GWは郷里で中学校の同窓会があったので帰省した。
7日間の日程だったので、実家に帰る前に寄り道する事を思いついた。
九州新幹線が鹿児島まで開通したことだし、宮崎→鹿児島→熊本→郷里と南九州を時計回りに迂回して帰ることにした。
そう言えば鹿児島には20年以上会っていない旧友がいる。乗り継ぎの時にちょっとでも会えればと思い、久々に電話をして会う約束をした。
宮崎市で1泊した翌朝、日豊本線で鹿児島中央駅へ。
改札口に友人が待っていた。彼女の記憶では22年ぶりの再会だと言う。
駅ビルのカフェでひとしきりおしゃべりし、「せっかくだから磯庭園くらい見ていったら?」と言われそうすることにした。
新幹線のチケットは買ってなかったし、気ままな一人旅なのでどうにでもなる。
要は5月4日の同窓会に間に合えばいいのだ。




磯庭園は正式には仙巌園という名称で、江戸時代初期に島津光久(19代当主)によって築庭された大名庭園。
桜島を築山に、錦江湾を池に見立てるという何とも雄大な借景であるが、あいにくの曇天で桜島の上部は雲に隠れていた。
園内は広大すぎて短い時間では廻りきれず麓の方を一回りした。
NHK大河ドラマの「篤姫」で撮影されたという看板がそこかしこにあった。
売店に併設された薩摩切子ギャラリーは目の保養だけ。

駅に戻る途中、鶴丸城趾でタクシーを降り、歴史資料センター、県立図書館、市立美術館、県立博物館、照国神社などが並ぶ石垣の上を散策した。
時間がなくてそのどれもに入館できず残念だった。
「地面の所々が黒いでしょう? 桜島の灰よ」と教えられた。
石垣には西南の役の弾痕が無数にあった。
西郷さんは上野と違って軍服姿、近くに天璋院篤姫の像もあった。



天文館をぶらぶらし、遅い昼食を摂りながらまた話し込み、結局新幹線に乗ったのは夕方だった。
改札口で友人と別れる時「絶対また会おうね。」と言いながら不用意にも涙ぐみそうになった。
年賀状で毎年「会いたいね」と書いて22年ぶりの再会だったのだから、今度いつまた会えるかわからない。
鹿児島~熊本は45分であっという間だった。
窓からの景色に期待していたが、交互にトンネル・防音壁・トンネル・防音壁で、まさに地図記号の線路のようだった。
路面電車の走っている町が好きだ。鹿児島市も熊本市もそうだった。
人が端っこに追いやられている感じがなく、長閑な風景を呈している。

