季語の「満月」がより印象深くなるということだった。なるほど。
俳句は作者のオリジナルでプリントされた。
福岡県に喜ばれたに違いない。
 
セ・クライマックスシリーズファイナル第3戦 ヤクルトVs.阪神 をテレビ観戦しながら投稿。

久しぶりにミシンを出す

2022年10月04日 | ハンドメイド
先日、近所に住む友達に栗の渋皮煮を届け、玄関先で立ち話をした。
ソーイングの話題になると、彼女が「ちょっと待ってて」と奥に入り、戻って来た。
「昔、あなたにもらったもの。今も愛用してるよ。」
と小さな巾着袋を見せてくれた。
彼女とは同い年の息子がいるママ友でもあり、小学校入学時に給食のナプキン入れを作ってあげたらしい。
すっかり忘れていたが、現物を見ると確かに自分が作ったものだった。
名前を記入するシールも縫い付けている。
息子さんが使った後、ギターをやっている彼女はカポタスト、ピック、爪やすりを入れていた。
なんと30年以上も捨てずに使ってくれていたとは!
しかし相応にくたびれている。
感謝の思いでアップデートしてあげたくなった。
以前お薬手帳ケースを作った(2019年7月1日記事投稿)残り布を使い切って、巾着袋2点を作った。
 
お薬手帳ケースは、2019年11月の町人会懇親会で販売するために20点以上作っている。
高齢者が多いので着物地や地味めの柄を選び、半数以上が男性なので、それも考慮した。

  

  

だが、自分用と同じ柄のピンクのハートのは出品せずに取っておいた。
それを今回添えて、お揃いの3点セットで差し上げることにした。