
先日午後、薄曇りで気温も高くないので散歩に行こうと思った途端に遠雷が鳴りだした。
ひと雨来そうな気配がしたので出かけるのをやめ、映画を見ることにした。
「最高の人生の見つけ方」は2007年の作品。
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの共演で、公開当時気になってはいたが見ていなかった。
M・フリーマン演じるカーターは自動車整備工場に勤めている。
歴史学の教授になりたかったが学生結婚し、子どもができて中退した。
博識でTVのクイズ番組を見て答えるのが趣味。
ガンと診断され入院する。
J・ニコルソン演じるエドワードは、一代で10億ドルを稼いだ大富豪の実業家。
買収した病院で吐血して入院し、カーターと相部屋になる。
「病院はホテルではないので1室2床というのがあなたの方針。個室はありません」と秘書に言われる。
この秘書もユニークなキャラクターをしている。
エドワードに「君が私の立場ならどうする?」と聞かれ、
「全財産を秘書に残します」と答えていた。
原題は「THE BUCKET LIST(バケットリスト)」である。
バケットは日本語のバケツだが、英語に「kick the bucket」という慣用句があり、「バケツを蹴る」は「死ぬ」「亡くなる」の意味があるらしい。
語源まで調べると、自殺する人間がバケツを逆さにして立ち、それを蹴るということらしい。
この映画の公開以来、バケットリストは「死ぬまでにやっておきたいことのリスト」として定着したとか。
・荘厳な景色を見る
・見ず知らずの人に親切にする
・泣くほど笑う
・マスタングの運転
・・・
余命わずかと知ったカーターが書いたメモを見て、エドワードが書き足す。
・スカイダイビングをする
・タトゥーを入れる
・世界一の美女にキスをする
カーター「世界一の美女に? どうやって?」
エドワード「数をこなす」
こうして余命半年の二人は秘書を伴い、エドワードのプライベートジェット機で世界をまわる。
トップの画像は、サーキットを借り切ってマスタングを疾走させるシーンを拝借した。
ピラミッドを見に行ったシーンでのカーターのセリフが印象に残っている。
「古代エジプト人の言い伝えで、死ぬと天国の扉の前で神に2つの質問をされるそうだ。その答えによって入れるかどうか決まる。
ひとつは、人生に喜びを見つけたか?
もうひとつは、他者に喜びを与えたか?」
そういえば、エドワードが機内で読んでいた書物の装丁が和風で気になり、一時停止して確認した。
「THE WAYS OF THE SAMURAI」とあった。「武士道」か。
検索すると「葉隠れ」を著した山本常朝のものだった。
新渡戸稲造の「武士道」もあるが、そちらは「Bushido : The Soul of Japan」の英語タイトルになっている。
ともあれ、死を目前にした人物が読もうと思った一冊という設定になっている。
もう一冊、術後の病室でも何やら読んでいたのを思い出し、巻き戻して確認した。
「バルタサール・グラシアンの賢者の知恵」だった。スペインの哲学書らしい。
どちらも知らずもちろん読んでいないが、ちょっと興味はある。